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獅駝嶺の三魔王、激突孫悟空!

青獅王、黄牙白象、鵬金翅鳥


孫悟空の前に現れたのは黄牙白象だった。




私は法子


白虎変化の孫悟空と黄牙白象の因縁の戦いが始まっていたの。黄色い象牙に白い体毛のマンモスの姿をした妖恐と呼ばれる化け物。


「うぉおおおお!」


素早い動きの孫悟空の攻撃に対して、黄牙白象は長い鼻を振り回している。でも破壊力は抜群!紙一重で躱しているけど一発でも当たれば孫悟空でもひとたまりもないはず?しかも黄牙白象には異常な再生力も持ち合わせてるみたいだし一撃必殺で勝つしかないわ!


孫悟空の雷の爪が黄牙白象の身体を傷付けるけど、やはり直ぐに再生していく。繰り出される黄牙白象

からの激しい攻撃を躱しつつ、孫悟空はタイミングを見計らっていたの。


「俺様の最高をお前に食らわしてやるぜ!」


孫悟空は計算しながら戦っていた。効かないと思われていた攻撃は全て最後の一撃を繰り出すための布石だったの。


「そろそろね」


私は孫悟空の意図を見抜いて同じくタイミングを見ていたの。私は三妖仙にはフォンさん捜索に向かわせていた。八戒と沙悟浄も万が一孫悟空がヘマした場合に備えて、いつでも戦える準備をしていたの。


「今よぉー!」


私が叫ぶのと同時に孫悟空も動いた。


「!!」


黄牙白象は突如足に力が入らずに膝をつく。それは孫悟空の与えた傷が無差別に繰り出されていたように思えて、実は膝に集中させていたからなの。黄牙白象は再生力と頑丈な力に過信し、孫悟空の意図に気付かなかった。それが隙をうんだの!


黄牙白象は膝から崩れると、孫悟空は如意棒を抜いて雷の如く突き出す!黄牙白象もまた象鼻で孫悟空に攻撃するけど、左右から孫悟空の分身が現れて邪魔な象鼻を殴り付けて軌道を反らしたの。


「ドンピシャ!」


如意棒が黄牙白象の眉間を貫こうとした直後、孫悟空の動きが止まる?


「甘いぞ?美猴王!」


黄牙白象の象牙が鋭い槍の如く伸びて孫悟空を貫いたの。


けど、貫かれた孫悟空は消滅する?分身?


本体の孫悟空は何処?


「ここだぁー!」


天井から落下して来たのは如意棒?如意棒は落下しながら孫悟空の姿へと変わると、全身全霊の力をこめて黄牙白象の口の中に如意棒を突き刺すと、


「これで終わりだ!」


強烈な白虎の雷が黄牙白象の体内に向けて放たれたの!


「ウゴォオオオ!」


黒焦げになって音を立てて倒れる黄牙白象に、元の姿へと戻った孫悟空が着地する。


「これで一体、撃破だ!」


孫悟空が勝利を確信した時、私達は信じられない状況に震え上がったの。


「孫悟空ぅー!」


「えっ?」


孫悟空が私達の叫びに気付いて振り返ると、倒したはずの黄牙白象が意識を無くしながらも立ち上がり、焼き焦げた身体が勝手に再生し始めていたの。


「まだ虫の息じゃねぇか?だったら次で再生出来ないくらいにぶっ壊してやるぜ!」


孫悟空がまだ意識のない黄牙白象に攻撃を仕掛ける。同時に私は八戒と沙悟浄に命じたの。


「二人共!今が倒す絶好のチャンスよ?孫悟空に加勢して!」


「了解らぁー!」

「はーい!」


孫悟空、八戒、沙悟浄が同時攻撃を仕掛けた時、天井が崩壊し、背後の壁が爆発と共に穴が開いたの。そして両方から再び脅威が私達の前に現れたの。


崩壊した天井から大鵬金翅鳥が!爆発と共に開いた壁からは青獅王が現れたの。そして攻撃を仕掛けていた孫悟空達に向かって逆に襲い掛かる。


背後から突っ込んで来た青獅王が八戒と沙悟浄に追い付き顔面を掴むと、左右の壁に向けてぶん投げる。そして天井から急降下して来た大鵬金翅鳥が孫悟空の後頭部を足の爪で掴んで床に顔面を埋もれさせたの。


一瞬で形勢逆転??


