表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/713

私の知っている美味しい食べ物?


法子一行は新しい旅を続けていた。


今度の物語はどんな展開になるのやら?


私は法子。


私達一行は今、西に向かっていたの。えっ?どうして西かって?だって、西遊記の世界みたいだから西に何かあるんじゃないかな?って名推理で西へと目的地を決めたわけよ。


「てかさ?西には何があるの?」


「西ですか?」


沙悟浄が説明するには、この地[恐らく中国]は四つの地に分かれているらしく、その中でも西は今、荒れに荒れているみたいなの。


「どうして西が荒れてるの?他と何が違うの?」


「それはですね~」


本来、四つの地には支配する大魔王がいるらしいの。


「なるほどね~。つまり?その大魔王を倒せば良いわけね?」


「違います!違います!地上界を支配している大魔王は、天上界の神々より地上を任せられているんです」


「えっ!?魔王が神様に頼まれて地上を任せられてるの?何よ、それ?」


「しかも西を本来統べる大魔王は今行方が分からないでいるとかなんとか?で、統率の無くなった西の大陸は今、腕に自信のある妖怪達が跋扈し、我先にと地上権を支配しようとしているみたいなんです」


「そうなのね。つまり、その大魔王が留守しているせいで、調子に乗った連中が集まったんだ?大魔王てのは抑止力みたいな存在なのね?」


「そうなんです」


「ふ~ん」


と、この世界の秩序と成り行きみたいのを学んだのは良いけれど、私と沙悟浄の前方を歩く孫悟空と八戒は胸いっぱいな顔をしていたの。


えっ?どうしてかって?


別に二人の事なんか気にしないで良いわよ?


何?気になる?


う~ん…


実はね?


それは遡る事、三日前。


「も~う!歩けない!疲れた!お腹空いた~」


私が駄々を捏ねて座り込むと、八戒と沙悟浄がやれやれと困った顔で私をあやす。


その中で孫悟空だけは、


「何を甘ったれてるんだよ?そんなんで旅を続けられんのかよ!」


「ムカッ!沙悟浄、孫悟空の頭を叩いて来なさい!」


「え~私には無理ですよ~」


「なら、八戒?あんたが孫悟空の頭を叩いて!」


「いや、ここは法子はんが我が儘らよ?オラは孫悟空側ら」


「何よ!八戒まで!私に文句あるなら、もう一緒に旅なんかしてあげないんだから~」


と、我ながら大人気ないのは理解しているわ。けれど考えてもみてよ?人間の私が妖怪の彼らと同じペースで旅を続けたら身が持たないわよ?マジに?


目的地が定まっていなかったからって理由もあるけど、あっちこっち、行ったり来たり、とにかく歩きっぱなし。意地になって今まで弱音を吐かなかったけど、もう無理!死ぬわよ!!


私の体力的にも精神的にも限界が来てたの。それを私の我が儘が原因みたいに言われると腹が立つ理由も分かってくれるわよね?


「法子様?」


えっ?あら?


そこに沙悟浄が私の異変に気付いて慌てる。私は旅の疲労の限界で、意識を失ってしまったの。流石に孫悟空と八戒も慌てながらアタフタし始める。


そんなこんなで私は孫悟空に背負われ近くの村へと運ばれたの。


「う~ん。おはよ~」


私が目覚めた場所は宿屋だった。目の前には孫悟空達が心配そうに私を覗いていたの。


そんな彼らに私は…


「きゃああああ!」


私は慌てて孫悟空、八戒、沙悟浄をぶん殴ったの。だって起きたらまじまじと寝起きを見られているなんて、それこそパニクるわよ!世界中の女子高生が私に共感するでしょ?


たん瘤を擦りながら孫悟空達が言葉をかける。


「すまねぇな?お前の身体の事も考えなくて…」


「オラも悪かったらよ」


「法子さんの事をもう少し気遣うべきでした」


三人は私が疲労で倒れた事を反省して、三人で話し合い謝る事にしたみたい。


「はぁ…私も言い過ぎたわ。ごめんね?」


そんなこんなで仲直りした私達は美味しい料理を食べたの。


「美味しいわね」


「本当ですね」


孫悟空と八戒はがっつきながら食べてる。


「ふぅ~お腹いっぱい!」


「満腹だぜ」


「オラもら~」


ご馳走に満足している孫悟空と八戒に私はちょっと自慢気に言ってみたの。


「でもね?もっと美味しい料理が世の中にあるのよ?知らないでしょ?」


「何らと?そんなご馳走があるらか?」


「あるわよ!私のいた世界には、あんた達が食べた事がないようなご馳走がごまんとあるんだから!」


「おぉおお!」


興味津々の八戒に私は言葉を続ける。


「知らないでしょ?カレーとか、ビーフシチュー!グラタンにお寿司!それにデザートのケーキにパフェにチョコレートにクッキー」


八戒と沙悟浄が聞いた事のない数々の横文字食べ物の名前に頭の中でクエスチョン状態の中で、孫悟空だけが自慢気に返したの。


「知ってるぞ?」


へっ?


私は孫悟空の返答に唖然となったけど、


「知ったかぶりは止しなさい?絶対に知らないでしょ?ねっ?」


「だぁから!知ってると言ってるんだよ?カレーにケーキにクッキーだろ?それからハンバガ!確かに滅茶苦茶美味いよな~」


「嘘嘘嘘嘘嘘!」


「嘘じゃねぇーよ?そんなに疑うなら、食べに行こうじゃねぇか!」


ハンバガって、ハンバーガーの事かしら?でも、この時代にあり得ないわ?そんなジャンク食品なんて?


