激突!獅駝嶺の三魔王!
褐色、銀髪の孫悟空の覚醒!?
獅駝嶺の三魔王と激突する!
私は法子
銀髪褐色の姿となった孫悟空が三魔王と戦っていたの。その力は三魔王を同時に相手にしているのに圧倒する力を見せていたの。
孫悟空の蹴りが防御力を誇る黄牙白象の腹に命中すると弾き飛ばす。さらに激しい猛打を繰り出す青獅王の攻撃を全て紙一重で躱し、逆に二本指で青獅王の身体を突き刺す。血が噴き出す中で容赦なく腹部に拳を突き出すと、青獅王は吐血して動けなくなる。
「この化け物がぁ!」
青獅王が炎を孫悟空に向けて放つと、身体中を獄炎に包み込んだの。
「どうだ孫悟空!?」
しかし炎は孫悟空の放つ気の壁の前に消滅したの。その気は霊気とも妖気とも、ましてや恐気とも違う。どちらかと言えば神気に近いのだけど、漆黒を纏う神気だからまた違うわ。
「おのれ!今の今まで力を隠していたのか?流石は伝説の大魔王。良かろう!ならば俺達も本気を見せてやろう!」
三魔王は立ち上がると更に妖気が高まる。三魔王の覇気に押し潰される孫悟空に私達は見ているしかない。
「どうしたら…」
私の心配に八戒は答える。
「オラは…今は三魔王よりも銀髪の猿の方がこ恐ろしくて仕方ないら…あの黒い気を感じると胸が…」
えっ?
八戒が突然気を失って倒れたの?
「どうしたのよ?八戒?」
「もしかしたら気当たりで気を失ったのかも?」
沙悟浄は八戒に駆け寄り治癒を始めたの。
八戒、全く…こんな状況で寝てる場合じゃないのに!
だらしないわね!
「だけど私にも分かります。あの黒い兄貴は危険なんです…」
「沙悟浄?」
沙悟浄も意識は保っているけど顔が青く震えていた。きっと二人には耐えられないような過去があるのかもしれない。
「煩い!」
孫悟空の覇気が三魔王の覇気を押し返したの。三魔王は圧されながらも更に妖気を高めて襲い掛かる。
「オマエ達は法子に危険を及ぼす。許せない!」
銀髪の孫悟空は拳に黒い気を籠めると、降り下ろして来た黄牙白象の象鼻を蹴り返し裏拳で鋭い象牙を砕いたの。
「ヒゥアアア!」
青獅王が無差別に鋭い爪で孫悟空に連続攻撃を繰り出して来る中、孫悟空は残像で全て躱して接近し、青獅王の腹部に拳を打ち込む。
「ゴフッ」
血ヘドを吐く青獅王が、それでも孫悟空の腕を掴み力勝負して来たの。
「グヌ!?」
孫悟空は微動だにしなく、逆に青獅王を力任せに投げ付けると向かって来た大鵬金翅鳥に衝突させた。
「圧倒的じゃない?」
驚く私だった。
しかし三魔王は再び立ち上がって来たの。しかも身体は再生し余裕を見せていた。そこで私は理解したの。
「孫悟空の強さは確かに三魔王を凌駕しているわ。しかし無尽蔵の体力と再生力を持つ三魔王には持久戦は不味いのよ。いずれ体力の消耗と同時に覆されるかも?」
このまま手を子招いて見ていても仕方ないわ。
この与えられた僅かな時間で打開策を考えないと!
その時、
「法子さーん!」
えっ?
三妖仙に背負われたフォンさんが合流して来たの。
「フォンさん!大丈夫なの?」
「はい。三妖仙の皆さんに治癒の札を貼っていただいたので痛みは軽減しましたよ」
「でも、戻って来た早々に危機的状況は変わってはいないわ」
「…そのようですね?孫悟空さんの変わりようには異様な力を感じます」
「どうしたら良いのか分からないのよ…悔しくて仕方ないわ」
「法子さん。実は自分、とんでもないモノを見付けてしまったんです」
「えっ?」
フォンさんは地下層に落下した後、一人で気を失っていたの。目覚めた時にフォンさんは再び上の層に戻ったらしいのだけど、そこで見つけたの。
目的の場所は先に見た実験場の部屋。そこでフォンさんは手掛かりを見付ける。
「フォンさん?何を見付けたと言うの?」
「あの三魔王の強さと再生力のカラクリです」
「えっ!?」
フォンさんが言うには、三魔王には有り得ない程の力の供給がされているのだと。例え魔王と言えど体力も再生力も無尽蔵なはずはない。その供給が何処からか三魔王に注ぎこまれているのではと?
「で、その場所を突き止めたの?」
「勿論!」
自信満々にフォンさんは更に地下を指差したの。
「この下にある最下層に実験場がもう一つあるみたいなんです。そこから妖気が三魔王へと注がれています」
「この地下ね?だったら私達は最下層に向かって、その供給を止めに行くわよ!」
「はい!」
その直後、孫悟空と三魔王の戦いに変化があったの。三魔王が孫悟空に抱き付いたかと思えば、妖気を高め始めたの?
「まさか!?」
直後、三魔王は孫悟空に抱き付いたまま自爆を図ったの!当然、孫悟空もろとも地盤は崩れ、私達も一緒に最下層に向かって落下したの。
「クッ!」
私は気を伸ばして縄のように振り回すと、壁際に向かって投げ付ける。運良く引っ掛かった縄は私を宙にぶら下がらせた。
皆はどうなったの?
