表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/713

積年の恨み?君の名は・・・?


法子に付きまとう三人の妖怪達。


しかも暗殺者の影が?


私は法子!


私は三人の化け物と一緒に私達を付け狙う刺客を待ち構えていたの。


「どんな敵なのかしら?」


私は敢えて人目の付く場所を一人で歩いていたの。当然、化け物連中は止めたけど私が奴等の言う事を聞くわけないしね。


私が囮になって襲って来た所を取っ捕まえる!まさに計算された作戦だわ。


私はすれ違う村人達を横目に警戒する。もし突然襲われたら私の合気道でぶっ倒してやるんだから!


「!!」


私の足が止まる。冷や汗が額から流れ落ちると、私に向けられた視線…殺気に動けなくなったの。近くにいる?間違いなく近くで私を狙っているわね?


私は意識を集中させて殺気の向けられている方向を探る。村には沢山人がいる。その中で特定の相手を探るのは簡単だったわ。


妖気!


私は殺気の向けられている先を睨んだの。そこには顔を隠した女?が、私を見て笑みを見せる。


アイツか!


視線の先の女から感じるのは間違いなく妖気。


そして私を見るなり


「あっ…」


速いっ!


距離を詰めて私の眼前に迫ると、光る何かが私に向けて振り払われたの。


「危ねぇな?」


「あっ!?」


私の喉元に向けられたのは短刀で、間一髪止めたのは金髪妖怪のアイツだった。


「早く引っ込んでろ!こいつは俺様が相手するぜ!」

「なっ!?」


金髪の彼は纏っていたマントを脱ぐと尻尾が露わになる。突然の乱闘に周りの人達が注目する。何が始まったのか?喧嘩?野次馬が集まるけれど、直ぐに顔を青ざめ始めた。理由は尻尾。彼の尻尾を見るなり、村人達は


「妖怪の喧嘩だぁー!」


突然、その場は騒然となったの。何せ化け物の喧嘩は人間の比じゃない。巻き添えになって死ぬなんてまっぴらでしょうから。


それにしても?もしかしてアイツ…


わざと自分の尻尾を見せたの?まさか?


見ると他の二人の妖怪も逃げ遅れた人間達を誘導したり、逆に脅かして人々を離れさせていたの。


こいつら人間達のために?巻き添えにしないように?


だとしたら…


「本当に悪い奴らじゃないのかも…」



金髪のアイツは周りの状況を見計らうと、暗殺者に対して文句を言う。


「人込みで暗殺なんて迷惑千番だな?」


「邪魔をしたわね」


顔を隠しているけど暗殺者の声から若い女性だと推測される。


「憎い憎い憎い!積年の恨みを今日こそ晴らしてやるわ!」


「って、俺様達がお前に憎まれるような事をしたのか?心当たりが多すぎてどれか分からん!俺様達がお前に何をしたんだ?」


って…恨まれる心当たりが多すぎるって、何よそれ?


「場合によっては手加減してやるぜ?お前は何者だ?」


「ふん。良いわ…私が恨みを晴らしたいのは、あの二人の妖怪だからね!あんたと、そこの娘は恨みのついでだよ!」


「えっ?私、巻き添えで殺される所だったの?」


「アイツ達の大切な者を奪ってやるのよ!私がされたみたいにね?」


って、


「あんた達!この妖怪さんに何をしたのよ?この憎悪は尋常じゃないわよ?」


「そーだ!そーだ!お前ら?何をしたんだ?」


私に合わせるように皿を乗せた妖怪と黒豚妖怪に茶化すように文句を言う金髪の尻尾ある妖怪。


しかし?


「全然心当たりないらよ?オラが何かしたらか?」


「私もですか?兄貴ならまだしも、私が貴女に何かするなんて考えられませんよ~」


「って、何を良い子ちゃんぶってんら?お前は?」


二人は全然思い当たる節がないようなの?


「ちょっと怒りを鎮めて?話を整理しない?本当にこの二人が貴女に何かしたの?」


すると怒りを今にもぶつける感情を抑えて答えたの。


「実際は後二人いるわ!」


「二人?他に二人も?」


「そう。赤い袈裟の坊主と子猿の妖怪もよ!」


「お坊さんと子猿?全然心当たりないわ?」


「あります!」


「へっ?」


私が悩む前に即答したのは頭に皿を乗せた妖怪。


「確かに私達は四人で旅をしていましたよ?因みに子猿の妖怪って、そちらの兄貴の事ですよ?」


「何だって?」


暗殺者の女は金髪の妖怪をマジマジ見る。


「おっ?そう言えば俺様は昔、子猿の姿だったぞ?確かに?俺様を知っているのか?」


平然と答えた金髪の妖怪に対して、暗殺者は恨み対象が三人揃っている事に喜びを感じている。


「お前もかぁー!!」


暗殺者の女は刀を振り回し襲い掛かるけれど、金髪の妖怪は軽々躱していた。凄い身のこなしだわ?


