怒り爆発!女子高生の覚醒?
蘇我入鹿を操っていた黒幕がいた?
その者は一体??
私は法子!
私は太子君に腕を引っ張られて現実世界を逃避行している?
えっ?えっ?えっ?
今、どんな状況なの?
話を順に話すわね?
私達の前に現れた者は太子君の宿敵だった蘇我入鹿を容易く消し去ったの。
そして話の流れから、アイツが睡眠事件の黒幕みたいなんだけど?
アイツを倒せば、そこで漸く解決?
と、思いきや…
突然、太子君に腕を引っ張られて、その場から一目散に逃げたの!
一体、何だって言うの?
だけど、太子君は青ざめた顔で、とんでもない事を私に告げたの。
「アイツは…神だ!」
えっ?神様ですって?
私は太子君に合わせて夢世界を一直線に逃げる。
「アイツが黒幕なら倒さなきゃダメじゃないのよ?」
「馬鹿を言うな!君はあの者の存在感を感じなかったのかい?」
「でも、やってみなきゃ解らないじゃない?」
「解るさ…奴が現れた時、試しに私は奴に向かって70通りの具現化攻撃を仕掛けたんだよ?それを全て無かったかのように消されたのだから…」
えっ?
太子君程の夢術師が相手にならないなんて?
「少なくとも私は自分が人類史上最高の夢術師だと自負しているつもりだ。聖徳王の名にかけて、夢世界では最も神に近いと胸を張って言えるさ?だけど…」
「だけど?」
「本当の神を相手にしたら、所詮は人間レベルだって身を持って味わったよ!」
「でも、何処に逃げるって言うの?
そして、更に速度を上げてペガサスを飛ばす。
その時、悪寒がしたの?
「ヤバッ!もう追い付いて来たぞ?」
「えっ?」
私達の背後の空間が濁り始めて、障気の手が私達に向かって伸びて来たの?
「危なっ!」
私が叫ぶと同時に見えない壁が、障気の手を打ち消したの。
「夢世界の自在権を奪われたみたいだ…それでもバリアは間に合ったようだ?」
「何か策はあるの?」
沈黙する太子君に、私はやはり戦うべきだと術札を手で触る。
「策は…」
その時、私達の目の前に例の奴が姿を現したの!?
「逃げ場が無くなっちゃたわよ?もう戦うしか…えっ?」
私は気付いたの…
太子君が平然と私の胸に手を伸ばして来たの??
えっ?って、おぃ!
「バチン!」
私の平手打ちが飛んだ!
「痛い…」
「あんた!何をとちくるってんのよ?まさか年貢の納めってわけ?私の胸はそんな安売りしないわよ!それにさっきまでの純愛物語は何だったのよ!」
私の怒りツッコミに、
「違う!違う!違うから!ちょっと冷静になっ…」
言い終える前に再び太子君が私の胸に手を伸ばす!
「性懲りもなく…良いわ…アイツを倒す前に、貴方を先に始末するわ!」
「も~う!ちょっと我慢してよ!」
「我慢せず殴るわ!歯を食いしばれー!」
けど、その前にエロ太子の手が発光し、私の身体を光が包んだの?
何をしたぁ……??
私は光に飲まれて消えた。
そして消えた私を見届けた後、太子君は向かって来た何者かに再び振り向くと、
「例え神であろうと、夢世界の理は変えられまい?」
『解夢!』
太子君は両手を叩くと、閃光が夢世界を一瞬にして覆って追って来た謎の神様ごと飲み込んだの!
「ハッ!」
気付くと私は自分の家にいたの?
目の前には眠っている太子君がいた。
私は頭を整理しようとすると、眠っていた太子君が遅れて目を覚ましたの。
「ふぅ~自分の夢で良かった。何とか脱出出来たようだ…万事休す」
と、そこに私が太子君の胸ぐらを掴む。
「あんた!どういうつもりよ?」
「あ…ちょっと誤解だよ!誤解だって!」
太子君は私に弁明…解るように説明したの。
つまり、夢世界で私達を追って来た神様にはどう足掻いても敵わないと思った太子君は夢世界での裏技を使ったのよ。裏技とは?