あの三魔王は不死に近い能力を持っているから、自らは死ぬ事は無いと恐れる事なく自爆をした。
孫悟空は?
桁違いの強さを持つ銀髪の孫悟空でも、あんな攻撃を食らったら…大丈夫なの?
その時、孫悟空はゆっくりと地下に降りていた。
「まさか自爆するとは…咄嗟に全身に防御の幕を張って助かったようだ…」
孫悟空は意識をしながら気を地下城に広げていく。
「法子は上?無事?怪我はしていないようだね…」
孫悟空は上空にぶら下がっている私を目指して宙に浮きながら目指そうとする。
「あっ…」
突然目眩が孫悟空を襲い視界が闇に消えていく。
「ま、まだ…まだ、まだ眠れない…まだ…」
けれど孫悟空は急激な眠気に意識を失うと、力が抜けたかのように地下に向かって落下して行ったの。
再び最下層に戦場は変わる。落下した三魔王の肉片が再生を始めていた。
青獅王が最初に再生を終えて獲物を探しに地下をさ迷っていたの。
「グヌヌヌ…」
青獅王は妖気を探知するのではなく、嗅覚で獲物を探していたの。だから身を壁の色に変色して息を止めながら隠れていた三妖仙に気付き壁際に向かって襲い掛かる。
「うぎゃあああ」
三妖仙は仕方ないと顔を見合せ印を結ぶ。
「私達の主を模した化け物め!今こそ我等三妖仙の最大奥義を見るがよい!」
『奥義・五雷法の術』
地割れが青獅王の足場を崩すと土が盛り上がり身動きを止めると雷、水、風に炎の同時攻撃が襲う。
「グヌヌヌオオオ!」
青獅王の覇気が三妖仙の五雷法の術を消し飛ばす。
「あはは…」
三妖仙達は何を血迷ったのか?その場に平伏し涙する。
そう、現れたの!
「俺俺の偽者、ぶっ倒すぞ!俺俺最強伝説だぞ!」
百獣王さんが再び三魔王退治に参戦したの。
更に意識を失いながら落下している孫悟空に向かって、再生を終えた大鵬金翅鳥が暗闇の中を夜目を使い襲い掛かって来ていた。
「孫悟空、八つ裂きにしてやるぞぉー!!」
凄まじい殺気に反応して孫悟空の目がゆっくり開く?
「おっ?ここは何処だ?」
その孫悟空は金色の髪に白い肌に戻っていたの。そして突っ込んで来て迫る大鵬金翅鳥に対して顔面を蹴りで返したの。
「とりあえず状況が掴めないからお前を先にぶっ倒す!」
落下しながら孫悟空は再び印を結ぶと、朱雀変化にて闇を照らす炎の翼で宙に浮きながら
大鵬金翅鳥と対峙する。
「俺様の前に跪け!」
そしてフォンさんと沙悟浄は一緒にいたの。
「法子さんと合流が先でしたでしょうか?」
「フォン君。私達は私達に出来る事をしましょう!私達はフォンさんの言っていた三魔王の供給源を止める事を最優先にしましょう」
「分かりました。沙悟浄さん!私達に出来る事をしましょう!」
フォンさんは上の層で見た地図を思い出しながら目的地に向かって沙悟浄を案内する。
そして私はと言うと地下に降りていたの。
「先ずは皆と合流しないといけないわね」
その時、私の背後の存在に鳥肌が立ったの。
私の背後には黄牙白象が私を見下ろしていたの。
背後に振り向く事が命取りになる状況で私は瞳を綴じた。
殺気から黄牙白象の象鼻が私に向かって降り下ろされた。私は目を綴じたまま黄牙白象の象鼻
を静かに躱した。
「グヌヌヌ」
黄牙白象はまさか虫けらだと思っていた私に躱されると思わずに、怒りを奮えさせる。そして再び襲い掛かって来たの。
「ハァー!!」
私は気合い一閃、黄牙白象の勢いを流すように躱して、手を触れずにタイミングと自分の力を上乗せした合気を使い逆に投げ飛ばしたの。
「空気投げ!」
私の死に物狂いに放った合気が上手くいったけど、この後はどうしたら良い?
とにかく逃げるなら今しかないわ!
「!!」
その時、私は気を失っている八戒が倒れている事に気付いたの。
「あの馬鹿!」
見捨てて逃げたら私は助かるけれど、八戒は間違いなく殺されてしまう。
「もぅ!あんたを見捨てたら寝起き悪くなっちゃうものね?」
私は構えて戦う決意をしたの。この妖恐・黄牙白象を相手に!
あはは…女子高生は一度決めたら絶対に洗濯は誤らない!絶対にお父さんと一緒の水で洗濯はしない。それと同じよ?
洗濯も選択も同じ。
だから自分の決めた選択にも後悔しないわ!後は突き進むだけなんだからね!
戦闘準備を整え構える私に黄牙白象が起き上がると、その覇気を私に向けて放ったの。
「きゃあああああ!」
私はもろに壁に衝突してあいまったn
あぁ…
額から血を流す私は指一つ動かせなかった。力が入らない上に意識を保て…
ないわ…
私は頭を打って意識を失ってしまったの。
そんなこんな。
次回予告
場所を変えて各々戦いが始まる。
誰も死なずに勝ち残れるのか?




