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ヤンキー擬きとラッキーハプニング!

 友達百人出来るかなという言葉があるが、ありゃあ実に他人任せな言葉だと俺は思う。おそらく、小学生デビューの児童たちが期待に胸を膨らませて「ともだちひゃくにんできるかな♪」と言っているのだろうが、現実はそんなに甘くない。

 実際のところは友達の一人も出来やしなかった。

 え? さすがに一人くらいは出来るって?

 あー、聞こえない。……聞こえない。

 百人とはいかずとも、一人くらいは出来るだろうと楽観視して、結局高校一年生を友達が一人もいない状態で過ごした俺が言うのだから間違いはないのだ。

 何が言いたいのかと言うと。

 できるかな? ではなく友達百人作るぞ、という気概が重要だということだ。

 麗らかな春。

 あれほどツンツンしていた風も今ではすっかりデレ期に突入し、暖かな息吹を吹かせている。

 非常にしょうもない持論を脳内で展開しながら、俺、伊東浩太(いとうこうた)は駅へ続く道を歩いていた。


「つまるところ、何かしらの早急な措置が必要ということだ」


 別に俺とて友達が欲しくないわけじゃない。むしろ欲しい。

 放課後にマックでハンバーガーを貪るのもよし、あるいは家でゲームをするもよし、兎にも角にも、クソしょうもない話題に花を咲かせながらベストフレンドたちとの時間を堪能してみたいのだ。

 とはいえ、だ。

 すでに高校生活を一年終え、明日から高校二年になる俺が、途端にバグったゲームキャラみたいに変な笑顔を顔に貼り付け、誰これ構わず「友達にならない? 可愛い子猫ちゃん」などと話しかけてまわったら完全にヤバいやつだ。

 高校デビューを中途半端に決め込んで自己紹介で滑り散らかす奴よりも痛々しい。

 そうならないために、俺はこの春休みの時間全てを費やして計画を練った。

 俺は歩きながら、自信の笑みを浮かべる。

 その名は、『友達一人、作っちゃお☆』計画。


「ままー、みてみてー! あの人なんかわらってるー。やんきー? があくまのえみをうかべてるー。あのこころ、わらってる~」


 そんな声がしてきて、視線を移すと、可愛らしい幼女が母親に手を引かれながらこちらを指さしていた。


「っ、こら! 指さしちゃいけません! ……ヒッ」


 母親は俺の顔を見ると途端に顔を青ざめさせた。

 そして膝丈ほどの小さな娘を担ぎ上げたかと思うと、そのまま身を翻して脱兎の如く逃走。

 そんな怖いかね? 俺。

 俺は彼らの背中を見送りながら小さくため息をつく。

 こんな出来事ももはや慣れっこだが、改めて直面すると気落ちするもんだ。

 友達が欲しくてたまらなくて、子犬のように目を輝かせて渇望しているにもかかわらず、未だ俺に友達が一人もできないのには、明確な理由がある。

 体格のいい体つきに、薄めの眉毛。

 最近流行りのメッシュみたいに、金髪の地毛と黒髪が入り混じっている髪。

 どこからどうみてもゴリゴリのヤンキーみたいな見た目をしている俺の容姿が原因だ。


「隔世遺伝をこれほど恨んだことはねぇぜ」


 どうやら俺の遠い祖先が外国の人なのだとか。親戚一同みんな黒髪なのに。なぜに俺だけ……。


「いっけね、笑顔笑顔、こんなんじゃ計画どころじゃねぇからな」


 俺は首をフルフルと振って、駅の階段を登り始めた。

 切り替えていこう。

 ただでさえ顔が怖いのだから笑顔は貼り付けておかなければならない。春休み中、毎日鏡の前で笑顔の練習をしてきた俺なら出来るはずだ。

 気を取り直し、階段を登りながらふと顔を上げた時だった。

 

 ——天使が舞い降りたのかと思った。


 思わず見惚れてしまうほどの美少女が軽やかな足取りで階段を降りてくる。

 急いでいるのだろうか。軽やかな足取りで、コツコツと軽快な足音を鳴らしながら舞い降りてくる。

 背中まで伸びた艶やかな黒髪に、健康的かつ色白なすべすべ素肌。

 制服姿と茶色のローファーが彼女の清楚に拍車をかけている。

 あれは同じ高校の制服だ。それも同じ学年。

 あんなやつ、いたっけ?

 そして俺は何より目を引かれたものがある。

 女性なら誰しもが持っているそれに。

 彼女のおっ◯いに釘付けになった。


「……うおわっっっ!!」


 悲しきかな。

 魅力的なおっ◯いに遭遇すると思考が停止するのが男のさが。

 自分が階段を登っていることさえすっかり忘れて、そのまま視界が反転する。


「大丈夫!?」


 倒れる瞬間、そんな声が聞こえてきた。

 同時に、焦った表情を浮かべる彼女が視界に移り、

「ッッッ!」

 そのまま俺は彼女の手を反射的に掴んで、ずっこけた。


「……っ、痛てぇ。す、すまない。大丈夫、か、……ッッッ!!!???」


 どうやら彼女は俺を助けてくれようとしたらしい。のだが。

 俺の右手には柔らかな感触が。


「っっ!!!!??」


 仰向けに倒れる美少女。

 その上に馬乗りになって胸を鷲掴みにしているヤンキー。

 下卑た笑みを不自然に貼り付けているヤンキー。

 あまりに胸の感触が最高すぎてもう一揉みしてしまうヤンキー。

 もみもみ。

 あれ、俺、一体何を……?


「ご、ごご、ごご、ごめんなさい!!!!」


 俺は状況を理解してそのまま飛び退く。

 彼女のほうは顔を真っ赤に染め上げて、

「ひゃ、ひゃ、わ、わひゃひこそごめんなひゃい?」

 そう言いながらふらつく足取りで、そのままものすごいスピードで走り出す。

 やっ、やっちまった。

 激しい後悔に苛まれながら、しかし確かにあのおっ◯いの感触が脳裏に刻み込まれ、瞬時に長期記憶へと保管される。

 ……おっ◯い!


「見た今の?」

「見た見た。あれうちの学校の制服だよね?」

「それな。あの人ヤンキー? やばくない? 女の子逃げていったし」


 そんな声が聞こえてくる。

 見ると、二人組の女子がタピオカ片手にこちらに白い目を向けていた。

 俺と目が合うと、「やべ、目があった」と言わんばかりに気まずそうに視線を逸らしてタピる。

 俺は「今のは誤解っ」と言いながら手を伸ばすが虚しくもその声届かず、そのまま宙を彷徨わせるだけになった。


「お、終わったぁ……」


 明日にはきっと「駅の入り口で同級生を襲っていた性欲ヤンキー」として噂が出回っているだろう。

 高校二年。

 麗らかな春。

『友達一人、作っちゃお☆』計画が早急に頓挫した瞬間だった。

 ……おっ◯いの感触は、最高だった。

書き始めました!

私の全力の面白いを詰め込んだのでぜひ!

もし良いと思っていただければぜひともブックマーク、評価お願いします!!!!!!!!!!!!

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