22 テメェに出来ない事を俺がやる
22 テメェに出来ない事を俺がやる
校舎側、グラウンドへ降りる階段の手前。
「大丈夫?」
かなめが気がつくと、いおりが彼女の身体を抱きかかえていた。
折れたはずの肩から痛みが引いている。恐らく、いおりが治癒してくれたのだろう。
「ごめんなさい、湯浅さん……私、何も出来なかった」
「そんな事ないよ。アンタは十分頑張った。私たちの役目は時間を稼ぐ事だよ。アンタはその役目をこれ以上ないぐらいに果たしてくれたじゃないか」
いおりの力強い笑みが、無力さに打ちひしがれていたかなめの心を満たしてくれる。
それだけで、かなめは十分だった。
いおりの役に立てたという事実さえあれば、他には何もいらなかったのだ。
「あとはアイツが何とかしてくれる。アンタはゆっくり休んでな」
「……アイツ?」
いおりがグラウンドの方を見ているのに気がつき、かなめもそちらへ視線を向ける。
グラウンドの王たちのどよめきがここまで聞こえてくるようだった。
****
「よぅ、中堂センセ。無様だな」
その時、剣十郎と則正を遠巻きに眺めていたグラウンドの王たちから声が聞こえた。
生徒たちは互いに顔を見合い、誰だ誰だと声の主を探す。
そして、俄かにざわつき始める。
「そろそろ蜀ってヤツに縛られるのも飽き飽きしてた所だ。三嶋にゃ悪いが、三時間なんて到底待ってられねぇわ。ここからは俺の好きにさせてもらう」
「……誰だぁ?」
剣十郎がそちらに顔を向けると、人垣がパッと割れ、その奥に一人の男子が現れる。
「俺の名は鬼頭虎勝。懐かしいな、波多野剣十郎センパイ?」
「鬼頭、虎勝ぁ? ……あぁ、そんなヤツいたっけなぁ」
剣十郎の在学中の去年、虎勝は一年。
その当時から札付きだった剣十郎と、一年ながらも頭角を現し始めた不良であった虎勝。両者の面識があってもおかしくはない。
「俺がガッコに通ってる間は鳴りを潜めてたビビりが今更何の用だぁ?」
「いやぁ、一年遅れての下克上ってのをやってやろうと思ってね」
虎勝は割れた人垣の道を、堂々と歩く。ポケットに手を突っ込み、それはもう傲岸不遜を体現するかのように。
「波多野センパイ、アンタの能力の欠点を一つ、言い当ててやろう」
「なに?」
虎勝の言葉に、剣十郎が反応する。
「俺の能力に欠点? んなもんあるわけねぇだろ」
「気付いてねぇのか、それとも突っ張ってるだけか……ないって言うなら教えてやる」
自身あり気な虎勝に、剣十郎の表情は読めない。
意外とポーカーフェイスも上手い輩であった。
そんな剣十郎に対し、虎勝は人差し指を突きつける
「アンタの能力の欠点、それは移し変える対象を先に選んでおかなければならない事」
それは先程の一幕を見ていれば推測出来た事である。
虎勝も、その情報がなければ欠点を見抜けていたかどうか怪しい。
「アンタの能力は確かに人に色んなものを移し変える事が出来る。だが、そんな後出しの能力なら、中堂の能力が発動してしまえばそんなのは関係ねぇんだ。中堂は『能力の使用を禁止した』んだからな」
つまり、能力が禁止された状態から自分に課せられた不利なルールの移し変えは出来ないということ。剣十郎が後手に回ってしまっていたなら、則正の能力が発動した時点で剣十郎の能力は発動できない。
もしそれが出来たのだとしたら、事前に何か策を打っていたからだ。
「アンタの能力、より詳細に言うなら『自分が対象に取られた能力や影響、ダメージなどに対し、アンタが新たな任意の対象を指定する』と言うもの。つまり対象変更能力!」
「……まぁ、俺が自白したとおりの事だなぁ」
