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フォンの決意!高みへの修行への道!


法子達の危機にフォンが立ち上がる。


フォンの奥の手とは?


自分、フォンです。


幼少の自分は姉と二人だけで生きて来ました。両親は物心つく前にはおらず、姉と共に生きるためにたらい回しにされながら生きて来た。


そんな自分達に更なる悲劇が起きた。二体の化け物金角と銀角が村を襲い、姉が殺された…

自分もまた、その時一度死んだようなもの。死んだと言うより、地獄に墜ちて闇に心を捨てたんだ。


覚醒


自分の何かが世の中への不条理に対して解放された。死霊使いの能力が!


その時の自分は幼いながら鬼か悪魔に心を委ねていた。


その方が楽だった。


けれど出会ったんだ。


あの方達に!


金角と銀角の襲来に自分は身体を奪われ、魂が暴走した。それでも、あの方は姉の魂だけでなく闇に閉ざされた自分の心をも救いだしてくれた。


その後、自分はあの方達の計らいで、この能力の活かせる武闘寺院に引き合わせて頂いた。武闘寺院とは妖怪に対抗するべく結成された人間達の防衛組織。


みるみる能力を自制出来るようになり、更に霊能力に磨きをかけて若いながら高僧にまで昇進した。


大僧正曰く、自分は既に武闘寺院では指折りのレベルだと御墨付きを頂き、更に上を目指すように修行の旅をしてはと提案された。


その後、妖怪に襲われ苦しむ人間達を救いながら、妖怪退治をして旅を続けていた。まるで、あの方達のようだと嬉しくもあった。


しかし自分は己の限界も知った。力及ばずに敵わない妖怪に遭遇し敗れた。


その時、旅の仙人に助けられたのだ。その仙人は指先一つで自分が敵わなかった妖怪を一瞬で消滅させた。


「あの方は何者なのだ?」


自分は何も言わずに立ち去るその者を追った。


「自分を弟子にしてください!」


「くどい!人間の小僧を弟子にするつもりはない。それに俺にはヤらねばならぬ事がある」


その者は人でなく神仙だったのだ。しかも流浪の神仙、高宣!


自分を無視し、逃げる高宣に付きまとい、何度も何度も懇願した。


「しつこい!何故、付きまとう?小僧、お前程の者なら人として生きる分にはもて余す力だろう?」


「いえ!自分の力など些細なもの。この世を救うには落ちている小石程度」


「世を救うとな?お前程度の小僧が?確かに小石よな?あはは!」


「………」


真剣な自分の意思をくんでか?それともただの余興だったのか?高宣は自分に三年間の期限限定で修行をつけてくれた。


「ほぉ~人間の身で俺の術の理の一端を我が物にするとは驚いたぞ」


「高宣師匠」


傷付きながらも死に物狂いで自分が得た力とは高宣師匠の使う孔雀明王印仙術の初級程度。しかし今まで学んだどの仙術よりも高度かつ、洗練されていた。


驚くほど充実した三年間であった。もしかすれば命を落としていたかもしれない。それだけ崖っぷちの中で手に入れたのだ。才能ある者一万人が死ぬ気で百年かけて手に入れられるのは一人いるかいないかと言っても過言ではない。


高宣師匠は三年きっぱりで自分の前から姿を消した。


その後、自分は再び武闘寺院に戻り、大僧正に自分の旅の全てを語った。


「フォンよ。お主は紛れもなく神の一端を手に入れたのだ」


「はぁ…」


自分には自覚なかったが、人間の域を遥かに超越しているのだと。


「フォン。それほどの力を持ちながら闇に染まる事なく、その魂は穢れなく清らかだな?それも、あの方の導きゆえか…」


「私はもう二度と闇に染まる事はないでしょう」


そう言って、私は疲れを癒すために浴場へと向かった。


女湯へと…


「やっぱり、癒されるなぁ~うむ。長い旅の疲れも修行の試練も吹っ飛ぶようだ…おっ?おっ?おっ?」


ご馳走さまです!