夢世界で一番注意しないといけない事は、夢を見ている者が目を覚ましたら、夢の中にいる夢術師も消滅してしまうという理。
「自分の夢世界だったから上手くいったけど、他の者の夢だったら成功したか解らなかった…でも、これで例え相手が神であったとしても消滅したはずだよ」
「それにしても何者だったんだろう?」
「解らない…夢を支配する神か…」
と、その時!
「!!」
私達は同時に悪寒を感じて鳥肌が立ったの!
しかも、身体が恐怖に震え出す?
「まさか?」
直感的に私達は「ここにいたら危ない!」と、家から逃げるように外へと駆け出したの!私達が家を飛び出した瞬間、まるで重い鉄球に押し潰されたかのように、
「きゃあああ!私の家が消えたぁあああ!」
愕然とする私の手を掴んだ太子君は、
「それどころじゃない!早くここから逃げるんだよ!」
強引に引っ張り逃げ出したの!
あわわ…私の家がペチャンコ…ペチャンコ…
私は半べそかきながら怒りが込み上がる。
でも、お父さんも勇斗も家にいなくて良かったわ…
私と太子君は逃げながら、後方より闇が近付いて来ている事に気付く。
「何?アイツは夢の中だけじゃなく、現実にも現れるの?」
「そんなの自分にも解らないよ!とにかく逃げるんだ!だって…」
「だって?」
「私は現実世界では、何も出来ない一般人なんだからさぁ~」
「へっ?」
つまり太子君は完全にお荷物なの?夢術師は夢の中でしかヒーローになれないの?現実世界では、ただのエロ太子なの??
私達は夜の住宅地を走る。
でも、何処に逃げれば良いの?やはり返り討つしかなくない?でも下手な場所じゃ戦えないし?ここは学校から離れてるし、人を巻き込まないで戦えるような広い場所が見当たらない?
すると太子君のペースがどんどん遅くなっていたの?
「急いでよ?どうしたの?」
「もともと体力ないし…それに、はぁはぁ…忘れてないかい?自分、怪我人なんだよ~」
あっ…
ダメだ…こりゃ?
「!!」
その時、私達の前方が闇に覆われて道が消えていたの?もしかして先回りされて逃げ場無し?引き返すにも、もう体力ない太子君がお荷物だし…
「やっぱり私が戦うしかないわね?」
私は構えて敵の動きを観察する。
直ぐに襲っては来なそうだけど?
その瞬間、私の周りを四方八方に空間が歪み出して、そこからナイフが突き出されて来たの!
「法子さぁーん!」
私を心配する太子君に私は大丈夫と合図する。私は本能的に咄嗟にしゃがみこんで、ナイフを躱せたの。
「足下にまで攻撃されなくて助かったわ~」
私は飛び出したナイフを避けて移動すると、その空間に向けて術札を投げる。更に印を結ぶと、
「爆!」
術札は空間を消し飛ばし爆発したの。
「よし!」
私が頷くと、
「よし!じゃないよ~周りから一般人が何事かと出て来ちゃうじゃんか?」
「そっか?」
「君って娘は…何て後先考えないんだよ~」
だけど変な空間も飛び出したナイフも消えたのは良いけど、凄い爆発が起きたのに誰も出ては来なかったの?もしかして気付かなかった?たまたまテレビの音が大きくて紛れた?
そんな訳はなかった。
「どうやら私達は二人、閉じ込められたようだよ」
「へっ?」
私達のいる場所は結界のような空間に覆われていたの?
しかも…
「ここは現実世界のはずだけど…」
太子君は指から鳩を出して見せたの?それはつまり?
「もしかして私達はまだ夢の中にいるんじゃない?」
「違うよ…ここは夢と現実の狭間の空間。敵はそんな事も出来るのか?そんな馬鹿げた事が出来るなんて…半信半疑だったけど本当に追っ手は神だと言うのか?」
私は太子君の台詞と真剣な顔に唾を飲み込む。
神様が敵なの?
私は周りを見回すと、私達に向けられた殺気を感知したの。
前方より、正面の暗闇の先に!!
