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孫悟空の奇策?大鵬金翅鳥との決着!

三か所で三魔王を相手に法子達は分散して戦う。


しかし、相手は不死の化け物、どうする?


俺様は孫悟空


俺様は俺様に恨みのある大鵬金翅鳥を相手に地下城で空中戦を繰り広げていたのだ。


「しぶとい!」


大鵬金翅鳥は俺様が前世で倒した鵬獄魔王の身体を培養技術で再生し、その肉体と力を我が身に吸収したと言う。


「かつて鵬獄魔王様はお前に不覚を取った。しかし実力ではお前に勝っていたのだ!気付いていないとは言わせんぞ?」


「関係ねぇよ?負けた野郎が弱かっただけだ!」


鵬獄魔王は俺様が前世で美猴王と呼ばれ、地上界を統一する時に戦った魔王だった。鵬魔一族を統べる不死の大魔王であったのだが俺様に敗れたのだ。


だが、大鵬金翅鳥の言う通り実力だけで勝ったわけではなく、心理戦を巧みに使った策で実力の半分も出せないうちに俺様が勝ちを手に入れたのである。詳しく話せば当時、魔王通しの争いは禁じられていて、それを破れば天界が動くのだ。


鵬獄魔王は俺様に勝てたとしても天界と争う気はなかった。そこに付けこみ戦う気がない状態を容赦なく命を奪ったのである。


「鵬獄魔王は俺の兄であった。その強さに憧れていた!だが、俺は兄のような才能もなければ直ぐに限界が来た。だから俺は禁忌の契約を交わして兄の身体を再生させて手に入れたのだ!この力でお前に恨みをはらすためにな!」


「長々と説明ありがとよ?つまり努力しない弱虫が他人の力を使って仕返ししたいのだな?」


「何ぉーー!!」


怒り狂う大鵬金翅鳥が俺様に獄炎を放つが、俺様の朱雀の炎が浄化させたのだ。奴の鳳凰の炎と俺様の朱雀の炎は同種と言っても良いのだ。お互いに攻撃が効かないだけでなく致命的ダメージを与えられないのである。


「猿まねで朱雀の炎を使うとは何処までも恨めしい」


「お前も他人の力借りてるようなもんだろ?」


この状況で勝敗はつくのだろうか?


だが、俺様には既に勝利の絵が描き終えていた。


「全く使う能力が同じなら勝敗を決めるのは…」


だが、大鵬金翅鳥もまた俺様を倒す奥の手を隠し持っていた。


「お前の炎など俺が今から使う炎に比べたら蝋燭の灯りに過ぎぬ。今より見せてやろう!俺の兄、鵬獄魔王の禁忌の炎を!」


「!!」


異様な妖気が大鵬金翅鳥の身体に立ち込めると、身を纏う炎の色が真っ黒に燃え出す!


「地獄の黒炎は魂をも焼き消し消滅させる炎。お前の魂ごと存在自体消してやろう!」



流石に俺様も身を引いた。

大鵬金翅鳥の投げ付ける黒炎が俺様の纏う朱雀の防御炎をも喰らい、貫いて来たのだ。


「ウワッと!」


「あはははは!逃げ惑うが良い?だが、追い詰めて追い詰めて、泣いて謝った後、懺悔させながら燃やしてやるぞ?あはははは!」


「ドSだな?しかし…俺様にも取って置きがあるんだぜ?」


「何を?さぁ、消えてしまえー!」


黒炎の玉を投げ付ける大鵬金翅鳥に対して俺様は如意棒を抜いて構えると、


「カッキィーン!」


如意棒で黒炎をホームランしたのだ。


「ばっ?馬鹿な??俺の黒炎を打ち返すなんて?どうして消滅しない?何なんだ?その棒は??」


「如意棒だ!」


「いや、それは聞いた」


俺様の如意棒は決して折れずにヒビすら入った事がない一品なのだ。地獄の炎だか知らないが、多分、恐らく、もしかしたら?薄々大丈夫だと信じていたぜ!