孫悟空は埋もれた状態で妖気を放つが大鵬金翅鳥は軽々と躱して傷付いた黄牙白象の隣に着地する。そこには既に青獅王が並び立っていた。


「ゴフッ!」


見ると倒せるチャンスだった黄牙白象の身体は再生を終えて意識を取り戻してた。


「まさか獅駝嶺三魔王が揃い踏みするなんて…」


恐怖に震える。


どうしよう?圧倒的な戦力差!何とか一体ずつ倒していく作戦だったのに、これじゃあ返り討ちにあっちゃうじゃない?


「戦略的撤退をするしかないわ!」


けど、


「虫をわざわざ逃がしやしない」


大鵬金翅鳥の足下から炎が広がっていき、壁と天井が炎に覆われたの。嘘っ!逃げ場を奪われた?


「心配ねぇよ!」


孫悟空が起き上がる。その妖気は危機的状況に更に高まっていたの。


「あの猿は俺の獲物ですよ?手を出さないでくださいね?」


「美猴王はワタシ、始末する。ワタシの獲物!」


「グゥルル!」


三魔王は孫悟空を標的にしていた。それを孫悟空は知っていたから三魔王の注意を自分に引かせたの。


三魔王は我先にと孫悟空に襲い掛かる。


「八戒と沙悟浄は?」


ダメ、まだ青獅王に投げつけられて意識を失ったまま倒れてる。孫悟空一人で大丈夫なわけないし、私も戦わなきゃ!


けど、ダメ…足が動かないわ…まさか恐怖で足が鋤くんでいるの?


孫悟空が飛び出すと正面から大鵬金翅鳥、左右から青獅王と黄牙白象に時に攻撃される。孫悟空は何とかガードしつつも圧倒的な戦力差に防戦一方だったの。


どうしたら良い?


孫悟空の顔面に青獅王の拳が命中し、ふらついた所に大鵬金翅鳥の爪が横腹を裂き血を流す。そして黄牙白象の降り下ろした象鼻を腕を交差させ受け止めるも足が床に沈む。


「うぐぐ…」


身動き出来ない状態で青獅王と大鵬金翅鳥が我先に容赦なく鋭い爪が孫悟空に迫る。


「コノォ…」


十字に胸を裂かれて血を噴き出す孫悟空は意識が飛びそうになるが精神力と気合いで持ち堪える。


「はぁ…はぁ…」


ダメよ!このままじゃ孫悟空が死んじゃう!


既に孫悟空の妖気は急激に減っていたの。三魔王の攻撃をガードに集中していたけど、三魔王の一発一発の威力が全身の骨を砕く程の衝撃。受け止めるだけで妖気を急激に減らしてるの。


「てめぇら…」


やはり孫悟空一人で相手をするのは無理があり過ぎる。せめて私が戦えれば!


私は自分自身の頬を両手で叩き気合いを入れる。


「いつから私は受け身系になったのよ?しっかりしなさい?私!」


私は霊気を両掌に籠めると形を変化させて金の錫杖を構成させたの。


「私も戦うわ!」


私が向かって来る事に気付いた孫悟空が叫ぶ。


「馬鹿野郎!来るなぁー!法子ぉー!!」


「そんな事を言ってる場合じゃないわ!」


私に気付いた大鵬金翅鳥が私に目掛けて火炎放射を放つ。


「うぉおおお!」


私は金の錫杖を前方で回転させて盾にし火炎放射を防御しながら突っ込む。


けど、轟音と共に私の背後に青獅王が着地し、私を頭上から引き裂こうと爪を降り下ろしたの。私は咄嗟に錫杖で受け止めるけど錫杖は一撃で粉砕して消え、私は勢いで吹き飛び尻餅をつく。


「法子ぉおおお!」


「美猴王、オマエも死ぬ」


私を助けようと向かおうとする孫悟空の道を塞ぐ黄牙白象は太い腕で孫悟空の両腕を掴み上げる。孫悟空は蹴りを食らわすけれど効いてはいなかった。


「このまま、引き裂いてやる。オワリだ、美猴王!」


「ぐわぁあああ!」


孫悟空の悲鳴に私もまた微動だに出来ない状態。


一歩でも動けば青獅王が私にトドメをさしにかかる。


絶体絶命の危機…


それでも私は自分自身よりも孫悟空を助けるために動いた。せめて孫悟空が動ければ打開策がきっと見付かるかもしれない!