敵は姿を私達の前に現したの。
蘇我入鹿を操っていた真の黒幕?
私達の前に現れたのは黒いコートの外人さんだったの?しかも今までに感じた事のないような圧迫感に、私達は立っている事も出来なくなって膝をついたの。
「これは…どうしたら良いだろう?せめて法子さんだけでも逃がしてあげたいんだけど…」
「馬鹿を言わない!二人とも助からないと意味ないわ!事故犠牲は却下よ?」
「しかし…」
私も解ってはいたの。
この状況は勝ち目は勿論、逃げ場もない事に…
だけど、
「私の辞書に諦めるなんてネガティブは断じて載せないわ!」
私は二枚の術札を握りしめると、霊気が伸びて形造る。
それは金色に輝く錫杖!
私は錫杖を構えて迎え討とうとする。
「仕方ないなぁ~ここで逃げたら私の役目が果たせないしなぁ~」
役目?
太子君もまた手に剣を出現せて構えたの。
そこに敵が私達に向かって言葉を発して来たの?
「どうやら人間が私の邪魔をしているようだから入鹿に任せていたが、所詮は人間だった。口だけで使えない。面倒だが、私が直々に手を下してやろう」
その瞬間、私と太子君が手にしていた錫杖と剣が炸裂して消えたの!!
私達は手を負傷し、更に動きを縛られたの。
「何?何?身体が動かないわよ?ちょっと?何とかしてよ?太子君?」
「私だって動けないんだって!手も足も出ないよ~これは?」
本気でヤバかった。
そこに敵は掌をこちらに向けて来たの?
あれは?もしかして?マジに?タイム!タイム!
それは蘇我入鹿が消された時と同じだったの。
私達も跡形もなく消されちゃうの?
マジに嘘でしょ?
だけど、身体が圧迫されて宙に浮かばされる。
その時、太子君が敵に向かって叫んだの!
「少し待ってくれ?いや、待ってください?神よ?貴方は名のある神なのでしょう?せめて私達が死ぬ前に、私達の命を奪いし貴方様の名前と…目的を教えてはくれないでしょうか?このままでは悔やみきれず死ぬに死ねません!」
「ちょっと?太子君?何を諦めちゃってるのよ?しかも敵に媚を売ってまでお願いって、何よ?」
「法子さんは黙って!」
そんな見苦しい私達を見た敵の神は軽く苦笑し、私達に対して慈悲を見せる。
「良いだろう?せめてもの情に私の名を教えてやろう?人間よ!」
えっ?教えてくれるの?
そして明かされる私達の敵の正体は?
「私の名は…」
『ヒュプノス!』
ヒュプノス神?ちょっと私も聞いた事があるわ?確か…ギリシャ神話に出てくる双子の神様よね?そして、やっぱり夢を司る神様だって…『あんまり知られていないギリシャ神話』って本で読んだ事があるわ!
その神様が私達の敵なの?
しかも目的は何なの?
何が目的で事件を起こして、止める私達は殺されちゃうの?
ちょっと興味があったので黙って聞いてみる。
その目的とは?
「夢世界より調べているのだ…人間界に現れる救世主の存在を!」
えっ?救世主?救世主が何なの?
太子君が代わりに問う。
「救世主を見つけてどうするつもりなんですか?」
救世主を見つけて?
『私の目的は救世主を抹殺する事。それだけだ!』
救世主抹殺が目的だって?
何よ?それ?
そもそも救世主って何よ?どんな救急車よ?意味が解らないわよ?
「とにかく…何とかしないと、どうしようもないわね?」
「何とかしないとって、どうするの?」
「こうやるのよ!」
私は霊力を高める。それも有りったけの霊力を、今ある全ての霊力を全て!!
「ん?」
ヒュプノス神が私の足掻きに対して、
「下等な人間よ?無駄な足掻きだ…潔く消えるが良い!」
私に対して掌を向ける。
「ナメるなぁあああ!」
私の霊力の爆発が、一瞬だけど私を拘束しているヒュプノス神の力を弱め、私の腕が動いたの!