笑いながら、剣十郎は余裕を崩さない。
「だが、それがわかった所でどうする? お前も俺を殴ればそれがお前に帰ってくるだけだ。どの道、俺を倒す術はない!」
「いいや、ある」
だが虎勝とて余裕っぷりなら負けてはいない。
スッと二本の指を立てて見せ付ける。
「アンタを倒す方法は二つ。対象変更能力が発動する前に、アンタの能力を封じる事。中堂の能力じゃ不利だろうが、能力封印に特化したヤツなら勝ち目はあるだろうな」
「お前がそうだとでも?」
「いいや、残念ながら違う。だが、能力で能力を封印する以外にも、アンタの能力を封じる術はある。……アンタ、さっき中堂に殴られた時、どうしてすぐに能力を使わなかった?」
剣十郎の眉がわずかに動く。
虎勝は好機と言わんばかりに言葉を重ねた。
「もしアンタが膝を折り、地面に屈していた時に中堂が追撃をしていたなら、アンタも大したダメージを負ったはずだ。そんな隙を生んだのは何故か?」
「俺の作戦かも知れねぇな?」
「そうかもなぁ。それも含め、考えられる理由は幾つかあるが……恐らく、アンタは条件付けされた自動発動の能力じゃなければ発動にタイムラグが生じる」
付け加えるならば、自動発動能力には制限があるのだろう。でなければ、剣十郎の不利になりえる事柄全てが一瞬で他人に移し変えられてしまうだろう。それが出来ないのは、自動発動能力が発動する条件が幾つか設定されているという事。
虎勝が知り得る事ではないが、もしかしたら則正の能力だけしか受け流せないような、特殊なルールでも設けられていたのかもしれない。
そして更に重要なのは手動で発動する場合に起きる、能力のタイムラグ。
その間は、剣十郎の能力が発動しない、何らかの理由があるのだろうが、注目すべきは発生理由ではなく、発生してしまうという事実のみ。
「俺が目算しただけでも、能力発動のタイムラグは十秒から十二秒くらいか」
「全体的に根拠が弱いぜ、ボーズ」
虎勝と剣十郎との距離があと数メートルほどまで縮まった所で、虎勝は歩みを止める。
「だったら試してみようか。もしアンタが五秒間能力が使えないなら、その間に死んじまえば能力だって使えずに死ぬ。つまり、アンタを倒す条件は即死に至る傷を与える事」
空気が張り詰める。
取り巻きのグラウンドの王たちが肌で感じられるほどの殺気が、辺りに充満し始めた。
虎勝ならば恐らく、即死級の攻撃を加える事が可能である。それだけの能力を有している。グラウンドの王も、剣十郎も、それは既に知っているはずだ。
しばらくの沈黙の後、虎勝は両手を挙げた。
「冗談だよ。俺だって人殺しなんかしたくない。こんな歳の内に人生をパーにするつもりなんかサラサラねぇよ」
「へっ、腰抜けが。試してみろよ」
「いやぁ、それよりも断然安全な策があるんでね。そんな危険な橋を渡るまでもねぇ」
「安全な策だと?」
「言ったろ。アンタの能力を打ち破る策は二つ。その二つ目だ」
ニヤリと口元が上がる。
「二つ目の策、それは俺がアンタと戦う事だ」
剣十郎にはその言葉の真意を看破する事は出来まい。
だがそれがハッタリなどではない、という事はわかる。
虎勝の立ち振る舞いから窺い知れる自信というものは、揺らぎがない。
「……良いだろう、試してやるぜ、ボーズ。テメェが本当に俺を倒せるのか、根性見せやがれぇ!」
繰り出されるのはまたも殺人的な突進。何十人もの脚力で地面を蹴り飛ばし、数メートルの距離を詰める。
至近距離で見せられる超スピードと言うのは、何の誇張でもなく、目にも留まらない。
知覚出来ないスピードを見せられれば、普通は対応できない。
