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正しいことって痛いことや苦しいことなのかもしれない

作者: なかぐろ

 多分、正しいことって選択肢の中で一番痛いことや苦しいことなんじゃないかと思う。

 皆が各々好きなことして生きている中で、それは間違っている正しいことをするべきだと言われても誰もやりたがらない。

 耳をふさいで聞こえないふりをするのは、まだいい方で正しいことを言った人を悪人だとして責めたり除者にしたりする。


 本当に正しいことってなんなのだろ?


 ある時、私を含む数人の男女がとある場所で孤立してしまった。

 ここから逃れることは出来ない。

 待つのは死の運命だけだ。

 皆が絶望の色に染まったがそれを見て見ないふりして時が過ぎた。

 そして直ぐに手持ちの食料がなくなった。

 このままでは全員飢え死にするだけだ。

「ここより先はより多くの人がより長く生き残ることが正しいことだ。」

 そんな私の主張に耳を貸す者はいない。

「そんなことは戯言だ、明日には助けがくる。こんなやつの言うことは聞く必要がない。」

 と、私の目の前の男が叫びだした。

 だから一人殺した。数日後にまた一人。そのまた数日後にも一人……

 最後に残ったのは一人。――私だけ。

 そんな私ももうじき死ぬ。

 正しいことをする前と結果は同じ全員死ぬ。

 直接の死亡の原因が飢え死にから他殺に変わり、悪戯に死ぬ順番を決めさせられたというだけだ。


 一番初めに死んでおけばこんな苦しみを知らずに楽になれただろう。

 でも、もし私が殺さなければ六日前に殺した彼女はここまで長く生きることが出来なかったかもしれない。十日前に殺したあの男だってそうだ。

 あの中で人を殺す度胸があったのは私だけだ。

 そしてなによりこの苦しい飢えを知らずに死ねたことは幸せだったはずだ。

“馬鹿な話だ。”

 生きている時間を延ばすという行為にどういう意味があるというのか。

 長く生きることで死んだ後に何かご褒美がもらえるとでもいうのか。

 こんな場所じゃなければ、もっと私より長く生きる人なんていくらでもいる。

 仮にご褒美があったとしてもどれほど変わるというのか。

 そして殺されるのと飢えて死ぬことにどれだけの違いがあるというのだ。

 完全に無意味な行為だ。

 何が正しいことだ。

 何もしないで死んでしまっても良かったはずだ。

 あのまま皆で仲良く死んでしまえばよかったのだ。


「そんなことあるものか!」

 残りわずかな力を搾り出すようにして天に叫ぶ。

 生きることは絶対に正しいことなのだ。

 そうでなければこんなに痛くて苦しいわけがない。

「神様、居るなら出てきてくれ。そして教えてくれ本当に正しいこととはなんなのか。」

 もちろん答えてくれるものはだれもいない。

 私は痛くて苦しい胸を抱きしめるようにうずくまりそのまま死ぬことしかできなかった。


 ここに本当に正しいことはあったのだろうか?


 本文完。

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 以下、[あとがき]


 この物語を書いたとき、本当はもっとめちゃくちゃ長くて、最後に神が出てきて全員復活。そして新たな力に目覚めた彼らの戦いが始まるとか、出てきた神と問答というものだったのですが、全然面白くなる気がしませんでした。というか、神なんていらない。


 本文で正しいこととは何かと書いていますが、私個人としては正しいことを主張する人なんて信用できたものじゃないです。

 だってそれが本当に正しいことなのかなんて分からない。

 ただ、物事を限定――例えば日本社会で自分の勤めている会社が正しいことをしているかどうかとするなら。会社が正しいか事をしているかどうかを自分なりに判断することは出来ます。

 限定条件付きで正しいことというのは存在する。

 これは絶対に正しいことの枕詞には人間社会や日本社会、地域社会、私にとってなどという言葉が隠れているのだと思います。

 それを明らかにせずに正しいことを主張するやつは詐欺師や嘘吐きの類であり信用できるものじゃないです。

 そんなことをなんとなく考えながら書きました。


 こういうのって小説というのだろうかと悩んでいます。

 エッセイや小論という方が正しいのかもしれません。

 この物語に肉付けして詳細なキャラを設定すれば十分小説になるのでしょう。

 中々猟奇的で面白そうだと思いますが……如何せん私には文才が足りない気がします。


 話は変わりますが、最近の私が寝る前にする妄想に、二十人の女性がとある場所に閉じ込められて、五人一組の四つのチームに分かれるように指示される。

 そして十日の間に一日最低一人殺していき最後に生き残った一つのチームの女性だけを生きて元の場所に帰す。

 と、いうのがあります。

 要するに最低十五人死ぬデスゲームなのですが、これだけじゃ面白くないので何個かルールを付けます。


1.一つのチームに一人幼い子が必ずいる。その子が生き残っていたら帰る際に特典として幼い子一人に付き一億円をチームに与える。

2.自分のチームメイトを二人殺すと一人他のチームから自分のチームに加えることができる。

3.自分のチームメイトを三人殺すと、好きなチームに移動できる。


 これなら戦略性がでてちょっとは面白いかも。

 と、考えたりしたのですが、なんでこんなに人がぽんぽん死ぬような話を考えにゃならないのか?

 自分はそんなに病んでいるのかとちょっとだけ悩んだりもします。


 人の死って興味を惹かれる反面、扱いが難しいです。

 それに気軽に死んだ、殺されたと書くと様々なところから苦情がきそうで怖い。


 最後までつたない文章にお付き合い頂きありがとうございました。

 よろしければ感想など頂ければ幸いです。

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2016/02/05 18:02 退会済み
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