一蓮托生?結末は大どんでん返し?
白骨乙女と骨覇美神、最後の戦いが始まる!
私は法子!
私は妖恐になった骨覇美神の桁違いの攻撃から身を呈して庇ってくれた八戒と沙悟浄。
そして寸前の所で私を守った孫悟空。
理由は分からないけど本当に三人は私を命懸けで守ってくれているのね?
でも、孫悟空たら…
「この女は俺が命に変えても守る!」
あの言葉に私はちょっとだけどキュンと来たの。
けどね?
ちょっと待ってよ?
私がさっき骨覇美神の頭をぶん殴った時に、何か強烈なイメージ?記憶が流れ込んで来たの?
何か切ない思いが?
すると私は脳を揺さぶられたようになって、その場で気を失ったの。
「法子はん!」
「法子さん!」
八戒と沙悟浄が私のを身を案じて叫ぶと、孫悟空が怒りを込み上げる。
「てめぇ?法子に何をしやがったぁー!」
怒りが高まる孫悟空は骨覇美神に向かって飛び掛かる。その力は先程よりも遥かに上がっていたの。孫悟空の拳が妖恐の側頭部を殴ってぶっ飛ばす。
拳を強く握り、覇気を全身から発する孫悟空。朱雀の力が同調するかのように激しく炎が神気を増す。
「そ…孫悟空。私の邪魔をするなら消すまでだ!」
「そっくりそのまま返してやるぜ!」
互いに覇気をぶつけ合い衝突し大地が揺れる。衝撃波から守るように八戒と沙悟浄が意識を失った私を傷付いた身体で守っている。
「うぉおおお!」
孫悟空の動きが更に速く威力が鋭くなる。
「私は負けられぬ。今度ばかりは負けられぬのだ!」
骨覇美神もまた自分自身の思いに同調するかのように覇気が高まる。次第に孫悟空の力を上回っていく。
でも、今度ばかりはとは?
更に激しく振り回される妖恐の尾をかわす孫悟空、まるで鞭のように鋭く振り回される。
「孫悟空、邪魔をするなぁー!」
再び開かれた口から破壊光線の充電が始まろうとしていたの。次に開いたら再び強力な覇気に飲み込まれ今度こそ孫悟空も立ってはいられないかも…
「俺様はお前が取り込んだ白骨乙女も浄化させなければならないからな。お前ごと成仏させてやるぜ!」
「やらせるものかぁ!」
孫悟空は如意棒を抜くと先端に朱雀の神気を集中させる。
「この一撃に俺様の全力をこめる!」
しかし先に攻撃の準備が出来たのは骨覇美神の方だった。
開かれた口から破壊の光が孫悟空に向けて放たれたの!
「まぁ~たくもう!あんまり長く待たせないでよね?私も参戦させて貰うわよ!」
「鉄扇!」
戦闘中に割って入るように観戦していた鉄扇さんが破壊光線の向かって来る間に飛び降りて来たの。そして神器の武器を構える。
「あんたらの戦いを見ていたら調子狂わされたわ!私も無関係ってわけじゃないしね!」
『爆風・芭蕉扇!』
鉄扇さんの扇いだ爆風が破壊光線と直撃する。けれど押され始めるけれど鉄扇さんは笑みを見せる?
「私の芭蕉扇は扇げば扇ぐほど力を増すのよ!」
更に扇ぐと激しく強烈な爆風が破壊光線を受け止めたの。けれど、この芭蕉扇も万能アイテムじゃないみたい?一扇ぎで持ち主の神気を急激に奪うみたい。
「ま、まだまだよ!うりゃああああ!」
更に扇ぐ鉄扇さんの芭蕉扇は完全に破壊光線の威力を上回って上空へと軌道を変えて飛ばしたの。神気を使い果たし倒れる鉄扇さんの真横を孫悟空が通り過ぎ、骨覇美神に向かって特攻する。
「鉄扇!良い仕事したぜ?後は俺様の仕事だぁ!」
「ちゃっかり猿ね…」
破壊光線を放った骨覇美神も大技直後に力を使い果たし孫悟空の接近には対応出来なかったの。
完全な隙に!