だがそんな自然の理は、今の虎勝には通用しなかった。
「遅いぜ、センパイ!」
巻き起こった突風は二陣。剣十郎の突進と、それを避ける虎勝の移動。
剣十郎を上回るスピードで彼の後ろに回り、首を押さえて思い切り地面に押し付ける。
固められた土の地面はひび割れ、隆起し、剣十郎は地面にめり込まされた。
「が……ぁ!?」
その一瞬の出来事には剣十郎も驚いただろう。
そして勘違いしただろう。
自分自身を強化できる能力を持っている剣十郎からしてみれば、そうなってもおかしくはない。
剣十郎は虎勝を自分と同じ能力であると錯覚した。
「ぐ……なるほどなぁ、だからテメェは俺を倒せると踏んだわけか!」
言い終わるや否や、剣十郎は今の攻撃によるダメージをどこか他所へ分け与える。グラウンドの王たちの中から不特定単数の悲鳴が上がった。
「グラウンドの王の中の覚醒者五十人近く、その中にダブる能力はなかった。酷似したヤツはあったけどな。……だがなるほど、テメェも同じって事か」
その言葉に、虎勝は何も答えない。
それを肯定と捉えたのだろう、剣十郎はニヤリと笑う。
「だが、この能力も使用者が違えばパフォーマンスだって違ってくるんだぜ?」
「ほぅ、じゃあセンパイは上手く使える、と?」
「そのヨユー顔を歪ませる程度にはなぁ!」
ピンと張り詰めた空気の中に、違和感が走る。
恐らく剣十郎が能力を使ったのだろう。
「鬼頭よぉ、さっきのセンセとの戦いは見てたんだよな?」
「あぁ、遠巻きだったから良く見えなかったがね」
「だったらセンセが俺に課そうとしたルールを覚えてるか?」
それは二つ。『敬語で話せ』と『能力を使うな』。
そのどちらも、今はグラウンドの王の誰かに受け渡されているはずだ。後者に関しては能力者本人である則正と、受け流した剣十郎、無効化した虎勝以外、グラウンドの王の全員がかかっている。
「この能力を使いこなせてねぇ若造に、一つレクチャーしてやる。この能力は『誰かのモノを自分のモノに出来る』。って事は、他のヤツにかかっているセンセのルールだって自分のモノに出来るってわけだ」
「……なるほど、それを自分に移し変える前に対象変更をあらかじめかけておけば、自分に課せられるはずだった不都合なルールが、アンタを素通りして俺にかかってくる、ってワケか」
まずあらかじめ、剣十郎に『則正の能力を虎勝に受け流す』と言う能力を発動しておく。次にグラウンドの王から『則正の能力を剣十郎に移し変える』と言う能力を発動する。すると最初に発動した自動発動能力により、則正の能力は剣十郎をスルーして虎勝に襲い掛かるというわけだ。
「お利口じゃねぇか、ボーズ。その効果は既に発動されている! 今現在、テメェは能力を使えなくなった! これがどれだけ不利かわかってるよなぁ?」
覚醒者と一般人の力の隔たりは何度も確認したとおり。
しかし、それを認識してなお、虎勝の様子に変化はない。
「口上が過ぎるぜ、センパイ。アンタの言う事が本当なら、俺はもう詰みじゃないか」
「そうだ。お前に勝ち目なんか微塵もねぇ。……だってのによぉ!」
剣十郎の顔が怒りで赤くなる。
「なんでテメェはそんな余裕でいられるんだぁ!? 余裕のハッタリかましてんじゃねぇぞ、小僧がぁ!」
「これがハッタリだと思うんなら、さっさとボコってみたらどうよ、センパイ?」
「うおおおおおおおああああああああ!!」
叫び声を上げて、剣十郎は虎勝に向かって突進する。能力が発動できない虎勝には反応できないスピードだろう。加えて、剣十郎は一撃で人を殺せるパンチを持っている。それを命中させれば虎勝はまず間違いなく死ぬ。
