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ブレイカーズ ─大好きなゲームのラスボスに転生したので破滅を回避しつつ続編を生み出します  作者: 七宮ペポポ


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第21話「ラスボスだったけど、連携プレイします」

 チホートから飛び立った俺達は、わずか三十分ほどの空の旅を終えてアイゼル山の麓に到着した。

道中の障害物を無視して直線距離で突っ走れる空の旅。やはりこの速度は魅力的だ。


「つ、着いた……」

「やっぱり人間、地に足ついてこそよ……」


 ミーナとエミルがふらふらと地面に降り立つ。

 うーむ、初めての飛行体験にしては速度を出しすぎちゃったかな


「すげぇなアスノ! あっという間じゃねぇか!」

「だろう? これなら日帰りも余裕だ」


 ケロリとしているアーク。やはり前衛職は体が頑丈にできているらしい。


 俺たちは呼吸を整えると、早速その場で作戦会議を開くことにした。


「エミルさん、バルチ草の群生地はどのあたりだと思いますか?」


 彼女は【植物学】のスキルを持っているため、

 初めての場所でも植生からある程度の予測が立てられるはずだ。


「そうね……この感じだと」


 エミルは辺りの岩肌や植物の生え方を鋭い視線で観察し、顎に手を当てて思考を巡らせる。


「バルチ草は湿気が多くて、魔力が淀む場所を好む性質があるの。風向きと苔の生え方からして……あそこね」


 エミルが指差したのは、アイゼル山の中腹あたり。

 切り立った崖の合間に、ぽっかりと黒い口を開けている洞窟が見える。


「あの洞窟の奥だと思うわ」


「なるほど。じゃあ、あそこまで一気に飛びましょう」


 目標は決まった。だが、問題はそこからだ。


「洞窟内の魔物とはどう戦う?」


 アークが腕を組んで、全員を見回す。


「狭い洞窟内で乱戦になると危険よね」


 エミルが懸念を口にする。


「私が《プロテクション》で守りを固めるけど、数が多いと…支えきれるかな…」


 ミーナも不安そうだ。  そこで俺は、一つ手札を提示する。


「それなら、俺が敵の弱体化を担当しましょうか。敵のステータスを大幅に下げる魔法があります」


「そんな魔法も使えるのかアスノ… お前すげぇな」


「アークもレベルが上がればできるようになるさ」


「どうだろうな… アンタ程色々できるようになれるとは思えないが」


「なれるよ、絶対」

 お前が望めばどんなことだってできるさ お前は主人公だからな


「そ、そうか? ま…まぁあんたほどの実力者がそう言うなら…」


「アークゥ~ 照れてないで作戦決めなさーい」


なんでアークが照れてるのかよくわからなかったが

アークはエミルとの軽妙なやり取りの後、コホンと咳払いをし作戦会議に戻る



「動きが鈍るなら、弓で狙いやすいか?。エミル、麻痺矢で動きを止められるか?」


「任せなさい、できなかったらアスノ君、フォローお願いね」

「了解です」


「アスノが弱らせて、エミルが止めて、動けないところを俺が叩く! ミーナは全体の守りを頼む」


「うん! 私、頑張るよ!!」


「よし、作戦決定だ!」


 アークが力強く宣言する。 俺が考えていた作戦とほぼ同じだったので口を挟む必要がなかった


(やっぱりちゃんと主人公だよ、お前は)


推しキャラの行動を間近に見れる喜びを噛み締めつつ

俺達は中腹の洞窟に向かうことにする



っとその前に



俺は収納魔法からあるアイテムを取り出した。


「ミーナ、これを」


 俺が差し出したのは、深紅の装飾が施されたグローブのような装備品。

『チャクラアーム』だ。 本来はモンク用の武器だが、魔力伝導率が高く

 魔法使いの護身用としても使える代物である。


「手袋?。これ私が装備して意味あるんですか? 私、パンチとか弱いですけど……」


「これは打撃用というより、魔力放出の補助装備です。杖を持ったままでも使えますよ。こうやって――」


 俺はチャクラアームを自分の手に装着すると、両手をバッと前に突き出した。

 イメージするのは、体内の魔力を拳に集約し、放出させる感覚。


「はあああぁぁぁーッ!!」


 気合一閃。  俺の掌からエネルギー弾が発射され、数メートル先にあった大岩に着弾した。


 ドォォォンッ!!


 轟音と共に岩が粉々に吹き飛ぶ。


「うおおおっ!? なんだ今の! かっけぇ!!」


 アークが目を輝かせて食いついてきた。

 やはり男の子はこういう、分かりやすい必殺技ビームが大好きなのだ。


「俺もやりたい! 貸せ貸せ!」 「どうぞ」


 彼はワクワクしながら装着し、腰を落として構えた。


「でりゃああああ‼️」


 ズドンッ!!  


