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ブレイカーズ ─大好きなゲームのラスボスに転生したので破滅を回避しつつ続編を生み出します  作者: 七宮ペポポ


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5/8

第5話「ラスボスだったけど、日常シーン好き」

 エミルは死ぬ。

 このままでは、どこかのダンジョンで。

 アークとミーナを庇い、見たこともない強力な赤い魔物に襲われ――

 それが、俺の知る最悪の未来だった。


 だからこそ、まずは三人のパーティに入らなければならない。

 近くにいれば守れる。守り切る。ラスボスである俺自身が、全力で。



 トイレへ行ったふりをして、先に食事の会計を済ます

 ごっそり持っていかれた金貨に驚きながら

 静かな決意を胸にアーク達のもとに戻る


 ――準備完了だ。

 あとは、合図を待つだけ。


 席に戻ると、エミルとアークがデザートの取り合い(?)をしていた



「アーク、ここにあったフルーツタルト知らない?」


エミルが目を細め、テーブルを覗き込む。

眉を寄せ、不機嫌というより“残念そう”な顔。


「おねえちゃん、それは きのう たべたでしょ?」


 アークがタルトの食べカスが口についたままモゴモゴと答える

 ミーナは呆れ顔のまま、フォークをゆるく指に挟んで回している。

 その先には、すでに諦めを漂わせた疲労の色。


「そうだったかのうぅ~ セイッ!」


 エミルの腕が軽やかに振られる。柔らかい布をはためかせるような動きで

 アークの皿からケーキが奪い去られた。


「うぉおおお俺のケーキ!? 返せ! 還せよぉおお‼」


「アンタは食べ過ぎなのよ。私遅れて来たんだし

 デザートはこっちに回してもらわないと」


 エミルはケーキを口にしながら勝ち誇った笑みを浮かべる

 

「このテーブルの食料はすべて俺のものなんだが?」


「ふたりともさー、いい歳なんだからこんなことでケンカしないでよ……」


 ミーナは両手をぱたぱたと振りながら間に割って入ろうとする。

 が、二人は聞いていない。


「ミーナ、そこのプリン取ってくれ」


半眼で粘るような目つきをアークに向けるミーナ


「おじいちゃん、さっき食べたでしょ? 

 それにこれはアスノさんが頼んだやつで──」


「戦場で背を向けた者に所有権はない」


 アークの手がプリンの方へ伸びる。

 ミーナが慌ててアークの手を叩き落とす

 エミルはそのやり取りを見ながらため息をつく。


「なんて卑しいのかしら。こんな子に育てた覚えはお姉ちゃんありませんよ」


「後で俺のかわりにアスノに謝っといてくれ。

 姉の、年長者としての責任を全うしてくれ。役目、だろ?」


「責任を持ってそのプリンは私が食べるわ」


「あ?」

「おぉん?」


 エミルとアークの低い声が重なり、二人は睨み合う


「だからケンカしないでよ、も~‼」


 ミーナが手をぶんぶん振りながら怒る

 あぁー こういう楽しげな日常シーンほんと好き……


 (エミルの扱い…アークが女キャラに対して

  男キャラと同じ扱いしてるなんてレアシーンだ…)