これで邪魔者は消え、剣十郎の天下が訪れるはずだった。
しかし、
「遅いぜ、センパイ。さっきのが何倍もマシだ」
気付くと虎勝に背後を取られていた。
それは先程と同じような光景。しかし、剣十郎は明らかな違和感を覚えていた。
虎勝の動きが先程より鋭く、速くなっている気がする。
「くっ! テメェ!!」
焦心を隠すように振り返りざまに拳を振りぬくが、それは虎勝に易々と避けられる。
「こんなもんかよ、ガッカリだぜ」
「テメェ、何しやがった!?」
「アンタに理解出来るか? 少し強く行くぜッ!」
そしてその上で、がら空きになった胴体に、虎勝の拳が強か打ち上げられる。
鳩尾を抉るように突き上げる拳は、剣十郎の肋骨を幾つか粉砕し、内臓を千切る。
「ガハァッ!」
剣十郎の口からは大量の血が吐き出され、身体は宙に浮く。
強烈な痛みと浮遊感。それは剣十郎に死を幻視させた。
放物線の頂点を描いている剣十郎の目の前に、その死は実体を伴って現れる。
「これで、止めだッ!」
目の前に現れたのは、打ち上げられた剣十郎よりも高く飛び跳ねた虎勝の姿。
虎勝が浮かべた狂気的な笑みは、剣十郎の心に深く刻み付けられる。
「お、おお、おおおおおおおおおおお!?」
「うおおおおおりゃぁあああ!!」
虎勝の拳がもう一発、腹部に思い切り突き刺さり、
「ゴボォッ!!」
剣十郎はまたも血を吐いて、一直線に地面へと落下する。
その勢いたるや、まるで小隕石の激突を思わせるほどだった。
轟音が鳴り響き、土の地面は先程よりも広く、深くひび割れ、地面がせり上がって土煙が高々と舞い上がる。
その衝撃だけで周りのグラウンドの王はよろめき、立っていられぬほどだった。
「ぐお……おぉ!?」
まず間違いなく致命傷。あれで生きているはずはあるまい。
そう思われた剣十郎だが苦しげにうめく声が聞こえた。
土煙が晴れ、今やグラウンドの体をなさなくなった地面に、彼の血まみれの姿が現れる。
「バカな……お前の能力は……封じたはず……!?」
未だに納得できない、と言った風な剣十郎に、虎勝は勝利の笑みを湛えて近づく。
「勝手に勘違いしてたのが面白かったから何も言わなかったけど、俺の能力はアンタと同じ能力なんかじゃねぇぜ?」
「なん……だと……!?」
そこが剣十郎の敗因だった。
彼は自他共に認めるほど煽りに弱く、学校を卒業するにもギリギリなほど成績が悪く、学力がないばかりか知恵も足りない。
故に頭に血が上った状態ではまともな判断すら叶わず、まんまと虎勝の術中にはまったのだ。
「センパイ、アンタばかりが能力のネタバラしされたんじゃ不平等だよな。だから俺の能力も教えてやる。俺の能力は『ルールから外れる』能力。俺が外したいと思ったルールから外れる事が出来る」
「な……んだ、そりゃ……!?」
「俺はこのグラウンドに降りてくる前から、ずっと能力を発動させていた。それは『相手の能力の対象になる』ってルールから外れるってモンだ。だから中堂の能力の対象からも外れたし、アンタの対象変更の対象からも外れた」
もう少し詳しく言うならば、要所要所で剣十郎とまともに戦えるように、自分が外れるルールを変更していたりする。剣十郎のスピードを上回ったりした時なんかがその例だ。
「さて、俺はアンタの能力の対象から外れた。じゃあ宙ぶらりんになっちまった中堂のルールはどこへ行くのかな? これは俺も想像出来なかったが……」
「まさか……!?」
「どうやらアンタ自身に戻ってきちまったらしいな?」