その次の日、自分は考えていた事を実行に移す。


自分がいる場所はかつて自分を貶め、何もかも奪った大妖怪の墓の前だった。


呪われた魂が結界によって封じられている。結界を解けば災いが撒き散るのは知っていた。しかし自分は結界を解こうと考えていた。


「お前達を解放してやるぞ?金角、銀角!」


自分は結界解除の印を結ぶと墓場が塵となって粉砕した。すると中から邪悪な妖気が噴き出して来た。


「お前達に身体をやろう?」


自分は二つの人形を放り投げると、墓から噴き出した妖気が人形を宙に浮かせたまま止める。そして人形は妖気の主だった化け物の姿へと変わった。


「怨めしい…」


人形はカタカタと動き出して自分に向かって襲い掛かって来たのだ。


「ふん!怨めしいのは自分の方だぞ?だが、お前達の力を無駄に残し、いつ災いを起こすか不安になっているよりも、自分の監視下に置いておいた方が良いと思ってな?お前達は自分が使わせて貰うぞ!」


印を結び、霊気で作った棺桶に人形を閉じ込める。ガタガタと中で暴れているのが分かる。凄まじい妖気が竜巻のように噴き出す中で金角と銀角が逆らおうと棺桶を破壊しようと抵抗する。自分もまた力を付けた。大丈夫。かつては金角と銀角を自分の力にしようと邪心を持って取り込み逆に肉体を奪われた。しかし今は確信している!


「やれば出来る!やらねば出来ぬ!ふん!」


すると宙に浮いて暴れる棺桶から噴き出す竜巻に向かって、逆に自分が放つ霊気の竜巻が棺桶を覆う。


「式鬼神封」


結界は荒ぶる棺桶の動きを止めると鎮まり地面に落下する。


そしてゆっくり棺桶が開いた。


「………」


中より金角と銀角が姿を現す。その身には特製の拘束結界の鎧を纏い、二度と暴走しないように魂を封じたのだ。


「正直、二度とお前達の姿を見たくなかった。だが、お前達を自分のもとに置くことが自身への戒めだと思っている」


そして自分は金角と銀角を新たな力として式鬼神として手に入れたのだ。



場所は三魔王の地下城。


金角と銀角を使役して最強の魔王を相手に戦う。


「フォンさん、凄い!分かるわ!その鬼神の強さ」


躱して魔王の鋭い爪を二体の鬼神は躱していた。しかし油断は出来ない!


速攻、片付けないと長期戦は不利!


銀角の掌から氷結が集中していき大鎌が二倍近く巨大化する。金角と銀角は氷狼族と呼ばれる氷の術を得意とする大王だった。


「氷結大鎌祭り!」


鎖の付いた大鎌を振り回すと辺りが凍り付いていく。それは魔王の動きを止める布石、足下が凍りついた瞬間、鎖大鎌が襲う!


「!!」


だが、魔王の身体から発する覇気が足下の氷もろとも向かって来た鎖大鎌が砕け散った。


「次だ!」


金角もまた既に氷結の剣を構えていた。冷気を一点に籠めた剣で、覇気を放ち終えた魔王のタイミングを見計らって斬りかかる!


「氷結抜刀生美流!」

※ヒョウケツバットウナマビル


金角の剣が魔王の腹部に突き刺さった!更に心臓目掛けて突き上げる。


「!!」


が、剣はそれ以上動かなかった?魔王の鋼の筋肉によって止められていたのだ。魔王に殴られた金角は壁に直撃して倒れる。


「金角!」


まさか金角と銀角を使っても倒せない相手なのか?否、まだ自分の力を出し切ったわけじゃない。今は後先考えずに目の前の敵を倒す事に集中する。そうでなければ守れる者も守れやしない。横目で法子さんを見て、かつて亡くした姉の姿を被らせる。


「もう二度と失うものか!自分の目の前で大切な者の涙を流させてたまるか!」


自分の沸き上がる闘志が最終奥義を出させる事に躊躇しなかった。当然、その身に降りかかる反動なんか迷っている場合じゃない!