荒々しいエネルギー弾が飛び出し、地面を大きく抉り取った。


「ハハ! いいなこれ!」


「じゃあアークが使っていいよ」

 呆れたジト目でアークを見ながらミーナが言う


「いや、ミーナは攻撃手段がないからこれはミーナが持つべきだ」


「えぇー うぅぅぅ……できるかなぁ……」


 ミーナがおっかなびっくりチャクラアームを受け取り、俺たちの真似をして構える。


「や、やぁ~っ」


 ポミョン。  気の抜けた掛け声と共に、構えた手の先からキッズ用のゴムボールのような光玉が吐き出された。

 光の玉は地面で2、3回跳ね、パシャッと弾けて消えた。


「……あうぅ」


「気合が足んねぇゾォ! もっと腹から声出せ!」


「む、難しいよぉぉお」


 別に声とか出さなくても良いんだけど、出したほうが魔力乗りやすい気がする、

 発声と魔力を両手から出す動きがシンクロしてるのかな


 困り果てるミーナ。 そこに、「ちょっと貸して」とエミルが手を伸ばした。


 彼女はチャクラアームを装着すると、無言のまま片手をスッと前に突き出す。


 ドシュッ!!


 鋭い風切り音と共に、凝縮された魔弾が空を切り裂いた。 威力十分、コントロールも完璧だ。


「なるほどね。コツは掴んだわ」


「エミ姉すごい! どうやったの!」


「ミーナ、これはね アークやアスノ君みたいに『出すぞ!』って力んじゃダメ。ミーナの場合は…」

 エミルは悪戯っぽく笑いながらごにょにょとミーナに耳打ちをする


「……わかった。やってみる」


「うん。声なんて出さなくてもいいのよ。やっちゃいなさい」


 エミルの指導を受け、ミーナは真剣な表情で再び構える。

 静かに息を吸い、吐く。  そして――


「バカァァ‼️」


アークのと同等、いや、それ以上の光弾が放たれ、眼前の岩が吹き飛んだ


「わっ! すごい! 本当にできた!」


「うんうん!上出来上出来!」


「やるなぁミーナ、やっぱ魔力量が多いからか?」

「ハハハ ソダネー」

アーク、快楽街に行くときは気をつけろよ



まぁこれで、ミーナにも最低限の攻撃手段が確保できた。


 ◆


 準備が整った俺たちは、再び浮遊魔法で中腹の洞窟までひとっ飛びした。

 入り口付近に降り立ち、慎重に中へと足を踏み入れる。

 湿った冷気と共に、獣臭が鼻をつく。 少し進むと、開けた空間に魔物の群れがたむろしていた。

 ゴブリンだ。だが、そのサイズが明らかにおかしい。


(《鑑定》)


【ハイ・ゴブリン:Lv35】


 五体のゴブリンはどれも身長170cmを超え、筋肉が盛り上がっている。

 一般的な小鬼ゴブリンのイメージとは程遠い、歴戦の兵士のような威圧感だ。


「よし、みんな。さっき決めた作戦通りにいくぞ」


 アークが剣を抜き放ち、指示を飛ばす。

 俺達はそれに呼応し、即座に散開した。


「《プロテクション》!」


 ミーナの詠唱と共に、淡い光の膜が全員の身体を包み込む。

 防御力が底上げされたのを確認し、俺は前に出る。


「闇魔法《(ウィーク・エネミー)》」


 俺が手をかざすと、漆黒の霧がゴブリンたちにまとわりついた。

 その瞬間、ムキムキだったゴブリンたちの筋肉がしぼみ、背が縮み、みるみるうちに

 「世間一般のひ弱なゴブリン」の姿へと変貌していく。


「《パラライズショット》!」


 エミルがすかさず麻痺属性を込めた矢を放つ。

 矢は先頭のゴブリンの太腿に深々と突き刺さり、その動きを完全に封じた。


「せぁっ!!」


 動けない敵になど遅れは取らない。

 アークが疾風のように踏み込み、剣を一閃。

 ギャッ!? という短い悲鳴と共に、ゴブリンの首が宙を舞う。


 仲間を殺され、怒り狂った別の一体が棍棒を振りかぶり、アークに飛びかかった。


「《ガードウォール》!!」


 ミーナが障壁魔法を展開する。

 アークとゴブリンの間に透明な壁が出現し、棍棒の一撃をガキンッ! と弾き返した。


「サンキュー!ミーナ!」


 アークはその隙を見逃さず、ゴブリンを斬り払う。 二体目撃破。

 残りの三体が慌てて距離を取り、陣形を立て直そうと集まるが―


「《スモークショット》」


 エミルがゴブリンの脳天に矢を命中させる、絶命するゴブリン

 頭に刺さった矢からボフン! という音と共に視界を奪う濃煙を撒き散らした。

 敵は混乱し、右往左往している。


「《エリア・ロケーター 》!」


 ミーナが手に持った杖を地面にコォンと押し付ける

 敵と味方の位置を伝える探知魔法

 煙中に淡い緑色のアークの影が浮かび

 ゴブリン達は赤く映し出されていた


 俺は煙に向かって走り出し、収納魔法から手頃な剣を取り出す


「シッ!」


 アークが4体目のゴブリンを斬り伏せる

 その音に反応し、生き残ったゴブリンが背中を向けて逃げようとする。  良いのか? 俺に背を向けて。


 俺は走った勢いを殺さず、すれ違いざまに剣を振るう。

 鮮やかな一撃が首を飛ばし、5体目が崩れ落ちた。


 煙が晴れると、そこには五体のゴブリンの死体が転がっていた。

 誰も傷つくことなく、完璧なパーティプレイでの勝利だ。


「よっしゃあ!」


 俺とアークは顔を見合わせ、黙って片腕を上げる。


 パァンッ!!  

 

 小気味良い音が洞窟内に響き渡った。




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