表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生救世主編!
10/713

真実の愛の決着に女子高生は赤面ちらり?


今、真実が明かされる!


聖徳太子伝説!!



私は法子。


私は太子君から聞いた話は誰も知らない伝説語り。


最初は夢術師の起源から始まる。そもそも夢術師みたいに他人の夢に入るなんて能力は何処から来たの?


それこその現況が獏なの。


獏は夢を渡る力を持ち、本来は悪夢のみを喰らう聖獣だったの。


それが邪な人間の政治を司る者達により、魔物へと変えられた!


それが大獏こと、女王獏の捕獲。当時の権力者であり呪術者であった蘇我一族の長である蘇我馬子が獏の王であった女王獏を捕獲し政治に使い始めたのよ。


その上、生きた女王獏の肉片を口にする事により、夢を操る呪術者…


つまり夢術師にさせていたの。



夢術師は他者の夢に入り込み、悪夢を見させ、更に現実と夢を混乱させながら自分達の思い通りの政治を行わせていた。


と言っても、夢術師は所詮は借り物の力で、忌まわしい呪術により得た力。


獏の肉片を食べたからと言っても誰もが夢術師になれる訳でもなく、夢世界から抜け出せなかったり、自分自身が悪夢に捕らわれ死ぬリスクが伴った。


そんな時に現れたのが聖徳太子さんだったの。


幼少の太子君は偶然、蘇我家にて女王獏が捕らわれていた部屋に入ってしまい、そこで女王獏に見初められたレアケースで力を手に入れたの。


その後、聖徳太子さんは夢術師としての力を開花させる。それは蘇我一族にとって脅威になったのよね?最初は仲間内に引き込もうとしたみたいだけど、やがて対立し、政敵となった後は…暗殺対象となったの。


だけど、夢世界にて情報を得て、策士でもあった聖徳太子さんに敵う者は蘇我一族にはいなかった。唯一、夢術師として才能のあった幼い蘇我入鹿でさえも聖徳太子さんの前では二流だったの。


そこで入鹿の祖父であった蘇我一族の元長の蘇我馬子は、ある計画を立てた。



「毒は毒を持って始末すれば良い」


蘇我馬子は既に夢術師を増やす種は手に入れていた。もう女王獏は必要なかったの。最強の夢術師である聖徳太子さんは夢に入り込み情報を得る。遮る事は不可能。例外はそれ以上の夢術師か…夢世界の根元である女王獏のみ?


そこで蘇我馬子はとんでもない計画を実行した。


自分の一族から聖徳太子さんに嫁を与える政略結婚。


しかも、その相手は?


「我が呪詛によりお前に人間の姿を与えようぞ!」



呪術により、その魂を人間の女性に転移された女王獏だったの!


女王獏は蘇我馬子の命令には逆らえなかった。魂の一部を奪われ、逆らえば死が待っていたから…


そして聖徳太子さんと女王獏が人の姿を得た刀自古郎娘さんは政略結婚と解りつつ夫婦となった。


当然蘇我一族の罠だと感ずいていた聖徳太子さんも彼女を疑って夢世界に何度か入り込んで探ってみたものの、何も手掛かりは掴めなかった。それもそのはず!女王獏の作った偽りの世界の中では聖徳太子さんの力は無力に等しかったから。


やがて疑がいを解いてしまった聖徳太子さんは、彼女の偽りの姿と記憶を見て恋をし、愛してしまったのよ。更に刀自古郎娘さんは他の聖徳太子さんの妻達に呪いをかけていく。


道貝蛸皇女さん。橘大郎女さん。


更に最も信頼されていた膳大郎女さんに対しては己の身体と肉体を入れ替えたのよ!


刀自古郎娘さんとしての記憶を入れられた膳大郎女さんは歴史から消え、今度は膳大郎女さんとして肉体を奪った刀自古郎娘さんは聖徳太子さんの心を完全に掴んだの!


全ては計略通り!


蘇我一族も蘇我馬子から代替わりをし、蘇我入鹿が跡継ぎ、引き継いだ。


そして、ついに決行されたの!聖徳太子さん暗殺!


しかし!


蘇我入鹿にとって計画が狂い始めていたの…


女王獏であった刀自古郎娘さんもまた、偽りの夫婦生活の中で聖徳太子さんを愛してしまっていたから…


そして刀自古郎娘さんは聖徳太子さんへの暗殺より先に蘇我入鹿の暗殺を企てた。しかし奪われた半魂を取り返さねば返り討ちになる。蘇我一族の邸の何処を探しても見付からなかったの!