「いい加減お前が誰か教えろー!こらぁ!」


振り上げた棍棒が暗殺者の顔を隠していたローブをめくり、顔が露になる。


あ、綺麗な女性…


可愛らしく綺麗な顔をした女性だった。しかし発する妖気は間違いなく妖怪なのね?


なんだけど…


「はて?お前誰?」


「オラも心当たりがないらよ?」


「私も……ん?」


その時、頭に皿を乗せた妖怪だけが顔を青ざめる。


「あ、あれ?あれれ?もしかして貴女は??」


「何ら?知り合いらか?」


「俺様は知らないぞ?」


「何を言ってるんですか?二人だって会ってますよ!彼女は四鈴さんですよ!」


「四鈴?」


思い出せない二人に説明を始めたの。


以前、この三妖怪はお坊さんと一緒に旅をしていて、その途中で化け物に襲われている女性を助けたらしいの。そのお礼と一晩お世話になったらしいのだけど、実はそれは化け物の罠だったの。そこで彼らは化け物に魂を捕らわれて操られている七姉妹を助けたらしのだけど。


「でも姉妹は全員成仏したはずでは?」


「してません!」


「しましたよね?」


「してません!私だけ取り残されました!」


「へっ?」


化け物は蜘蛛の妖怪で、三妖怪は化け物を倒してお坊さんのお経で姉妹は全員成仏したはずだった。と、思っていたの。


だけど?


その事件の時に別の事件が重なったらしいのらしのね。


別の妖怪が四鈴さんに化けていて、お坊さんを拐ったのよ!


「あっ!思い出したぞ!そんな話あったぞ!確かに!あれ?でもよ?四鈴は?」


「はい。鉄扇さんが化けた姿で、当人は存在しないと思っていました」


「思ってるんじゃねぇーよ!」


四鈴さんの怒り突っ込みに二人はビクッと引く。


「あんた達に助けを求めたのは私よ?そして地下にいる化け蜘蛛妖怪まで案内中に、あの女に口を押さえ込まれ眠らされたのよ!あんた達は全然気付きもしなかったわよね?」


「そうらったらか!」


「でも、化け蜘蛛の呪いは消えたはずだから自由になったんじゃなかったのですか?」


「自由?ふざけるんじゃないわよ!」


すると四鈴さんは背を向けて服を脱ぎ出す。って?えっ?こんな場所で?


「見なさい!」


「あっ!」


四鈴さんの背中は肉が削がれて、骨が見えていた。


「そうよ。私はお前達が消えた後、一人でこんな姿のままで生き続けたの…」


その後、姉妹も成仏し、一人で生き続けた四鈴は孤独の中で化け物と知られずに隠れ住んでいた。月日が流れ次第に彼等への憎悪を重ねながら…


「結論を言うわ!私はお前達に復讐する!私のね積年の恨みをお前達にぶつけてやるわ!」


四鈴さんは恨みを力として不死の身体を武器に妖気を高め、武術を修得し、その名は妖怪達にも広まっていたの。今では名のある妖怪として恐れられているの。


「私はもう四鈴の名は捨てた!私の名は…」


「君の名は?」


「 白骨乙女よ!」



直後、白骨乙女の指から骨が弾丸のように射たれたの。


「きゃあ!」


「危ねぇ!」


堪らずに逃げ隠れる私達に怒りの白骨乙女が迫って来たの。


「アイツ?骨だけだから身体が軽いのか?」


しかも両手の骨が伸びて刀になったの。


『骨刀』


「いい加減にしやがれ!あんまりしつこいと逆ギレするぞ!こらぁ!」


棍棒で白骨乙女の骨刀を受け止める金髪の彼に助けられた。


「白骨乙女さん!兄貴の強さは知っているでしょう?兄貴は強いですから、先ずは落ち着いて今後の事を話し合って解決しましょうよ!」


説得する頭に皿を乗せた妖怪はマトモだった。


「私が勝てない勝負をすると思って?」


白骨乙女が掌を突き出すと妖気が凝縮して嫌な感じがした。


『骨粗鬆掌!』


直後、


「うぐぅわああ!」


金髪の彼が身をかわして息を切らせながら白骨乙女を睨み付けていたの。


「危ねぇ…今のは何か危ねぇ感じがしたぞ?何だ?今のは?」


「よく躱したわね?でも次はどうかしら?」


白骨乙女の姿が分裂して襲って来たの。その一体が私に迫った時、


『骨粗鬆掌!』


危ない…あっ!!