印を結び唱える。


「狼神変化唯我独尊!」


金角と銀角が立ち上がると遠吠えを発して狼の姿へと変わる。更に自分の身体へと吸い込ませたのだ。


「これぞ鬼神と人間との融合奥義だ!」


二体の狼神の鎧を身に纏い、人間が超えられない境地へと踏み込んだのだ。


「いざ、参る!」



二体の狼のオーラが我が身を守護し、特攻の如く魔王へと攻撃を仕掛ける。五感が研ぎ澄まされ、魔王の動きに反応出来ていた。互いに素早い攻撃を繰り出し、躱し、連続技が激しくぶつかり合う。


身体中が傷付き鎧にヒビが入る。鎧の隙間の身からは皮膚が裂けて血が噴き出す。しかし魔王もまた自分の攻撃をくらい、血を噴き出していた。消耗は互角!やりあえる!倒せない相手じゃない!


自分と魔王との戦いに法子さん達はただ見ているしか出来ないでいた。


それで良い。自分が皆を守ってみせる!


だけど、それは自分自身の過信だった。気付いたのだ!目の前の魔王の本当の脅威に気付いてしまった。


「馬鹿な!?」


魔王の身体に傷が残っていない?身体の傷が戦いの最中に再生しているのだ?


更に動きもキレも速くなってはいないか?自分との戦いの中で成長しているとでも言うのか?


その僅かな分析と迷いが隙を生んでしまった。


「ぐはぁ!」


魔王の拳が胸に直撃し鎧が粉砕し、強烈な衝撃が身体中が走った。口から溢れんばかりの吐血をし、意識が吹き飛ばされそうになった。むしろ意識を保つ事で激痛が全身を襲う!


「あっ…あぁぁ…」


まさか一発で、倒されるなんて事が…


それでも絶対に負けられない。いや、例えこの場で自分が死んだとしても、絶対に法子さん達だけは手を出させてたまるかぁ!


「うぉおおおお!」


全身血だらけで、それでも闘志を失わせずに戦おうとする自分に、魔王が容赦なく襲い掛かって来た。


指一つ動かない?


立ち上がるだけで全ての力を使い果たしてしまった…


そんな自分の前に飛び出して来た者が?


「法子さん!?」


駄目だ!逃げてくれ!


魔王が拳を降り下ろした瞬間、自分はもう駄目だと思った。


しかし?魔王は轟音を立てて床に倒れたのだ。


「まさか!?」


法子さんは魔王の降り下ろした拳にタイミングを合わせて、その力を逆に使い軌道を変えて合気なる術を使い倒したのだ。


「す、凄い…」


法子さんは真剣な顔で私に叫ぶ。


「私達だって戦うわ!だから無茶しないで、フォンさん!」


直ぐに沙悟浄さんが自分に霊気を流して治癒を始める。全身の骨が砕けたはずなのに痛みが消えていくようだ?瞬間的に痛み止めをし、粉々になった骨や切れた神経の再生をしている?


「沙悟浄さん?」


「喋らないで!必ず助けますから!」


八戒さんも法子さんを守るように前に出る。


あぁ…


やはり守られてしまうのか?まだまだ未熟…


その時、魔王が唸りをあげて立ち上がると、法子さんに向かって飛び出そうとしていた。


く、来る!?


その直後、天井が砕けて火炎放射が魔王と自分達の真ん中に壁を作ったのだ。


「うぉおおおお!」


天井から飛び出して来たのは、朱雀の鎧を纏った孫悟空さんだった!



この戦いは、まだまだ終わらないのかもしれない。



次回予告


決死のフォンの危機に、


孫悟空が駆け付けた!


これで安心・・・なのか?

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