そしてついに隠していた場所が解ったの。探しても見付からなかったわけだわ?策士であった蘇我入鹿は自分自身の魂に、女王獏の魂を封じていたの。


刀自古郎娘さんの取る手は蘇我入鹿の夢に入り込み、魂を奪い、そのまま悪夢をみさせ始末する事だった。


だけど、蘇我入鹿の夢世界に入って解った事は、もし蘇我入鹿を始末すれば、既に融合してしまった自分自身の魂の欠片まで消えて自分自身も死ぬ事。


それでも愛した聖徳太子さんのために、刀自古郎娘さんは蘇我入鹿暗殺を決行した!



「馬鹿め!獣ごときの浅はかな知恵で私を始末出来ると思ったか?」


蘇我入鹿は女王獏が裏切る事すらも用心し、自分自身の夢世界に入った瞬間に呪術が作用するように罠を張っていたの!


呪った分跳ね返る反呪の呪法を!例え女王獏と言えど、その力が強ければ強いほど我が身に跳ね返るの!


そして女王獏の夢暴走が始まってしまった。


眠っていた聖徳太子さんは異変に気付き、膳大郎女さんの姿をした刀自古郎娘さんの眠る部屋に入った時…


その全てを知ってしまったの。妻である膳大郎女さんの正体が刀自古郎娘さんであって、しかも幼少時あの日見た女王獏の変わり果てた姿であり、今、この状況が危険である事に?反呪された刀自古郎娘さんの身体から悪夢が噴き出し、聖徳太子さんの邸にいる全ての者は発狂し、更に村人達にも影響を与えた。


今、この場から逃げれば自分だけなら助かるのは解っていた。自分は今の世に必要で、命を失えば蘇我一族に政権を奪われ世界は闇に落ちるであろう。


死ぬ訳にはいかなかった。


しかし、聖徳太子さんは決断したの。



「私には今守れる者を見捨てる事は出来ない…例えそれで私が命を落としたとしても、後悔する判断はしたくない」



聖徳太子さんは刀自古郎娘さんの悪夢へと入り込んだ。


そして邸に静寂が?


聖徳太子さんは刀自古郎娘さんの悪夢の中で戦っていた。現実世界では数分の出来事だけど、夢世界では何年も悪夢と死闘を繰り広げていた。

そして、


「お前を…救えなく…済まない。だが、一人にはしないからな…」


決死の戦いの末、夢暴走を食い止めた聖徳太子さんでしたが、刀自古郎娘さんは助からず、聖徳太子さんも力尽きて命を落としたのでした。


そして蘇我入鹿は聖徳太子さんの子孫を根絶やしにし、政権を手に入れたかに思われたけど、応仁の乱にて暗殺された。



「あの日救えなかったお前を、今度こそは救ってみせる!私が必ず救ってみせるぞ!」


巨大化した女王獏を中心に竜巻が発生し、私はもう近付く事も出来なかった。


「太子君?」


それでも傷付いた太子君は気力で立ち上がる。その目は怒りよりも悲しみよりも、愛する者に再び巡り会えたような優しい目だったの。


そして太子君は一歩、一歩と竜巻に閉ざされた女王獏のいる中心へと向かって行く!


竜巻は太子君の身体を刃のように傷付ける。拒むように、阻むように、近付けないように…


まるで拒絶?


それでも太子君は歩みを止めなかったの…


まさか太子君は自分の命を捨てるつもりなの?



「駄目ぇー!」


このままでは太子君が死んじゃう!それも愛した女性によって?そんなの悲しすぎるよ!


私は竜巻に吹き飛ばされないように踏ん張りながら方膝を付いて印を結ぶ。


「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!」


それは九字の印で護法の力があった。結界が私を包み込むと、私は立ち上がり新たな印を結びながら真言を唱え始める。


それは真実を見せる真言。偽りを消す力!


私の真言が夢世界に響き渡っていく。そして竜巻の中に見えたのは女王獏の姿ではなく、聖徳太子さんの奥さん?膳大郎女さんの姿でした。


「膳大郎女…」


太子君は手を差し出すけど、膳大郎女さんは顔を背け拒絶したの?


どうして?


すると膳大郎女さんは悲しそうに言ったの…



「全ては私が元凶…私さえいなければ、貴方は蘇我の者に目を付けられる事も、命を狙われ奪われる事もなかった…そして生まれ変わった今もまた…貴方は運命に縛られてしまった…全ては私のせい!」


膳大郎女さんの告白に太子君は答える。


「それは違うよ?私は何も後悔はしてはいない!私はお前に会え、そして愛した。それ以外に何を後悔する事があろうか?」


「!!」


「しかもまた永き時を経て、二度と廻り会えぬと…二度と語り合えぬと思っていたお前と、再びこうやって出会えたではないか?私は本当に幸せだよ!」


「私は…人間じゃないのよ…この姿も膳大郎女さんの姿を借りたに過ぎないわ!」


「それが何だ?関係ないさ?私が愛した女性が獏だっただけ…しかも女王獏だっただけさ?それより頼りない亭主ですまないと思っているよ」


太子さんは全てを知って、その思いを受け止めていた事に膳大郎女さん・・・違う!刀自古郎娘さんは涙を流して太子君に駆け寄る。


「そんな事はないわ!」



再び二人は抱き合うと、


「貴女に出逢えて…私は生涯幸せでした」


「私もだよ…」



太子君の言葉に刀自古郎娘さんの姿に戻った獏の女王は溢れんばかりの涙を流していた。その涙が零れ落ちると、それは波紋のように広がっていき、荒ぶる竜巻を消して夢世界を優しく包み込み始めたの。


「何か…あたたかい…」


私は二人が手を握りあい、そして抱き締め合う姿を見て…


キャッ!


