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激おこ(略)なモカと激おこなアイツ

「早く戻って一人でも助けねば」

俺とモカは今、森を抜けるために移動していた。

急ぎたいのは山々なんだが、必死で逃げてきたモカは現在地がわからない。とりあえずわかる場所を求めて行動を開始した。

ちなみに俺は今剣の状態だ。モカが丸腰じゃあ不安が多いし、いつまたあの変態オークに襲われるかわからないからな。

移動しながら俺はモカの色々な事を聞いた。なんでオーク達に襲われてたのかという話から始まって、今年国家試験に合格して兵士なった事、父親が中央騎士団に所属している事、そんな父親がこの国の人々を守る事を誇りに思っている事、そんな父親がかっこいいと思って自分も騎士を目指した事、最初は反対されたけどモカが努力してるのをちゃんと見て今は応援してくれている事。かいつまんで言うとなんで騎士を目指して俺と出会ったのかって事だ。


(ちなみにスリーサイズは?)

「上から77、58、80だ。ちょっとまて。勢いで喋ってしまったじゃないか!」


ちょっと赤くなって頬を膨らませるモカが可愛いすぎる。


(ごめんごめん。じゃあ年齢なら教えてもらっていいか?)

「15だ。成人と認められてからすぐに試験を受けたからな」


なるほどねぇ。ってこっちもちょっとまて。15歳!?

うぉぉ。10歳は離れてるのかよ・・・俺はロリコンだったのか?


「む?ロリコンとはなんだ?」


また考え事が漏れてる。これじゃ迂闊にあんな事やこんな事考えられねぇな。


「おい!変な事を考えないでくれ!私までそういう想像が見える可能性があるだろう!?」

(あ。あぁごめん。いや、俺だってそんな映像を見せて喜ぶなんて特殊な性癖はないし、モカに嫌われたくないからな。気をつける。ロリコンは・・・まぁ忘れてくれ)

「・・・てっつんはかなり、その、スケベではないか?この契約早まったかな・・・」

(ぐ!・・・ま、待ってくれ!スケベなのは否定できないが、モカが魅力的だから!頑張って我慢するから!)

「む、み、魅力的か・・・でっ、では仕方がないな。うん」


ほっ。嫌われなくてよかった。


「む?あれは冒険者たちか?この森はオークキングが確認されてから規制がかかっていたはずだが・・・」


え?何も見えないんだけど・・・あ、いやいた。まだあんなに遠いのによくわかったな。遠目でみてるから確かじゃないけど何か探してるみたいだ。


「スキル:遠視Lv1を取得」


不意に脳裏に声が響いた。

ぇ?スキル取得?なんで!?


「どうした?てっつん?」

(あ、いや、今はいいや。後で話す。今は目の前のパーティに事情を聞こう)

「そうだな」


スキルのおかげかさっきより少しはっきり見えるようになった。近づくにつれてさらにはっきり見えてくる。

あれ?あれってさっき俺を散々追い掛け回してたパーティの一つじゃないか?あの魔法使いチックのお姉さんのトラウマレベルの笑顔は忘れられねぇ。つかまだ諦めてなかったのかよ。まぁ今の俺は剣になっているからばれることはないだろ。・・・たぶん。

あ、こっちに気づいたっぽい。全員が固まって何か話してる。

何を話してるのか気になるな。

ちょっと聞き耳をたててみる。聞こえるか?