俺様は如意棒を振り回すと飛んで来る黒炎を全て打ち返していく。


「己れ!ならば直接お前の身体に黒炎を喰らわせてやろう!」


大鵬金翅鳥が俺様に接近して来る。奴は両手、両足から黒炎を灯していた。


「かするだけでも致命傷だぞ?今度こそ覚悟しろ!美猴王ー!」


「だ~か~ら、俺様は孫悟空だって言ってるだろ?」


俺様は直ぐ様印を結ぶと朱雀の羽根が散らばり、百体の分身を出現させたのだ。


「往生際の悪い猿め!」


「最終的に猿で纏めやがったな?俺様の分身は逃げるために出したんじゃねぇぞ?覚悟するのはお前だ!」


更に俺様の必殺技をお見舞いしてやるぞ。


『朱雀バージョン!百人一手・火流打!』


本来、百体の分身の俺様が手刀を石化した後、摩擦熱で発火させて攻撃する奥義なのだが、朱雀の炎を使っての合作技なのだ。


百体の俺様が散らばりながら壁を蹴って、その勢いで同時に大鵬金翅鳥に向かって特攻していく。


「無駄だぁ!」


大鵬金翅鳥は向かって来る俺様の分身達を一体、一体、黒炎で消していく。


「本体は恐れをなして向かって来ないのか?直に全ての分身を消し去るのも時間の問題だぞ!あははは!」


大鵬金翅鳥の言葉通り、俺様の分身は全て黒炎に燃やされて消滅してしまった。残ったのは本体の俺様のみ。俺様は攻撃を止めて宙に浮いたまま止まっていた。


「どうやら死を覚悟したようだな?お前の負けだ!」


「いや、お前の負けだ」


俺様は平然と言い返すと、大鵬金翅鳥は俺様に対して真顔になった後に大笑いをして下げずむ。


「ついに頭がイカれたか?打つ手を無くしても軽口を叩けるのは褒めてやろう。しかし馬鹿は死ななきゃ分からないようだな?」


大鵬金翅鳥は両手を挙げると巨大な黒炎の塊を作り上げる。


「ぎゃはははは!これでオサラバだ!イカれて死にさらせ!美猴王ー!!」


あの黒炎弾を食らったら俺様は間違いなく消滅してしまうだろう。しかし俺様は冷静に大鵬金翅鳥を指差したのだ。大鵬金翅鳥は俺様の意図に気付かなかったが、漸く自分自身の異変に気付く。


「えっ?」


大鵬金翅鳥の両手、両足が黒炎によって燃えて消え始めていたのだ。


「イギャアアアアア!お前、俺に何をしたぁー??」


悲鳴をあげながら自分自身に何が起きたか分からない大鵬金翅鳥に俺様は説明してやる。


「冥土の土産に教えてやるよ?お前の力は所詮は借り物。お前はただ自分自身の限界を見誤ったんだよ!」


「なぁ??」


「大技ってのは使い手が磨き学び得たものだ。だから使い所や限界ってのを身をもって分かっているもんだ。だが、お前のその技は鵬獄魔王の奥義であってお前の力ではない。だから見極めを見誤った」


「!!」


「俺様の分身なんか黒炎を使わずとも良かったんじゃないか?それを自慢気に大盤振る舞いに力を奮った事で、自らの肉体の限界を越えていたんだよ。限界はやがて肉体を蝕み、麻痺をさせて自覚ないまま黒炎の力を制御出来ずにお前自身を滅ぼし始めたんだ。どうだ?」


「そんな、馬鹿な…」


「まぁ、それも全て俺様がそう誘導したんだけどな?俺様が一枚上手の天才だったわけだぜ!」


俺様の戦略と、黒炎に飲まれ始めていく自らの滅びに恐怖を感じた大鵬金翅鳥は涙を流して悲鳴をあげた。


「嫌だぁああああ!死にたくなんかなぁーい!」


大鵬金翅鳥は城から供給される再生力を高めて消滅から逃れようとするが間に合わない。黒炎は大鵬金翅鳥の身体を徐々に蝕んでいく。


「ふん!せめてもの情けだ!」


俺様は如意棒を槍投げのように大鵬金翅鳥に向かって投げると大鵬金翅鳥の額を貫いた。


「黒炎は魂をも消滅させる地獄の炎だったな?せめて魂だけは救ってやる」


黒炎に消滅する前に、即死と同時に魂だけは解放させたのだ。


先ずは大鵬金翅鳥撃破だぜ!