 ニチャァとした口元を手で覆いながら眺めているとミーナと目が合う


「あっアスノさん!」

「げっ」

「あっ」


 アークは顔を背け、エミルは顔を少し赤くして俺から目を逸らしていた

 ためらいがちにエミルが口を開く


「……どこから見てた?」


「フルーツタルトの下りから」


「ほとんど全部じゃないッ」


 俺は笑いを堪えながら席に着き、プリンの皿を手に取る


「プリン上げますからショウの続き見せてくれませんか?」


「ショウじゃない!」

「えっ いいのか!?」

「アークェ……」


 アークはもうプリンを頬張っていた。ほんと自由だ。

 ミーナとエミルが申し訳なさそうに頭を下げる。


「ほんとにごめんなさい、ウチの子が……」

「本当にお恥ずかしい……」


「大丈夫ですよ。むしろ楽しいくらいです」


「なぁ 追加でプリン頼んでいいか?」

「「アーク‼‼」」


ここにいれることが本当に楽しくて堪らなかった





 しばらく他愛ない会話を交わして――

 ミーナが何気ない口調で言った。


「お勘定、済ましときましょうか」


 その瞬間、俺は心の中で息を吸い込む。



「ミーナさん、会計はもう済ませておきました」

「えっ!? い、いつの間に……!」

「まぁ……こんなに財布が軽くなるとは思いませんでしたが」


 俺は、財布を持ち上げて振ってみせる。寂しい音しかしなかった。


「そ、そんな! お金はちゃんと払いますから!」


「男に二言はありません。それに――いい儲け話を聞いたので」


 歩み寄るように、だが確かな声で言う。


「儲け話?」

「この近辺のダンジョンでジュエル系の異常発生エリアがあるらしくて」

「本当ですか!?」


 ジュエル系、高経験値、高レアドロップをする魔物

 所謂レベル上げと資金集めを兼ねたボーナスモンスターだ


「えぇ。情報源は明かせませんが確かです。よかったら一緒に行きませんか?」


「魅力的な相談だけど……」


 エミルの顔には慎重さと欲との葛藤が現れていた


「ジュエル系はすばしっこいので、一人だと狩るのに時間がかかります。

 皆さんが協力してくれたら助かるんですが」


「行こうぜ。ギルドの依頼より金になる」


「私も良いと思う」


「うーん……」


 エミルは手を胸の前で組み、しばらく考える。

 そこで、俺は一巻のスクロールを取り出した


「心配なら契約魔法で縛ってもらってもいいですよ」


 取り出したのは、虚偽や裏切りがあれば命を落とすほど強力な契約魔法書類。


「いや、何も命まで……」


「逆に怪しいわよ、それ……」



(……しまった…やりすぎたか……)




いつもそうだ肝心なところで人との距離を図り間違える

いや、普段からそうか?あっやばい今までの

一連の行動が全て恥ずかしくなってきた

誰も俺を愛さない──



「……わかった。この話、乗るわ。ただ、契約内容は

 ちゃんと詰めさせてもらうわよ」


急にネガり出した俺はハッとして顔を上げる

視線の先には微笑む3人の姿


「も、もちろん構いません! ありがとうございます!」




ダンジョンでエミルが死ぬとわかっているなら

彼女をダンジョンから遠ざけるのが一番だが

今しがた知り合った人間に「死ぬからダンジョンへ行くな」と言って

素直に従ってくれるとは思えない



学院の学費を渡せばダンジョンに潜ることはなくなる?

ゲーム本編開始まで半年、何があるかわからない

ちょっとした理由でダンジョンに赴く可能性は十分ある

だから、側で見守らないと駄目だと思った


幸い、今回赴くダンジョンエリアは、ゲーム本編後半で発見されるエリアなので

本編開始の半年前では本来行くことはできないから心配はないだろう

それともう一つ、単純にジュエル系を狩ってレベル上げをすれば

自衛手段も増えると思ったんだ


(今はコレがベストな選択…のハズだ)


そう繰り返し心の中で呟いた。

それでも、胸の奥にひっかかりは残る。




 契約内容の調整はエミル主導で進められた

 エミルは、驚くほど理知的で、俺側が有利になりすぎていないか

 万が一失敗した際の補填、怪我をした場合の治療費の分担--

 丁寧で、公平で、隙のない契約


 俺は心の中で感心していた。


(エミル、こんなに頭の回る人だったのか……)


 最終的に、お互いに納得のいく形で契約はまとまった。

 まぁ俺は3人と行動できれば利益とかどうでも良いんだけど



「じゃあ、最後にパーティ契約ね。ステータス共有の許可をお願い」


「はい、どうぞ」


 その瞬間、三人の表情が一変する。


「……は?」

「Lv……64?」

「嘘でしょ……こんな数値、エレインさんよりも──」


(ん? エレインって─)


「おぉー闇魔法適性者なのか~俺光なんだよー」

「収納魔法使えるんですか!? アーク以外に初めてみました‼」

「スキル数……多すぎない?貴方……一体何者?」



……馬鹿正直にステータス晒すべきじゃなかったか?


嘘ついたら後々信用されないかなぁとか


メリットないと思ったんだけど…どうしよどうしよ


俺は人差し指を突き立て、顔の前に出しす




「ただの一般人です(バチコーン☆)」





「「「嘘だ‼」」」


あ、あれ…小気味にウィンクなんかしたのがマズかったか?

怪しまれないように笑顔で対応したのに!




ブックマーク、☆など頂けると今後の活動の励みになります。

よろしくお願い致します!

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