過去の化け物妖恐の復活?
白骨乙女さんの暴走から現れたのは一体?
私は法子。
私達は白骨乙女さんの暴走から逃げ出したの。
「何?どうしたの?血相変えてさ?」
走りながら私は慌てる孫悟空に聞くと、
「アイツはマズイ!今は逃げるが先決だ!」
「それって白骨乙女さんがそんなに強いって事?」
「いや、違う!アイツの背後から感じる妖気…あれが俺様の知るモノであれば、今の俺様達に勝ち目があるか分からんのだ!」
その言葉に八戒と沙悟浄も唾を飲み込む。この強気の孫悟空がこんなにもマジに逃げるなんて信じられなかったから。
「とにかく逃げるぞ!」
「うん」
私達は出来る限り早く走っていた。その逃げる後ろ姿を見ていた白骨乙女さんは私達を見て笑う。
「逃がさないわよ?絶対に逃がさない!逃がすかぁー!」
すると大地から骨が突き出して来て私達の道を塞いだの。そして物凄い速度で追い掛けて来たの!
「うわっと!」
振り向くと白骨乙女さんの背後から骸骨の恐竜が見えたの。マジですか?ジュラシックパークですかぁ??
「何なのよ~あれは?」
「あれは旧世紀の化け物だ!」
旧世紀の化け物?
「おぃ、沙悟浄!頼むぞ?それっ!」
「はい!兄貴!」
すると孫悟空は沙悟浄に向かって私を放り投げたの。
「きゃあああ!」
沙悟浄は私を受け止めると同時に孫悟空と八戒が迫る恐竜の骸骨に向かって逆走したの。
「八戒、食い止めるぜ?」「任せるらぁ!」
孫悟空が飛び上がると同時に八戒が妖気を拳に籠めて振り回す。
「肉体強化・拳!」
膨れ上がった八戒の拳が骸骨恐竜に向かって殴り付ける。
「無駄よ?」
膨れ上がった拳は骸骨恐竜に衝突すると、拳が血だらけになって弾かれる。
「うぎゃああ」
拳を引き後退する八戒は上空を見ると、孫悟空が落下して来たの。
「如意棒ー!」
孫悟空の持つ伸縮する棍棒・如意棒が丸太のように太く大きくなって骸骨恐竜を頭上から潰したの。
「やったか?」
しかし地面から盛り上がり如意棒が持ち上げられると孫悟空は直ぐに新たな攻撃を仕掛けるために印を結びながら叫んだの。
「猿分身!」
孫悟空が百体の分身を出現させると、白骨乙女を守る骸骨恐竜を囲む。
「お前達を倒すために手に入れた力で皆殺しよ!」
「お前、とんでもない化け物を起こしやがったな?封印はどうしたんだ?」
「封印?弱まっていた封印の中で見付けたのは確かよ。全ては恨みのなせるわざよ!」
すると骸骨恐竜が暴れて分身の孫悟空を一体一体消していく。
「孫悟空!今は立て直さないと!」
私は孫悟空に向かって叫んだの。
「俺様も本気でやってやるぜ!うぉおおおおお!」
すると孫悟空の妖気が爆発したかのように膨れ上がったの。
「アレが孫悟空の強さなの?予想以上だわ…」
「悟空兄貴の強さはまだまだ序の口ですよ?しかし相手も化け物みたいです」
沙悟浄は孫悟空の強さを信じきっていたけれど、それでも白骨乙女さんの出した骸骨恐竜の強さを感じてた震えていたの。
「俺様の渾身の拳を食らいやがれ!」
孫悟空は自らの拳を石化させ妖気が凝縮していくと、まるでダイヤモンドのように光輝く。そして骸骨恐竜に向かって突進すると、
『爆砕・華王石拳』
孫悟空の覇気の籠った拳が直撃すると、骸骨恐竜は粉々になって粉砕した。
「やった?孫悟空、やったわよ?一撃じゃん!凄いよ、孫悟空!」
「ですよね~私も心配したのが取り越し苦労だったですよ~」
と、その時?私達の上空から影が孫悟空に向かって飛んで行ったの?
「あ、あれは!?」
私が気付くと同時に沙悟浄が飛んで行った影の正体を認識していたの。
「まだ油断するなやー!」
八戒が叫ぶと、倒したはずの骸骨恐竜が見る見る再生していたの。
「オホホホホ!私の得た恨みの力はそう簡単に消えたりしないわ!」
再び崩壊した骸骨恐竜の骨が再生していくのを黙って見ている孫悟空に、後方から向かって来る別の影の主が叫んだの?
「黙って見ていないで!アイツは直ぐに再生して襲って来るわよ!」
飛んで行った影は大きな鉄の扇だったの。しかも扇から飛び降りて来た誰かが、自身と同じサイズの扇を振り上げると、
「突風巻き起こせ、芭蕉扇!」
芭蕉扇を振り払うと竜巻が起きて、骸骨恐竜の再生を邪魔するかのように砕けた骨を吹き飛ばしたの。
そして、
「逃げるわよ?馬鹿猿と馬鹿豚!」
「お前は!?」
驚く孫悟空と八戒だったけど、今は素直に逃げ出したの。
あ、私と沙悟浄も逃げたわよ?当然ね。
怒り叫ぶ白骨乙女さんの罵声が聞こえなくなるまで一目散に逃げた。
ぜぇぜぇ…
私達は隣の隣の隣村まで逃げて来た所で宿を取って一息ついて休んだの。
「で、何処から説明して貰おうかな?白骨乙女さんから出てきた骸骨の恐竜の事?それとも…」
「そんな事より、あんた誰よ?」
えっ?