「クッ!!」
『朱雀浄化炎!』
孫悟空の一撃が骨覇美神を貫こうとした時、妖恐は身を翻して背中から攻撃を受けたの?すると全身が発火して燃え盛る。
「はぁはぁ…もう一撃でトドメだ…」
あと一歩の所で孫悟空もまた力が抜けるように膝をつくと、朱雀の変化が解けて元の姿に戻る。
う、う~ん…
その時、私は夢の中で骨覇美神に攻撃をした時に入って来た記憶の映像が夢となって見ていたの。
あれは?
それは白骨乙女さんが流浪の末に辿り着いた場所。妖恐が封じられていた場所の近くの村だったの。
その気配に封じられていた骨覇美神は、幾重にも張られた結界で封印が施された洞窟の中で永き眠りから目を覚ましたの。
〈この魂の気配は?そんな馬鹿な?だが、間違いない…間違いない!〉
結界に電磁波が走り、その容量が越えて結界が弾け消えて洞窟が崩れ始める。
そこに白骨乙女さんがやって来たの。
「私はどうしたら良いの?自ら命を絶てない…」
自らの断罪から不死となってしまった白骨乙女さんは、この地に救いを求めに来たの。彼女は遠く離れた場所にいた時から何者かからのテレパシーを受けていたの?
「私を呼んだのはお前?」
白骨乙女さんの前に現れたのは仙人の姿をした若い男の霊だったの。
〈お前は何を望む?私を解放してくれたなら、お前の願いを叶える力を私は持っている〉
「それは、本当?私を騙そうとしても無理よ?」
白骨乙女さんは眼力には自信があったの。騙され、騙して来た。だから二度と騙されないと嘘偽りを見破る眼力だけが養われたの。
けれど骨覇美神の眼からは偽りどころか、自分自身への熱い眼差しが伝わって来たの。
「何なの?よく分からないけど、偽りは言ってないようね?」
そこで二人は契約したの。契約とは骨覇美神は白骨乙女さんが死ぬと同じく命が消える呪いを条件に封印より解き放たれる契約。だから白骨乙女さんが死ぬという事は自らも滅びるわけ。
だから命懸けで白骨乙女さんを守るのは分かるわ…
けど、その守る理由の真意が他にあったなんて?
ここで再び戦場に話を戻すわよ?孫悟空は疲弊した身体を振り絞り、骨覇美神と白骨乙女さんにトドメを刺そうとしていた。それが白骨乙女さんの願いで、再び甦った骨覇美神を倒す最後のチャンスだと思っていたから。
骨覇美神は白骨乙女さんを庇うように背中を向けて抱き締めていたの。骨覇美神自身は孫悟空の朱雀浄化炎を凌げられても、白骨乙女さんの身体は浄化炎には耐えられずに消えてしまうから。
孫悟空が最後の力を振り絞って白骨乙女さんに向かって気を放とうと手のひらを差し出して構えを取る。これで決めるつもりなの?
「白骨乙女よ…長い間、待たせたな?俺様がお前を成仏させてやるぞ!」
二人を包む朱雀の炎が白骨乙女さんから先に妖気を浄化し存在を消していくようだった。
「させん!消させてたまるかぁ!たまるかぁ!」
抗う骨覇美神を前にして、
「往生際が悪いぜ?骨覇美神!甦って早々、因縁ある俺様の手で冥土に送るのも何かの導きかもな?くらえ!」
孫悟空が最後の力を振り絞って気功弾を放とうした時、
「却下ぁああ!」
突然の怒鳴り声に孫悟空は驚きで、せっかくの気功弾を明後日方向に飛ばしてしまったの。
「あ、あぁああ!」
突然の出来事に孫悟空は何をしとんねん?って顔付きで私を見たの。
「こらぁ!法子!おま、おま!オマエはせっかくのチャンスを邪魔して…あぁああ…」
「もう良いのよ?」
「ヘッ?」
意味が分からないでいる孫悟空に私は命じたの。
「骨覇美神と白骨乙女さんを覆ってる炎を早く消して!ぐずぐずしないの!」
「えっ?えっ?えっ?」
孫悟空は私に言われるがまま朱雀の浄化炎を消す。
で、どういう事って?
