表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

第二話

もし、戦争にあなたの国が巻き込まれたとする。


もし、戦争の行く末を知る事が出来たなら。


勝つ事が出来るはずだ。


戦争だろうと賭け事だろうと何だろうと、行く末が分かっていたら、未来が分かっていたら。


あなたの有利な方向に未来を進める事が出来る。





(予言師か・・・・)

シーオドアは、また考え事をしながら市場を歩く。

本来ならば活気溢れていたこの場所は、今は人通りも少なく、看板も壊れていたりと最悪な有様だった。

「・・・そこのあなた」

話しかけられて、予言師について考えていたシーオドアは顔を上げた。

老人だった。

ボロボロの服を纏い、フードを深く被っている。その為、顔がよく見えなかった。

フードから歯が数本欠けている口が見えた。

どこからどう見てもお伽噺に出てくる怪しい老人にしか見えない。

そんな事を考えながら、シーオドアは口を開いた。

「あなたは?」

「夢の世界というものを知っておろうか」

しわがれた低い声で老人が聞いてきた。

「いわゆる、夢界(むかい)というものじゃ」

夢界なんていわれても分かるわけがない。

「何の事だか」

「ふぅむ・・・」

老人はしばらく考えていたが、やがて口を開いた。

「マージュリーヌが住み着いている場所の事じゃ。じゃが、分からんじゃろう。お主にこれを差し上げるから、マージュリーヌの所へ尋ねてみなさい」

普段、平民にこんな事を言われていたらとても苛立っただろうが、今、シーオドアは落ち着いていた。

そして老人は古びた1枚の紙を取り出して、言った。

「ほれ」

慌てて受け取る。

紙だと思ったら、薄い布だった。インクで何か書いてある。

そして、無言で立ち去る。数歩歩いて後ろを振り返ると、誰もいなかった。

この辺りには身を隠せる場所などないのだが、シーオドアは何も感じなかった。





自宅に戻る。

ご苦労な事に、衛兵が大きな門の前で見張っていた。

「お帰りなさいませ」

「・・・」

無言で通り過ぎ、急いで自分の部屋に戻る。

途中、無邪気な子供の声が聞こえた気がした。


室内に入ると、いつもと全く変わらない風景が彼を迎えていた。

豪華な天蓋付のベッドに、広い仕事机。仕事机には、書類が山のように積まれていた。

それらの書類を脇に除け、布を広げる。

布は黄ばんでいた。

偽物だとは分かっていたが、もしかしたら予言師について何か書いてあるかもしれない、という淡い期待を抱き、目を凝らして見つめる。


ようやく、上の方に何か書いてあるのか分かった。


<夢 の森>













評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