中華風の衣の黒髪女の子が私を睨んでいたの。私と同じくらいの歳に見えるけど、妖気を感じるから妖怪の女の子かな?でも見るからに美少女なんだけど、私を敵視しているみたいで恐かった。
「あ~鉄扇ちゃん?この方は私達の守る方なんですよ~」
「河童ちゃんが守る女の子は私だけで良いわ!と、なると私の敵ってわけね?」
妖気が高まる目の前の女の子に対して、八戒が止めに入る。
「話がこんがらがるらよ~」
「て、まだ生きてたのか?豚!早く消えて去れ!」
「戦友に向かって酷いら~」
涙を流してショックを受ける八戒に、
「その女に手を出したらガチに容赦しねぇぞ?」
今度は孫悟空が喧嘩腰に威嚇したの。
「私とやる気?」
お互いに険悪ムードになった所で、沙悟浄が二人の間に入って止めたの。
「まっ待って~」
沙悟浄は女の子に向かって説得しながら説明する。
「かくかくしかじかで~」
「なるほどね~まぁ、河童ちゃんがそこまで言うなら仕方ないわ」
するとチャイナな女の子が私に向かって近付くと挨拶をしたの。
「私は女妖怪最強の支配者!鉄扇ちゃんよ!宜しくしてあげるわ?」
「あ~宜しく。私は三蔵法子!正義の女子高生よ!」
「正義の…何?」
「正義の女子高生!」
胸を張る私に向かって他の三妖怪が感心する。
「お前、法子って言うのか?知らんかった」
「そういえば自己紹介してなかったわよね?」
「法子さんですか…」
「法子はんらな?オラの胸に刻んだらよ?」
「結構です。気持ち悪いですから!」
キッパリ断る私に涙目になる八戒。
「そんな事より説明してよ!白骨乙女さんの、あの骸骨の恐竜について!」
「そうね。先ずは私が説明するわ」
先ず、この鉄扇さんこそ、あの白骨乙女さんが恨みを買うべき張本人だったの。つまり過去に白骨乙女さんを眠らせて成り代わった例の話。それで白骨乙女さんは姉妹から取り残されて成仏出来ずに妖怪に成り下がったのだから。
「てへっ」
「てへっ。じゃないわよ?貴女のせいで私達がどんだけ大変だったと思ってるのよ!」
実は先に白骨乙女さんは鉄扇さんを先に襲ったの。最初はてもみくびっていたけれど、あの骸骨恐竜が現れた時に形勢逆転。何とか逃げ延びたけれど、今の今まで怪我の治療をしていたみたい。
あれ?私達に巻物を送って危険を知らせてくれたのも鉄扇さん?
「あの骸骨の恐竜は厄介よ。どんだけ破壊しても再生して来るし、力も計り知れないしね?何なのよ!」
「あれは妖恐だよ…」
「えっ?孫悟空?あの化け物を知ってるの?」
「まぁな…以前、いや?転生前にやり合った事があるんだよ…マジで厄介な化け物だよ」
それは孫悟空の転生前である美猴王と呼ばれ妖怪軍団を率いて世界征服を進行中の時に、妖怪とは違う妖恐と呼ばれる化け物が現れたの。その強さは魔王と呼ばれる妖怪軍団も蹴散らす桁違いの強さだったらしいの。
「その妖恐と同じ覇気を感じる。いや、あれは俺の仲間が封じ込めた妖恐ティラノに間違いないぜ!」
美猴王だった時の仲間が命をかけて封印した不死の妖恐がいたの。
「あの封印が解けたのか?それとも白骨乙女が封印を解いたのか解らないが、とにかくヤバい奴だってのは間違いない」
「つまり過去の魔王級かそれ以上の強さって事ですかぁ~?ひぇ~」
脅える沙悟浄と八戒。
「まぁ、あの鵬魔王を倒した私達なら問題ないんじゃない?」
「果たしてそうか…下手したら鵬魔王より面倒な敵かもしれないぜ?」
「そうなの?」
身をもって一度は逃げた鉄扇さんだからこそ、少し冷や汗を流していた。
「ちょっと何よ?この空気は?これじゃあ勝てる戦いも勝てないわよ!」
私は仕切り直すと、
「やるかやらないか?私達の行動は一つでしょ?」
孫悟空、八戒、沙悟浄が頷くと、仕方なく鉄扇さんが私に向かって言ったの。
「とりあえず仲間なら私の事を鉄扇ちゃんと呼んで良いわよ?法子!」
「えっ?あ、うん」
とりあえず妖恐ティラノと白骨乙女さんを倒すパーティが結成されたのね。
そんなこんな。
次回予告
白骨乙女さんと妖恐ティラノとの再戦!
因みに妖恐の怖さは転生記シリーズの第四弾
天上天下美猴王伝説にて登場しているわよ!
良かったら、無理してでも読んでよね?