そう信じて…


私は渾身の気を残った最後の数珠に籠めると、孫悟空を掴む黄牙白象に向けて、


「いけぇええええ!」


弾いた。


一直線に飛んで行く数珠は光の弾丸となって、黄牙白象の左目を貫いたの!


「フヌォオオ!」


黄牙白象は視界を奪われた衝撃に孫悟空を手放した。


「やったわ…」


けれど私の背後から青獅王の爪が私の頭上に迫っていた。


あはは…気付いていた。


無防備な状態で全ての力を数珠に籠めた私に防御はもう出来ない。覚悟はしているし、これが最善策だと思ったから後悔はないわ。


けど、


「させるかぁあああ!」


孫悟空が猛スピードで私に向かって来て、私の手を取り回転させて入れ代わると、私の代わりに背中から青獅王の爪に切り裂かれたの。


「アガァ」


孫悟空は血だらけの状態で自らの血溜まりの上に意識が消えて倒れた。


「そ、孫悟空?」


孫悟空の妖気が急激に消えていくのを感じる。魂の力が消えていくのを感じる。命の灯火が消えかけていくのが分かる。


けれど私はそんな状態の孫悟空に駆け寄る事さえ許されなかった。


獅駝嶺の魔王が私に向かって近付いて来ていたの。


「例え殺されたって、私は最後まで戦ってみせる!私は最後まで諦めない!」


三魔王を前に私は最後まで戦う決意をした。


「私の命が消えるその時まで、私は負けないし諦めてたまるかぁー!」


倒れた孫悟空を守るように立ち上がる私に三魔王が迫る。


「来るなら来い!」


けれど三魔王の足が止まったの?


その理由は私にも分かった。私の背後から感じる感じた事のない力強い覇気が三魔王の足を止めさせたの。だ、誰?


すると私の肩に手が置かれた?


「言ったよね?法子を必ず守るって…僕が法子を守る!」


その彼は?


倒れていたはずの孫悟空?


無事だったの?


でも、何かが違うわ?


金色の髪が銀髪に?肌も褐色じゃない?しかも孫悟空の妖気とは異質の気を感じるわ?何が起きてるの?


「法子に手を出すオマエ達は僕の敵だ!消すよ?」


瞬間、銀髪の孫悟空の姿が消えて三魔王の中心に移動すると、覇気をぶつけて三魔王を吹き飛ばしたの。


突然の孫悟空の変化に三魔王達も驚愕するが、吹き飛ばされながらも着地して同時に攻撃を仕掛ける。


三方向から繰り出す攻撃を全て受け流す孫悟空の強さは桁違いだった。


「何?孫悟空どうしちゃったの?」


混乱する私に、


「あれは孫悟空兄貴じゃありません…」


「そうら。あいつは猿の馬鹿の中に住む別の存在らよ」


目覚めた沙悟浄と八戒が身体を引きずりながら私に説明したの。


「あなた達、無事だったのね?良かったわ」


「はい。法子さんも!」


「それより孫悟空の代わりようは何なの?別の存在って何?」


「詳しくは私達も知らないのですが、孫悟空兄貴の魂の中には別の魂が宿っていて、たまに孫悟空兄貴の肉体を使って表に出て来るのですよ」


「よくは分からないけど半端ない強さよね?もしかして勝てるんじゃない?」


「………」


八戒と沙悟浄は黙って返答出来ないでいた。それは銀髪の孫悟空が姿を現した時には必ず不幸が付きまとっていたから。


でも、今は銀髪の孫悟空に頼るしかないわ!


頼むわよ?


そんなこんな



次回予告


孫悟空の別人格?


銀髪、褐色の孫悟空の実力とは?

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