「本当なんらか?そんな未知の食べ物が存在するんらか?」


「あたぼうよ!」


「それが本当なら、食べに行くのが筋ってやつじゃないらか?いや、行くべきら!」


「そうだなぁ。俺様も久しぶりに食べたくなって来たなぁ~」


「どうします?法子さん?」


「そうね。嘘ついたらハリセンで叩くからね?」


「上等だ!」



そんなわけで、私達は孫悟空の案内で西にある謎の食堂がある村へと向かっているのでした。


旅の途中、いつもより私を労っているのは何と無くわかったから私も我が儘は半分くらいに我慢したの。


なるべく…



そうそう!前以て話には聞いていたけど、西の地へ入った頃から私達は妖怪の盗賊に狙われる事が増えたのよ!当然、孫悟空達が撃退してくれたけど、西の大地に入ってからは本当に頻繁に現れるようになったの。


「こんなに妖怪が現れるんじゃ人間は生活出来ないんじゃない?」


「そうですね。それでも村には四方に結界を張ったりして簡単には妖怪に襲われないように手もうっているんですよ?」


「そうなの?」


「それだけでなく人間達も妖怪に対して戦うすべもあるんですよ?」


「えっ?」


「この地には各地に寺院がありまして、そこには妖怪に対して法術を身に付けた人間の僧侶が沢山います」


「用心棒みたいな事もしているら」


「村から村に移動するには必要ですからね。依頼して護衛して貰うんですよ」


「あら?妖怪と戦える人間なんているんだ?驚きだわ!」


驚く私に、孫悟空達が「お前もだろ!」と呆れた顔をしていた。


「この世界で人間も立派に強く生きているのね?」


「おぃ?法子!」


「何?孫悟空?」


「あの山の向こうにある村だぜ!俺様が連れて行きたい村は!」


「えっ?」


私は山向こう離れた場所に見える村を見た。


「…なるほど。あそこにハンバーガーのある店があるのね?本当かどうか分からないけど、好奇心が高まるわ!孫悟空?分かってるわね?こんだけ私を期待させたんだから、裏切ったら承知しないわよ?」


「お前、本当に疑り深いな?」


「オラも承知しないらよ」


「お前もかよ!八戒!」



私達はわくわくしながら村に向かって駆け出したの。


そして村の入り口前に着くと結界に閉ざされた門に塞がれてた。更に言えば村を囲む四本の柱があって、そこから強い力を感じたの。


「本当みたいね?あそこに見える柱の結界が村を囲んで守ってるみたいね」


私達は結界の前まで来ると沙悟浄が孫悟空と八戒に飴玉を手渡していた。


「何、それ?私の分はないの?」


「あ、これは妖気を隠す薬なんですよ~。法子さんには必要ありませんよ~」


「妖気を隠す薬?」


この薬を飲めば妖怪は妖気を最小限まで抑え込まれて、人間並の力になるらしいの。それで妖怪でも結界の張ってある人間の村に入れるんだって!便利ね?


「苦ぁ~」


しかも苦いらしいから私は試しに飲もうとしたけど止めた。


三人は妖気を消すと確かに村に入れた。


「これを飲むと頭痛がするから好きじゃねぇよ」


「それよりも早く見た事もない飯を食わせるらよ!」


孫悟空がぶつぶつ言うと八戒が急かす。そうだったわね?私も早く行きたいわ。


私達は村に入ると周りを見回す。意外と活気に満ちていて驚いたのよ。


「それにしても…」


孫悟空と沙悟浄は元から人間の姿寄りだから良いのだけど?


あっ…尻尾や頭の皿は隠してるわよ。


八戒には困ったもんよ。見るからに妖怪だもん!だから取り敢えず人間の姿に化けさせたの。褐色の小太り中年にね?


そして私達は孫悟空の案内する食堂の前に着いたのでした。


「あっ!」


私は正直、驚いたわ!だって、この世界に来てから二度と嗅げない匂いに身体が震えたから。


私達は恐る恐る、期待度MAXで店内に入る。



「いらっしゃい!」


女性の声が響くと私達を歓迎するように店主らしき女性が向かって来たの。


「あんた達、三人かい?」


「えっ?」


姉さん的な女性の応対に私が怯むと、後ろから孫悟空が答えたの。


「四人だぜ!愛音!」


自分の名前を呼ばれて孫悟空の姿に気付いた女店主は驚いた顔になって、


「孫悟空!」


孫悟空に向かって抱き付くと、次に拳で頭をグリグリして怒る。


「あんた!何年も顔を出さないで、心配したじゃない?何をしてたのさ?」


「あはは!ちょっとな?」


すると孫悟空の瞳が僅かに曇ったのに勘づいた彼女は再び孫悟空を抱き締める。


「馬鹿やろ!恥ずかしいだろ?抱き付くな!」


「相変わらずね?今日は友達連れて来たのかい?」


「まぁな?何か美味いもん食わせてくれよ?」


「仕方ないね~」


すると女店主は私に目をやると、信じられないような顔付きで驚いたの。


「せ、制服?」


彼女が驚いたのは私の着ている学制服だったの。それは何を意味するかって…


えっ?まさか?


彼女は私に言ったの。



「貴女も未来から来たの?」


それは私にも衝撃的で、私以外にも別の世界から来た人がいる事に私は驚いて言葉が出なかった。


そんなこんな。




次回予告


今回登場の料理店の店主、愛音は第一部の「転生記」にて登場しています。


そんな彼女との再会はどんな物語へと進むのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