剣十郎の使った能力は、その辺にいる生徒から則正のルールを奪う能力と、ルールが自分に降りかかる事を条件として発動する『対象を虎勝に変更する』と言う能力の二つ。
この内、後者は対象がなくなってしまった事で不発に終わり、前者だけが効果を発揮してしまったのだろう。
今、剣十郎は能力を使えない一般人と変わらない。
「いやぁ、勘違いって怖いもんだな、センパイ?」
「ぐ……ぐうぅぅ……!」
何か言いたげな剣十郎だが、それも叶わなかった。
殺人的な圧力で地面に叩きつけられ、普通なら死んでいるレベルのダメージを受けて身体が悲鳴を上げているのだ。今、意識を保っていられるのも常人では考えられないレベルだろう。
「さて、と」
地に這いつくばって動かない剣十郎に、虎勝はそれ以上興味を見せず、どよめいているグラウンドの王たちに宣言する。
「この場にいるグラウンドの王たちよ! 残念ながら俺は蜀って勢力に所属している! グラウンドの王のルールに従うなら俺が次のリーダーだが、それは出来ねぇ!」
虎勝の真意を測りきれず、グラウンドの王たちは互いの顔を見合わせる。
構わず、虎勝はグラウンドに声を張る。
「だから早いもん勝ちだ! コイツを倒したヤツが、次のリーダーだ! 一時の権力が欲しければ、コイツを倒せ!」
それはグラウンドの王の、新しい乱世の到来だった。
虎勝の言葉を聞いたグラウンドの王の内、一人が人だかりから飛び出し、剣十郎にエルボードロップをかます。
「ぐお……あ……」
今までギリギリの所で繋いでいた剣十郎の意識が、その一撃で途切れる。
「お、俺が、俺がグラウンドの王のリーダーだ! 文句あるか!」
止めを刺した生徒が高らかに宣言する。
それが合図だったかのように、グラウンドの王たちは口々に叫び声を上げて大乱闘を始めた。我こそがグラウンドの王のリーダーにふさわしい、と。
土煙がもうもうと立ち込める中、蚊帳の外に置かれた虎勝は、同じく輪の外に弾かれた則正に近づく。
「……何の用だ、鬼頭」
則正は未だにダメージが抜けないようで、地面に膝を突いて動かないでいる。
そんな則正を見下し、虎勝は吐き捨てるように言う。
「実はよぉ、センセ。俺はアンタに仕返しに来たんだわ」
「だったら好機ではないか。私は今、動けないぞ」
「潔い態度だなぁ、おい。だから気に食わねぇんだ」
動けない則正の肩口を遠慮なく蹴り飛ばす。
則正は抵抗する事も出来ず、そのまま地面に転がった。
「確かに今の状況、アンタをボッコボコにしてやる事も出来る。だが、それじゃあ面白くねぇんだわ」
「得物を前にして舌なめずりするのは三流、と言うのは誰のセリフだったかな」
「確かに殺れる時ゃ殺る。それは戦場の掟なんだろうが、知ってるかセンセ?」
虎勝はしゃがみ込んで則正の顔を覗く。
「俺ぁ、ルールに縛られるのが嫌いなんだ」
虎勝の言葉の後、彼の背後から現れたのはいおりだった。
「湯浅……いおり?」
「アンタも知ってるだろ、コイツの能力」
湯浅いおりの能力は、治癒能力。
どんな傷も痛みもたちどころに癒してしまう能力だった。
「……鬼頭、貴様……」
「立てよ、センセ。最後の決着をつけようぜ」
睨みあう虎勝と則正。
二人を見ながら、いおりはため息をついた。
オトコと言うのは本当に馬鹿だ、と。
「もうすぐこの悪夢のようなお祭りも終わるって言うのに……どうしようもないわね、アンタたちは」
ぼやきながら校舎の屋上を見やる。
そこに幾つかの人影を見た気がした。
「三嶋くんならきっと上手くやってくれるでしょ。どうか、このバカ共が共倒れになる前にケリつけてよね」




