夫婦妖怪の襲撃!?
物語は新たな事件に遭遇?
法子一行はどんな事件に巻き込まれるのか?
私は法子!
私は白骨乙女さんの件から孫悟空、八戒、沙悟浄と一緒に旅をする事になったの。因みに鉄扇ちゃんは用事があってまた何処かにふらっといなくなったわ。
とりあえず凶悪な妖怪が跋扈するこの世界で、右も左も分からない女子高生が一人で旅をするより、何かと便利で使いやすいボディーガードがいた方が楽…安全でしょ?
理由は分からないけど、彼らは以前旅をしていた三蔵法師様に頼まれて私を守ってくれてるみたいだけど…
性格に難があるのよ!
最近分かった事は三人は扱いが大変だって事。
お供なんだから従順にして欲しいわ?
孫悟空はヤンキーで直ぐに怒るし、私としょっちゅう喧嘩するの。でもバトルの実力は間違いなく本物よ?朱雀に玄武って聖獣と融合して桁違いの力を見せるんだから!
八戒はスケベで破廉恥で、変態だし、大喰らい!そこそこ強いみたいだけど臆病な所があるから、危なくなると直ぐに隠れて逃げたりするのよ。使い物にならないわ!
沙悟浄は…まぁ、唯一従順なんだけど、あんまり戦いでは役に立たなかったりするのよね。けど洗濯から料理までこなすし、意外と知識あったりすかるから適材適所かな?
せんなわけで私達は法子一行として新たな旅を始めたわけです。
意外と彼等は知名度があるみたいで、弱そうな妖怪は絡んで来ないのだけど、名をあげたくて無謀にも私達に喧嘩売って来た妖怪を返り討ちにしている毎日。
「本当に懲りないわね?」
私達に喧嘩売って来る妖怪はそこそこ腕がたったわ。けれど、孫悟空の強さは遥かに上回っていたの。あの白骨乙女さんや、骨覇美神のような強敵はそう滅多に現れなかった。
「これなら思っている以上に楽に旅が出来るかもね」
けど…
そう世の中簡単でもなかったの。それは沙悟浄の一言だった。
「で、法子さん?何処に向かって旅をするのですか?」
「えっ?あれ?」
私は根本的な事に気付いたの。私は何処に向かっているの?この世界の中心で私はどっちに向かえば?そもそも何をする旅だった?
確か…
私はこの世界に来た理由を思い出してみたの。私にはこの世界でやるべき事があるのだけど、その目的が天竺を目指す事なの。
天竺って、西遊記の物語で定番の場所よね?確かに孫悟空に八戒、沙悟浄がいるのだから、私は三蔵法師様の代わりに旅をするって事なのかな?やっぱり?
そして私はこの世界で十二人の人探しをするみたいなの。手がかりは瞳が金色に輝く魔眼を持った人達?もしかしたら人じゃないかもしれないけど、あ、もしかしたら?私は手始めに三人に聞いてみたの。
「ねぇ?貴方達って瞳が金色に輝いたりするの?」
「はぁ~?俺様の瞳は緑色だ!よく見ろよ?寝惚けてるのか?」
確かに孫悟空の瞳の色は綺麗な緑色だったの。
「そうじゃなくてさ?ほら?急に瞳が輝いて強くなったりしない?」
「意味分からないぞ?瞳が輝くって、気を目に集中させるのか?」
「そういうのとは違うんだけど…何て説明したら良いのかな?」
「法子さん?それって魔眼の事を仰有っているのですか?」
「魔眼?あ、そうそう!金色に輝く魔眼よ!それが、あんた達にあるの?って、聞いてるのよ!」
「ねぇよ?」
「ありませんね~」
「ねぇらよ」
三人はお互いを見合せて瞳の色を覗いていた。嘘は言ってないみたいだし本当みたいね?
残念だわ…
そこで私は孫悟空達を集めて旅の目的を告げたの。
「私達は今から天竺を目指しながら、金色に輝く魔眼を持った仲間を集めます。良いわね?この旅が終えるまで、あんた達は私を守りなさい!」
「へ~い!」
三人は、最初から分かっていたかのように頷いた。後で知ったのだけど、前任の三蔵法師様も同じ目的で旅を続けていた途中で、命を落としたなんて…聞かなきゃ良かったと、本当に後悔したもんだわ。
でも、乗り掛かった泥船!もう引き返せないわ!
沈みたくないものね?
そんな私達の動向を離れた場所から隠れて覗き、追って来ている人影が二つあったの。
「練り込んだ罠がお前達の行く先に張り巡らした。後は、かかるだけだ…」
一体、何者?
でも、その罠は突然私達の前に降りかかったの。
「えっ?えぇええ?」
突然、私達の上空から網が広がりながら落ちて来たの?私は網の影に気付き上空を見上げると、孫悟空に命じたの。
「孫悟空!」
「分かってるぜ!如意棒伸びろぉー!」
孫悟空は如意棒を抜くと地面に突き刺して、その長さを伸ばして網を逆上させて難を逃れたの。
「八戒兄貴!あれ?」
沙悟浄が気付いたのは四方に仕掛けられた地面から盛り上がった罠。それは私達に向けて無数の槍を飛ばして来たの。慌てて八戒が印を結んで術を発動する。
「水術・防水壁」
八戒を中心に水が噴き出して私達を囲むように水術の壁が覆い、飛んで来た槍から守ってくれたの。
私達は周りに気を巡らせて敵の居場所を探る。
敵は何処に?
「あっちから妖気を感じました!」
沙悟浄が先に気付いた方向には確かに妖気を感じたの。すると人影が観念して姿を現したの。
「せっかくの罠が無駄になっちまった。だったら力付くでお前らを倒す!」
ソイツは人間?違うわね?妖気を感じるから人間の姿に化けているのよね?