「スキル:聞き耳Lv1を取得」


・・・後でモカに相談だな。




「おい、そこの者たち!この森は今オークキングが確認されて一般冒険者は進入禁止になっているのを知らないのか!?」

「は、はい、知りませんでした」

「ギルドに通達があっただろう?」

「わ、私たちは町でこのあたりにメタルジェルがいると聞いてきたんです!ギルドには行ってないので知りません!」

「そうか。ならば早く避難しろ。ここは危険だ。私も同行しよう」

「は、はい!」


このパーティと一緒なのは不安とトラウマで避けたいんだけど、今の状況を考えると仕方ないか。

みんなが一斉に動き出した。だけど魔法使いちっくなお姉さんだけ動かずにたっていた。

パーティのリーダーらしい男に「おい、いくぞ」って声をかけられても動かない。

自分の中で何かを決意したのか、口を開いた。


「女騎士さん。このあたりでメタルジェルをみませんでしたか?いえ、もしかすると伝説のメタルジュエルです」

「・・・それを聞いてどうするのだ?」

「倒します。そのためにここにきたんですから」

「今ここが危険だとわかっていてもか?」

「・・・それは嘘なんじゃないですか?発見されたのはオークキングじゃなくて実はメタルジュエルだったんじゃないですか?」

「おい、ディーネやめろ!」

「・・・それは騎士団や国王が嘘を言っているというのか?」


モカの殺気が膨れ上がる。モカの気持ちはよくわかる。一生懸命がんばってるのに疑われたんだから。


「はい。私たちはメタルジュエルに会って、オークキングには会っていません。疑うのは当然でしょう?」

「つまり騎士団や国王が信じられないというのだな。いいだろう。決壊した本陣へ連れて行ってやる。ただし討伐につきあってもらうぞ?」

「本陣が決壊!?それはかなりまずい状況なのでは!?」


リーダーらしい男が驚愕する。だがお姉さんはさらに畳み掛けた。


「そう言って仲間のところへ連れて行って私たちを消すんですか?」


かちーん。


モカがキレつつも妥協案を出したのにそれすら否定、信じないとかこいつ何様だ?

俺は我慢できなくなって武器化を解いた。


「おい、てっつん!」


モカがあわてて声をかけてくれたがもう遅い。目の前のお姉さんも含めてパーティメンバーが息を呑む。

すぐに我に返ったお姉さんが俺に襲い掛かってくる。


「やめろ!!」


モカの静止も振り切ってお姉さんが武器を振りかざす。俺はアイテムボックスに収納していたオークキングをお姉さんめがけて打ち出した。

かなり大きいオークキングはお姉さんに加えて後ろにいたほかのパーティメンバーを巻き込んでまとめて吹き飛ばす。


「ほら、やっぱりいたじゃないですか!」


吹き飛ばされてもみくちゃになっている状態からお姉さんが罵声を上げる。


「よく見てみろ。そいつはなんだ?」


モカの声が冷たい。激おこだ。激おこぷんぷん丸だ。いや、これはぷんぷんドリームまでいってるな。

そういう俺も相当頭に血が上っている。


「ヒッ!オ、オークキング!」

「ほ、本当だったんだ・・・」

「だからなんですか!本当はメタルジュエルを狙ってて、偶然オークキングを見つけた逆のパターンじゃないんですか!?」

「おいディーネやめろ!お前自分が今何言ってるのかわかってるのか!?」

「では聞こう。なぜそう思う?オークキングの目撃は兵士だけじゃく冒険者からもあったのだぞ?他にもオークの異常な数も冒険者やギルド、村や町から連絡をうけている。そいつらが全員騎士団や王がグルだというのか?」

「そ、それは・・・」

「村が一つ滅んだことも知っているか?オークの異常繁殖はそのためだぞ?」

「えっ?」

「他にももしメタルジュエル目的で森を進入禁止にしたのなら確実に倒すなり捕獲するなりで森を封鎖するだろう。お前たちがここにこれるわけがないだろう?」

「くっ!」

「そんなことも知らず、わからずに噛み付いてきたのか?挙句相棒のてっつんに襲い掛かろうとして。目先のことしか見えない能無しが私の恩人のてっつんに触れるな!」


お姉さんはすごく悔しそうだ。かくいう俺はモカの今の気迫と台詞に一喜一憂して頭に上ってた血が少し下がっていた。

ちょっと怖いところはあったけど、俺を守ろうとしてくれたモカがすっごい嬉しかった。


「私の目の前から消えろ。今すぐ。二度目はない」


お姉さん以外はあわてて体制を立て直して「すみませんでしたぁぁぁぁぁぁ」と叫びながら走って逃げていった。お姉さんも睨みながら「失礼します」といって他の仲間が逃げて行ったほうへと走って行った。






「すまなかったな。てっつん」


俺は再びオークキングをしまいながらモカの謝罪を聞いた。


(いや、モカ何にも悪くないじゃん。むしろ俺のほうが勝手に姿を見せたんだ。ごめんな)

「いや、私の事情に巻き込んでいるのに私のことで怒って行動してくれたことは嬉しかった」

(しかしどうやら誰かがこの森にいるのはオークキングじゃなくてメタルジュエルだっていう情報を流してるみたいだな。他にも散々追いかけられたからなぁ)

「あぁ。どんな意図で流しているのか不明だがな。てっつんがいたことも知っていたのか?」

(わからないことだらけだな。なんにしてもここで余分な時間をくった。早く本陣をみつけようぜ)

「そうだな。てっつん、そろそろいけるか?」

(大丈夫だ。今収納し終わった)

「では急ごう」


こうしてしばらくして、俺たちは森を抜けることができた。




「まっていろみんな。すぐに助けるから」




モカは俺のステータス補正の恩恵を受けながら、本陣へと全力で走り出した。





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