「意味がわかんねぇよ!理由を聞かせろよ?」
「そうね。少し私に時間をちょうだい?」
全員が私に注目する中で私は黙っている骨覇美神に向かって声をかけたの。
「貴方の口から教えてくれる?」
骨覇美神は全てを見透かしている私に驚きつつも、素直に説明を始めたの。
「この白骨乙女は私がかつて失った妻の生まれ変わりなのだ」
その衝撃的な話にそこにいた全員が目を丸くした。
骨覇美神。かつての錬体魔王は昔、人間だった。その彼は仙人の才能に恵まれていた事で、病の妻子を生かすために仙人になる事を条件に万能薬を手に入れたの。
しかし万能薬で命を長らえたと信じていた妻子は彼が仙界に入った後に死んだの。それは万能薬を与えなかった大仙の仕業。真実を知った錬体魔王は怒り狂い、師であった大仙人を殺し、妖仙になったの。その後は妖仙から人間を化け物へと改造する狂った残虐な魔王へと知名度をあげた。その彼の闇は妻子の死が引き金だったの。
それが数百年の時を魂のみが結界に封じ込められ、深い眠りの中にいた時に感じたの。白骨乙女さんの魂の気配を…
彼女の魂は紛れもなく錬体魔王が愛した妻の魂と同じだったの。それは生まれ変わり?こんな再会は神の世界でも早々有り得ない事なの。
でも、骨覇美神は出会ってしまった。当然、白骨乙女さんはその事実は知らないだろうし、知ったとしても今の人生とは違う他人のような感覚だと思えるわ。だって過去の記憶なんて残っていないのが生まれ変わりなのだから…
「私はこの娘を死なせはせん。二度と私の前で死なせてたまるものかぁ!」
「でも、それは貴方の我が儘じゃないの?彼女はもう眠りたいと願っているのよ?化け物として生きていくよりも、人の心を残したまま懺悔を望んでいるの。貴方だって分かっているんでしょ?骨覇美神さん?」
俯いたまま返事が出来ない骨覇美神に私は重い決断を求めたの。
「彼女を一緒に送ってあげましょ?貴方と一緒にならきっと彼女も安心して召されるはずだわ」
それは彼女と一緒に成仏を促す言葉だったの。
生まれ変わった彼女と共に短い間でも旅をして過ごしていたから、彼女の気持ちは痛いほど理解していた。だからこそ骨覇美神は例え白骨乙女さんの意志に反しても、裏切ってでも生かす決断をして私達から彼女を守っていたの。
「白骨乙女さんも、貴方も私がしっかり成仏させてあげる!だから何も心配しないで欲しい!」
「この私も?この私も彼女が冥土へと旅立つ傍に置いて導いてくれるのか?」
「うん。一緒にいてあげて?」
私の言葉に骨覇美神は全てを受け入れて成仏する事を了承したの。
後は私が鎮魂の術で二人を送るだけね…
私は印を結び、鎮魂の真言を唱え始めたその時!?
「ちょっと待ってちょうだい!」
へっ?
それは目覚めた白骨乙女さんだったの。そして彼女は全てをひっくり返す言葉を私達に言ったの。
「私、やっぱり成仏しません!」
へっ?
白骨乙女さんは言った。
「だって、私、現世で恋をした事がなかったの。話を聞いていれば、彼は私に一途でしょ?よく見ればイケメンだし、何か勿体無いと思うわ!だから成仏はまだ先にします。恋をエンジョイして、その後にします!これくらい私の人生…妖怪だけど、あっても良いと思わない?良いはずよ!」
と言って私達を振り回すだけ振り回した白骨乙女さんは骨覇美神と一緒に私達に数回お辞儀をした後、幸せそうに私達の前から去って行ったのでした。
へっ?
へっ?
何なのよぉー!!
そんなこんな。
次回予告
孫悟空と八戒、沙悟浄と一緒に旅をする事になった法子は?
新たな旅が始まるわよ!