「今よ!」
私は前以て握って隠していた数珠玉を指に挟むと、
『数珠魔弾!!』
私の指から放たれた数珠が私の霊気を纏い、まるで弾丸のようにヒュプノス神に向かって行く!
「!!」
私の数珠はヒュプノス神の顔面を捉えた?と、思った。だけど、その数珠はヒュプノス神の眼前で粉々になったの!私の最後の奥の手が!
「人間の娘よ?神に対しての刃、その身を持って償うが良い?」
えっ?
ヒュプノス神が掌を向け、私を木端微塵にしようと力を込める?
嘘でしょ?
私の脳裏に蘇我入鹿が木端微塵になった一瞬がイメージ的に思い出される。確かに太子君が私の視界を塞ぎ、実際には見ていなくとも、イメージはされてしまうのは避けられない。
私も、そうなるの?
そして、情け容赦なくヒュプノス神が力を籠めた瞬間!
「あっ!」
私の身体は木端微塵になったの…………。
「ふふふ。人間が神に対しての狼藉、死を持って後悔した……」
ヒュプノス神がそう確信した瞬間、視界がガラスが割れたように砕け散ったの?
「!!」
ヒュプノス神は何が起きたか一瞬解らなかったけれど、目の前に私と太子君が生きてその場にいる事に気付く。
「何をした?人間?まさか神である私に幻覚を見せたのか?」
太子君は息を切らしながら私に言った。
「どうやら逃げる時間稼ぎまでは出来なかったようだ…」
今のは?
『夢想』
現実世界で太子君が使える唯一の術で、対象の相手を一秒だけ眠らせ夢を見させる事が出来るの。
「だけど、神を相手には本当に一瞬だったようだ…」
太子君が私を助けるために使ったそれはヒュプノス神の逆鱗に触ったの。夢を支配する神であるヒュプノス神を、人が夢を見させて惑わしたのだから。
「先ずはお前から殺してやるぞ!人間!」
その直後、私の目の前にいた太子君が…
私の目の前から…
消えたの?
それは夢でもなく本当に目の前で、消える瞬間、私に向かって笑みを見せた太子君の顔が印象的に、私の前から…消えたの?
嘘でしょ?
直後、私は膝をつき座り込み、顔を伏せた。
「嘆く事はない。直ぐにお前も後を追わせてやろう?」
私に向かって再びヒュプノス神の魔手が迫った時、ヒュプノス神は気付く?
「!!」
自分の力が私から発する力に邪魔をされている事に?
「なぁ?何だ?その力は?どうして私の…神の力が通じないのだ?」
そして私は顔をゆっくりと上げた時、ヒュプノス神は私を見て驚愕する。
『お前は許さない…よくも太子君を…お前は、お前は絶対に許さなーい!!』
私から発する力はヒュプノス神の結界を破壊し後退させた?
この力は一体?
そしてヒュプノス神は退きながら言った。
「その力?とうとう見付けたぞ?神の力をも跳ね返した、お前のその瞳…金色に光輝く…」
『救世主の魔眼!!』
ヒュプノス神もまた神気を高め私の発した力に堪える。
そこで私は全ての力を使いきり、その場に倒れたの。
静まり返った、この場所に残ったヒュプノス神はゆっくりと私に近付き、私に向かって言った。
「探したぞ?お前を始末する事が私の目的…救世主であるお前を呼び寄せるための計画だった!」
ヒュプノス神が倒れている私の命を奪おうと、再び魔手を向けようとした時、その手が止まる?
「…………」
ヒュプノス神の前には、壊れた結界の外から陰陽師の姿をした者達が囲んでいたから?しかも、その中心にいるリーダーらしき男性がヒュプノス神に言った。
「その手を退かせよ?例え神であろうと、その娘に手を出せば我々が黙ってはいません。これは警告!」
その強気にて冷静な口調に私は薄れる意識の中で、その人が誰か解ったの…
し…師匠?
絶体絶命のピンチに現れたのは私の師匠?
と、そんなこんな。
次回予告
絶対絶命の危機に、ヒュプノス神の前に現れたのは?
法子の師匠?
その者は一体何者なのだろうか?
そして神を相手に対抗出来るのだろうか?
気になって眠れないわ~