私に迫った攻撃を黒豚妖怪が身を呈して受けたの。


「ぐはぁ!」


血を噴き出しながら倒れる黒豚妖怪に私は何が起きたか分からなかった。


『河童の~か~わ~流れぇええええ!』


えっ?ぇええええ!


突然、村を覆う濁流が押し寄せて私達は飲み込まれたのでした。



う~ん


あれ?生きてる?


暫くして私が目覚めると目の前には金髪の彼に頭に皿を乗せた彼が私を覗いていたの。


「どうやら無事のようですね?」


私達は小屋にいたの。


「それにしてもお前にしてはナイスタイミングだったぜ?」


「褒めてくれて有り難うございます。兄貴」


どうやら頭に皿を乗せた彼の水術に助けられたようね?あっ!


「私を助けた黒豚は?」


見るとまだ目覚めないでいたの。聞くに全身の骨を粉砕されたって…


「助からないの?」


私は泣きそうになるけど、


「大丈夫じゃね?コイツは殺しても死なねえよ?」


「だって…」


「大丈夫らよ?」


「他人事みたいに言わないでよ!私を助けて負傷したんだから!」


「大丈夫らよ?」


「あんた!友達じゃないの?」


「大丈夫らって言ってるらよ?」


「もう良いわ!頭来るわ!人でなし!いえ妖怪でなしよ?あんたら!」


私は黒豚妖怪の胸ぐらを掴んだの……て、あれ?


私が胸ぐらを掴んでいるのは私を庇って瀕死状態の黒豚妖怪?


あれ?


「きゃあああ!」


「だから大丈夫らって言ってるらよ~」


「コイツ、タフなんだよ?」


「妖怪だから?妖怪だから?妖怪だからなの?」


驚く私に三人は首を振る。


「得意体質らよ」


「この兄貴は回復力が妖怪とか別にしても桁違いなんですよ~私達が同じ攻撃を受けたら当然死んじゃいますからね~」


「あっそ…」


「とにかくまた出会したら危険な奴だよな?やはり俺様が本気出して倒してやるぜ!」


早速、向かおうとする金髪の彼に、私は止める。


「私に考えがあるわ!」


「どんな策ですか?」


私は自慢気に答えたの。


「触らぬ神に祟り無しよ?彼女が追って来る前に遠くにまでとんずらしましょうよ?これぞ最善策よ!」


私の提案に三人の妖怪は唖然と聞いた後に、


「それは無理だわ~」


「へっ?何よ?私の考えに何か文句あるってぇの?」


すると、頭に皿を乗せた彼が私に見せたのは板に書かれた手紙だったの?


「何よ?これ?」


私は読むなり理解して、そして三人の妖怪を改めて見直したの。ここに書かれていたのは、あの白骨乙女さんが村から逃げた村人達を人質にしているって内容だった。


もしかして本当に村人達のために?本気で救うつもりなの?妖怪なのに?


「本気なの?」


すると三人の妖怪達は当然の事のように答えたの。


「当たり前だろ?だって他に誰が救えるんだよ?」


あはは…


こいつら馬鹿なの?マジなの?何なの?


ゾクッと鳥肌がたった。


そっかぁ…


だったら私が人肌脱がなくて誰がやるってぇのよ?


正義の女子高生の腕が鳴るわ!と、その前に?



「ちょっと待ってよ?彼女も何か被害者ぽくない?ここは話し合いが必要よ!」


「話し合いなんて聞いてくれますかね~?」


「そうね。先ずは黙らせた後に縛り上げないとね?」


ん?


当たり前のように答えた返事に三人は恐い者を見る顔をしていた。


何で?


「とにかく作戦を立てるわよ?その前に…」


私を見る三人の妖怪に私は遅くなったけれど、この先知って置かないと面倒だと思って聞いたの。


「あんた達の名前を私に教えなさい!」


そして返って来た名前に私は『えっ?』て、なった。


だってだってだって!



「自己紹介ですね?遅れまして、私は捲簾大将けんれんたいしょう・沙悟浄です!」


頭に皿を乗せた妖怪が答えると、次に黒豚妖怪が答えたの。


「オラは天篷元帥てんぽうげんすい・八戒らよ!」


最後に尻尾のある金髪の妖怪が答えたの。


「俺様は聖天大聖せいてんたいせい・孫悟空様だぜ!」



私は彼等の名前を聞いた時、目を丸くしていたと思う。だって、あの?あの?


あのぉおおおおお??




と、そんなこんな。



次回予告


白骨乙女との説得?バトル?


どうなるの?


法子の策とは?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