とある雪の日の日記。
歩くたびにバリバリと音のなる道路。
遠くに見える駅にはいつもより慎重に歩む人の影が揺れていた。
「冬だなぁー」
思った事をそのまま言葉にしてみる。
もちろん周りに話し相手なんかいないので独り言だ。だけど私は、このなんとも言えない無意味な感じが好きだった。
今朝、「今日は雪だから」といつもより早く家を追い出された。お陰で電車が来るまでまだ十分もある。まぁ別にいいのだけれど。
ここは田舎だから当然駅には暖房はおろか風を凌ぐ所すらない。
「寒い中待つのかぁ」
憂鬱だ。
それにしても今日の雪はサラサラだな。例えるならば砂みたいな感じ。
足を止めて道路脇に積もった雪を足でつついてみる。
「これが噂に聞くスノーパウダーってやつかぁ」
そんな噂聞いたこともないが、とりあえず口にしてみた。
タイヤの跡がついた道路も、何だかいつもに増してカチカチに凍っている気がする。スノーパウダーだと踏み固めた時凍りやすかったりするのだろうか。それとも今が早朝だから? 朝に雪を見る機会などそうそうないのでわからない。
右手を突っ込んでいるポケットの中にはスマホが入っている。調べればすぐ分かることだ。
「ここで調べようと行動できる人が世紀の大発見をするのかも知れない」そんな事を考えはするものの、あいにく私は疑問を疑問のまま放置する類の凡人である。
冬は寒い、誰にでも分かる当たり前の事だ。もし真相を知ったとして、ポッケから出した手はどうなるか、もちろん冷える。
そうなると私の中で調べる事のメリットよりデメリットの方が優ってしまうのだ。
左のポケットの中にあるカイロをギュッと握りしめて、また歩きだす。
顔をあげてみると電線に積もった雪が落ちる所だった。途中まで普通に落ちていた雪が空中で砕け、キラキラと光る粒子になる。
「……綺麗」
普段、意識的に無駄口を叩く私が無意識にそう呟いてしまう程に。
もう一度見たい。だけど電線の雪を落とすのは難しいし危ないよな。
代わりになりそうな物を探すため、私は周りを見渡した。
おおよそ、さっきまでポケットから手を出すのも渋っていた人間とは思えない。
私の目は少し先のフェンスを捉えたところで止まった。
昨日は横殴りの雪だったからかフェンスには雪がびっしりと積もっている。
今にも駆け寄って雪を叩き落としたい衝動に駆られながら、私は「もう小さい子供でもないんだから」と自分を落ち着かせた。
よし、ゆっくりと近づこう。走ったら危ないしね。
当たり前だと思うが、叩き落とすのは確定事項だ。
フェンスは二枚、田舎とはいえ駅も近く今は丁度通勤の時間帯だ。人も集まってきた。遠目だとしても流石に人前で子供の様に雪遊びするのもどうかと思う。と言う事でどちらか一枚にしておこう。
第三者ならそんなに気にしなくてもいいと思うかもしれない。だがそんな意見関係ない、私は気にするのだからそれが全てだ。
足がぶつかったていで慎重に狙いを定める。
ガンっと音が鳴って雪がパラパラと落ちた。
確かに綺麗なのだがさっきの様な胸の中で何かが弾ける感覚は無い。それよりもぶつかった足が予想よりも痛かった事の方がショックだった。
何が悪かったのだろう。光の角度か?
そもそも自然が織りなす偶然に惹かれていただけで、自分で再現したからダメだったのか。
いや、電線は自然と言っていいものか?
「はぁ……」
もういいや。
私は早々に諦める事にした。
冷え込んでいた所に衝撃を与えたせいで足はジンジンと痛んでいる。その足で凍った地面をバリッと音を立てながら踏み締めた。
「そういえば、電車乗るんだった」
本来の目的を思い出す頃には、電車の到着まで残り二分を切っていた。
「やば、急ご」
と言っても走ることはできない。
電車には遅れそうだ。だけど、心の中には「まぁこんな時間も悪くはないかな」と思う自分が居て、私はそんな自分の事が、そこそこ気に入っている。
文章を書く練習にこの前あった事を書いてみました(・ω・`)
これからは不定期に書いた物を載せていくつもりです。
普段は異世界系とか中心かなぁ。
時々息抜きにこんな感じのぽわぽわした日常日記みたいなの書いたりするので、それもぜひ見てみてくださいね。
ここまで読んでくださってありがとうございました!またね〜




