表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウイルス戦争  作者: 甲斐のTORA
9/10

終幕

 日高ハルは絶望している。自らの眼前で起こった惨状に。いや、状況を飲み込めていないのだ。仲間堅護に手を引かれるがまま真波紗綾から逃げ、自分のせいで堅護は体を貫かれて血だまりに沈んでいる。ハルには、ここは夢現の世界ではないのかと思わずにはいられなかった。堅護に凶刃を向けた者はケタケタと薄気味悪い声を上げている。


「堅護……君」


挫いた足を庇いながら堅護の元に歩きよるハル。しかし、異質さは更に加速する。


「……え?」


確実に致死量の血を流している堅護が何事もないかのようにひょいと起き上がったのだ。首をぐるりと一回回し、間の抜けた欠伸を一つ。よく寝たと一言言ってのけそうな動きを見せた。それは堅護が学校で昼寝をして起きた時にする仕草に酷似して、それが酷く懐かしくて、ハルは思わず駆け寄ってしまった。


「堅護君!良かった……無事だったんだね……」


堅護の身体の真ん中に空いた風穴が綺麗に閉じていることになんてまるで気付かない。堅護の顔を至近距離で見てハルは驚愕する。


虹彩が真っ赤に塗りつぶされ、目から溢れて流れるソレは赤黒い血の涙。それを当たり前のことと思っているのか自然と涙を拭い薄気味悪い笑みを浮かべた異形の者を、ハルは自分の知る堅護ではない事を悟らざるを得なかった。


「はぁ、いつもこうなるから嫌なんだよナァ。目の前が真っ赤で見えましぇーん、ってナ」


堅護の声を使い、身体を使う。しかし堅護とは全く違う言動で話すソレはハルにとって受け入れられないものであり、敵だ。


「アナタは……誰?堅護君を返してよ!!」


一人でケタケタ笑っていた堅護?はようやく一人の人間に気づき、


「アァ?お前こそ誰ダ。堅護君?コイツの名前カ?」


カッターシャツは血で汚れているものの、そこから見える肌は傷一つない身体を指差して問いかける。


沈黙を肯定と受け取ってか、異形の者は更に捲し立てる。


「誰かは知らねぇが、こいつはもう俺のもんダ。渡せねぇし、ワ・タ・サ・ネ・エ」


「……堅護君が何をしたって言うの?どうして、どうしてそんなことする―


ハルがその言葉を言い切ることはなく、気付けば身体が宙に浮いていた。

一瞬何が起きたか分からなかったハルだったが、気付くと元居た位置より後方5メートルのところに吹き飛ばされていた。


地面に叩きつけられる衝撃で、肺の空気が外に出ていき、痛みで顔が歪んだ。


「何が……?」


「ギャーギャーギャーギャーうるせぇんだヨ。何あんたコイツの保護者ですカ?人間様は大人しく俺たちの喰い物にされてたらいいノ。わかルー?」


意識が混濁としていて化け物が何を言っているのか訳がわからなかった。このままこの場にいれば殺される、しかし逃げ切るのは到底不可能だろう。身動きが取れず恐怖を刷り込まれている状態で身体などろくすっぽ動かない。


「あんたに俺を見られたからには逃がしちゃおけねぇからナ。……殺しちゃいマース♪ってナ」


何が面白いのか汚い笑みを浮かべて一歩二歩と距離を詰め寄る化け物にハルは、


「た……助けてー!堅護君っ!」


堅護の身体をした化け物に助けを求めていた。声は届くはずもない、堅護は体を貫かれて絶命したのだから。しかし窮地に颯爽と現れて、不格好ながらも助けてくれたのは、目の前にいる仲間堅護なのだ。


「だから、もうその堅護君ってやつは死んだノ。あんたアホ?」


気付けばハルは化け物の間合いに入っていた。気味の悪い笑みを浮かべて手刀を振り下ろした次の時、


「グァァァァァァァッ!!」


ハルの身体にはどこも異常を来たしていない。叫び声を上げていたのは目の前にいる化物の方だった。頭を両手で抑え、普通の頭痛どころではない異常さが感じられる。


「貴様ァ、マ、マサカ……ウ」


血の涙を流しながらハルに手を向けるが身体がその場で硬直したと思うと、身体から黒い煙のようなものが飛び出してきた。

煙が消え去ると化け物は直立でその場に倒れ込んだ。


何が起きたか分からず目の前に倒れ込む化け物を注視していると、ふいに肩に何かが触れるのを感じた。


新たな敵かと恐怖が体中に走るハル。恐る恐る振り向くと、真夏の暑い季節にもかかわらず黒のコートで体を包む細身の男がそこにいた。


表情は目深にかぶった帽子のせいで読めず警戒を続けていたハルに、


「すまなかった。もう少し速く来ていればこういうことにならなかったのに。本当に申し訳ない」


と明らかな謝罪の言葉と、声質が柔らかく優しい印象を受けたハルは、意識を途切れさせた。ハルを抱きかかえると、黒のコートの男は眼前で倒れる男子高校生と思われる人間に視線を注ぎ、


「彼はなぜ奴らの攻撃に打ち勝ったのか……調べる余地は残っているな」


ハルを連れてどこかに去ったかと思うと再び戻ってきて、男子高校生を背負って次には戻ってくることはなかったという。


少年少女の長い長い1日が終わった。


ネタは切れてなかった!

戻ってきました!


やっぱり最近暑かったらいろいろ大変ですよね、うん。


そう言う事ですよ←?


と言うことで、駄文ですが宜しくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