場所は代わり、そこは最下層の東側広場。そこでは百獣王と青獅王が衝突していた。


お互い爪を立て、相手の喉元を抉るように攻撃を繰り出している。互いに傷を負いながらも再生が凌駕し、止まる事なくぶつかり合う。


「我が主はやはりお強いではないか?」


「うむ。久しくその勇姿を見ていなかったが…」


「猛々しくおられる」


三妖仙達は二人の戦いに見とれていたのだ。


「しかし…あの主に似た者は何なんであろう?」



青獅王とは百獣王の複製であった。分身とも言って良いが、肉体と意識を兼ね備えているのだ。その本能は喰らい、寝る。まさに野生の獣そのものなのだ。


百獣王と青獅王の関係は?


そもそも西の地は獅駝王が支配していた。それがある日、消息を絶った。


否?


最強級の力を持つ獅駝王が何者かに拉致されたのだ。

気付くと獅駝王は全身を拘束され、身動き取れない状態でいた。


「!!」


しかも目の前には自分と瓜二つの青獅王が、培養水晶の中に見えたのだ。


「ムガッ?」


獅駝王の目の前で培養水晶は粉砕し、中から自分と瓜二つの化け物が雄叫び、産声をあげたのである。しかも、周りには他に幾つもの培養水晶が置かれていて、水晶が砕けると同時に改造を受けた大鵬金翅鳥と、太古の大戦より眠っていた妖恐黄牙白象が目覚めたのだ。


「ムガッ?ムガッ?ムガッ?ムガッ?ムガッ?」


暴れるが力が出ない?むしろ身体中に管が刺されていて力が吸収され続けているのが分かる。自分の妖気が目の前の三魔王の養分として使われている事に馬鹿ながら気付いたのだ。


そこに何者かが姿を現して捕らわれている獅駝王に近付き言葉をかける。


「久しく。お前の力は過去の大戦でとっても魅力であった。だが、お前を使いこなすには手を焼きそうでな?だったら思い通りに使えるお前を造り出してみせたのだ。どうだ?」


「ムガッ?ムガッ?」


獅駝王の知り合い?いや、知り合いかもしれないが獅駝王は馬鹿だから覚えてすらいなかった。


拘束された獅駝王の消息が分からなくなった後、西の地は無法地帯になり、力自慢の妖怪達が名乗りをあげて西の地を争奪する戦争が繰り広げられた。その中で目覚めて覚醒した三魔王が西の地を支配したのだ。


「ウググ…」


だが、拘束されていた獅駝王もまた化け物であった。吸収され奪われ続けられるよりも、弱りきった肉体以上に妖気の成長が吸収力を上回ったのだ!


「ウガァアアア!」


吸収装置を暴発させて獅駝王は拘束を破壊して自由になったのだ。そして逃げ出した後、身体の回復を待って、何故か名前を百獣王と改めて再び自分を拘束した奴と三魔王にリベンジを果たしに戻って来たのだ。


「先ずは俺俺のソックリなお前を倒すぞ!」


百獣王は鋭い手刀を突くと青獅王の胸を貫き心臓を握りしめて引っこ抜くと、そのまま握りしめて潰す。青獅王はそのまま倒れて決着がついたかに思えた。


「フガッ!」


しかし百獣王の目の前で青獅王の身体が再生しては、何もなかったかのように立ち上がったのだ。青獅王は何処からか供給される力を吸収しては、死んでも死んでも復活していたのだ。


「ぐぅぬ…後、何回倒せば良いのだ?」


しかも青獅王は一度死ぬ度に強さを増していた。同じ攻撃は効かないし、より早く力も増して甦る。頑丈な百獣王でも再生力は無限ではないし、ましてや不死ではない。このままだと成長する自分の偽物に力負けするのは時間の問題だった。


「俺俺が二度と再生しないように、お前を壊して壊して壊し続けてやるぞ!」


「グルルル」


青獅王は言葉を話せないが、目の前の敵である百獣王を倒さねばならぬと無意識に感じていた。そして再び激突した時、今度は百獣王の方が力負けして吹き飛ばされたのだ。ついに力が逆転したのである。


その時、この状況を見ていた三妖仙達に、念波が届く。それは地下の通路をさ迷っていた沙悟浄とフォンからであった。


「何と?それは本当ですかな!?」


沙悟浄との念波を終えた羊力大仙は、主である百獣王に向かって叫ぶ。


「今より我々が、そやつの力の供給を止めに参ります。なので御武運を!」


三妖仙達はそう言うと、その場から煙の如く姿を消したのだ。向かった場所は沙悟浄とフォンのいる場所に違いないが、何をするつもりなのか?


次話が気になるぜ!

次回予告


沙悟浄とフォンとは打開策を見つけたのか?


二人が見つけた物とは?

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