「フンォオオオ!」
男は妖気を解放させると顔面の皮膚が青く変色して額に二本の角が現れる。
牙を剥き出した妖怪で、凶悪そうな顔をしていた。
「オラが相手ら!」
敵が一人と分かって飛び出したのは八戒だった。
八戒は顔面蒼白の妖怪に向かって殴りかかると、拳と拳が衝突して衝撃波が走る。互角?八戒は割りと実力があるはずなのに、敵の実力も侮れないわ?
「うむむ?」
すると孫悟空が難しい顔をしながら、二人の戦いを見ていたの。
「孫悟空?どうしたの?あの妖怪を知ってるの?」
「何か見た事があるような気がするんだけどなぁ?はて?何処だったかな?う~ん?」
そこで、八戒が敵の妖怪に殴られて転がったところに孫悟空が代わりに飛び出したの。
「やっぱり拳で交わさないと思い出せないぜ!」
孫悟空は引っくり返った八戒を踏みつけて飛び上がると、相手の妖怪に向かって殴りかかる。
強烈な拳の一撃が相手の額に直撃したけれど、怯まずに持ちこたえてニヤリと笑う。そして逆に孫悟空を殴り付けて倒したの??
「うぐわぁあ」
あの妖怪強いわ!孫悟空の拳を受け止めて平気だなんて?
「いてぇ~!やるな?アイツ!でも俺様も燃えて来たぜ!」
孫悟空は立ち上がると、久しぶりの強敵に血が騒いだの。そして、さっきよりも強烈な拳を敵の腹にぶちかましたの。
「こんなもんか?この程度なら全然、平気だぞ?」
「なんて頑丈な野郎だ!」
「かつて俺を一撃で殴り付けてぶっ倒した人間に比べたら大したことない!」
「お前を一撃で殴り付けて倒した人間?そんな人間がいるのか?ん?ん?」
その時、孫悟空の目の色が変わったの。
「そうかぁ…成る程。だったら俺様はお前を次の一撃でぶっ倒してやるぜ!」
「出来るのか?お前に?」
「出来る!」
孫悟空が拳に覇気を籠める。どうやら本気のようね?
「覚悟しろよ?黄袍怪!」
「ん?何故、俺の名前を知ってるんだ?」
孫悟空は全身全霊の一撃で拳を放ったの。
「ウグッ!」
今度の一撃は流石に効いたみたいだったけれど、ゆっくり顔を上げて孫悟空を見てニヤリと笑う。
「まだダメか…」
けど、ん?黄袍怪と孫悟空に呼ばれた妖怪は、そのまま白目を向いて引っくり返って気絶したのでした。
「八戒!沙悟浄!」
「イエッサー!」
私が命じると八戒と沙悟浄が縄と術札を持って駆け寄ると、急いで縛り上げて何枚も術札を貼り付けたの。
「これで一件落着ね?で、どうしようか?」
と、そこに?
「待ってくださ~い!」
えっ?
女性の姿をした妖怪が黄袍怪を庇うように私達の前に飛び出して来たの?
誰?
すると、その女妖怪も妖気を発して顔の皮膚が青く変色して角が生える。
また同じのが現れたの?
「お願い致します!私の旦那の命を助けてください!私は何でも致します!だからお願い致します!お願い致します!」
奥さんですか?
泣き叫ぶ奥さんに私達は顔を見合せて、
「とりあえず私達を襲った理由を聞かせてくれないかしら?」
「うるうるうる」
そして語られたのは、この顔の青い妖怪夫婦の苦難の日々だったの。
奥さんの方は本来、とある地の青鬼族首領の一人娘。それを青鬼族の戦士であった旦那が一目惚れして恋の逃避行してしまったの。けれど、恩のある首領に対して仇で返し、顔向け出来ないと旦那は一花咲かせようと名を上げようと妻と二人、放浪の旅を続けたの。
二人を名を上げるために妖怪達が指名手配していた人間の僧侶に目を付ける。
様々な妖怪達が返り討ちに合い警戒はしていたけれど、所詮は人間。
青鬼族の戦士としての誇りと自信。妻を養い、首領に胸を張って錦を飾るために負けるわけにはいかなかったの!
けど、負けた…
まさか人間に負けるなんて?誇りも自信も一瞬にして消えた。
「ゆ、許してください」
妻と一緒に泣いて懇願し、情けで命を救われた。本当に強かった。頑丈が取り柄の黄袍怪が、後頭部を殴られ、腹を殴られて意識を飛ばし、目の前の人間に対して絶対的な恐怖と命を奪われる喪失感に襲われたの。
「あんたを?たった二発で?相手はどんな人間よ?」
「そんな人間がいるはずないらよ?そんな人…ん?」
「はて?あれ?」
八戒と沙悟浄が顔を見合せる中で、黄袍怪は答えたの。
「子猿を連れた赤い袈裟を纏った僧侶でした…」
「!!」
八戒と沙悟浄が真っ青になり、孫悟空が一言入れる。
「その子猿は俺様だぞ?」
「へっ?」
「黄袍怪!お前が過去に喧嘩売ったのは子猿の姿をした俺様だよ?」
「えっ?えっ?」
確かに子猿は金色の毛をした猿だった。目の前にいる孫悟空は確かに金髪で…同じ妖気を感じたの。
「ウギャアアアア!」
「あはは。久しぶりだな?お前の事を思い出したぞ。確かに俺様はお前と会ってるぜ!」
私だけ話の展開に付いていけないまま、まだまだ話は続きます。
そんなこんな。
次回予告
今回の登場した黄袍怪の夫婦は、実は転生記シリーズの第一段の「転生記」
にて登場しているらしいわね?