と、掌で顔を隠しながら照れてみた。ちゃんと指の隙間で覗きながらね。


そして刀自古郎娘さんは太子君の胸の中に光となって消えて逝ったのでした。


「ねぇ?彼女は?どうなったの?」


「彼女は成仏したんだ…彼女の魂は欠片のまま縛られていたからね…」



太子君の頬から一粒の涙が零れたのを私は見落とさなかった。


「!!」


その時、私は嫌な気配を感じたの?


すると離れた先に黒い影が移動していたの?


あれは!?


影は次第に人の姿へと代わり、その姿は見知らぬ中年親父になったの?


誰?


そこに太子君が険しい顔付きで答える。



「あの者が本物の蘇我入鹿だよ!」


「あの人が?」


「どうやら獏の力を失い、私の本体に魂を繋げる力を失ったんだろうね」



蘇我入鹿は本来の姿へ変わっている自身に青ざめる。理由は夢世界から出たとしても、女王獏の力で繋げていた肉体へはもう戻れないから。


「こんな馬鹿なぁー!」


蘇我入鹿の周りから飛鳥時代の姿をした悪霊達が剣を持って出現して襲い掛かって来たの!


「往生際の悪いわ!」


すると太子君が私を止めると、指を鳴らす?


同時に悪霊達は全て風船へと変わって浮かんで行き、上空で割れて花びらを降らせたの。


「夢世界での私は神にも近しい!」


太子君は蘇我入鹿に向かって巨大な虫取網で捕まえようとする。


「虚仮にしやがってー!」


慌て逃げる蘇我入鹿を見て、太子君は今まで自分を苦しめた敵を憐れに見る。


「逃げる場所はないぞ?入鹿!もう観念するんだ!」


だけど、蘇我入鹿は振り返り笑い出す?


「あはは…あはははは!」


「?」


まだ何かあるの?


でも、この夢世界で太子君を相手に何が出来ると言うの?


蘇我入鹿は怒鳴るように上空に向かって叫んだの。



「おぃ!出て来てくれぇー!あんたの力を貸してくれ?あんたが、あの連中を始末してくれよ?」



誰に向かって言ってるの?


まさか他に味方がいるって事なの?


でも、まさか?



すると蘇我入鹿の真上の空間が歪み出して、そこから黒いオーブを纏った何者かが現れたの?


「えっ?何?アイツは何者?アイツも夢術師なの?」


私の問いに太子君は固まったまま動けないでいたの?


「どうしたのよ?夢術師最強の太子君に敵はいないんでしょ?」


「解らない…さっきからあの者に向かって拘束する牢獄を具現化しているのに?私の具現化が消されてしまった?」



えっ?


聖徳王の太子君を上回る相手なの?


蘇我入鹿と新たに現れた者に動きがあった。


その者は蘇我入鹿に手を差し出すと、


「有り難い…助けてくれ?そして奴らの始末を頼む?俺はアンタに忠誠を誓い、今まで働いて来たのだ?それくらいは願っても良いだろう?」


蘇我入鹿が、その者の手を取ったその時!


「えっ?」


突如、蘇我入鹿の身体が締め付けられ、どんどんと縮んでいく?


えっ?えっ?



その直後、私は太子君に視界を手で遮られたの。


同時に気持ち悪いような潰れた音が聞こえた?


恐らく、そういう事だと気付いた。そして太子君が青ざめた顔で私の腕を掴み叫ぶ!



「直ぐに奴から逃げるぞ!」


「えっ?何?」


太子君の顔は信じられない者を見た顔になっていた。だけど、その判断の遅れが私にとっても命の分かれ目だと実感した時に私達は呼び出したペガサスに乗ってその場から逃げたの!


「アイツは何者?何か解ったの?」


すると太子君は真顔な顔で答えたの。



「あれは…神だ…」



えっ?


か?神様って?


あの神様?



私は事態を飲み込めないまま、ただ逃げるしか出来なかった。


うん?神様?



そんなこんな。


次回予告


まさかの蘇我入鹿を操っていた黒幕の登場に法子と太子は未だかつてない危機に?


何とかなるのか?そして新たな敵の正体は?


本当に神なのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