表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

第二話:崩壊する世界、揺れる決断

翔はその日、過去の世界に来てしまったことを信じることができなかった。目の前に広がる景色は、確かに現代ではなく、何十年も前の街並みだった。周りを歩いている人々の服装や仕草も、どこか懐かしく、少し異質に感じられた。


健一が言う通り、「あの本」を開いたことがきっかけで、翔はここに来てしまったのだろう。しかし、どうして?なぜ自分が過去に足を踏み入れることになったのか、どうしてこのタイムスリップが起こったのか、翔には全く見当がつかなかった。


「翔、どうしたんだ?」


健一の声で我に返る。翔は思わず顔を上げると、健一が心配そうに見守っていた。


「過去、って言っても、どれくらい前なんだろう?」翔は言葉を選びながら尋ねた。


健一は少し考え込み、やがて答えた。


「おそらく、君が生まれる前だ。多分、十五年くらい…いや、それ以上かもしれない。」


翔は驚きと共にそれを聞いた。十五年――自分がまだ小さな子供だった頃だ。だが、どうして自分がこんな場所に?それに、健一が今ここにいるということは、何か重大な理由があるはずだ。


「君も…この世界に来た理由があるんだろ?」翔は、健一の目を見つめながら言った。


健一は少し黙り込んだ後、答えた。


「実は…僕も、同じように『時の扉』に引き込まれたんだ。君と同じように、あの本を開いて。」


翔の心は再び揺れた。健一も?


「それじゃあ、君も元々は…?」


健一は頷く。


「もちろん。君と同じ、現代の人間だ。」


その時、翔はふと気づいた。健一が自分と同じように、この世界に来ている理由があるのだろう。そして、それがこの奇妙な状況を解明する鍵になるのではないかと思った。


「どうして、過去に来たんだろう?あの本には一体、何が書かれていたんだ?」翔は、もう一度その本を思い出していた。


健一は少し遠くを見るような表情を浮かべ、静かに言った。


「『時の扉』はただの本じゃないんだ。あれは、過去の出来事を『変えるための扉』だ。そして、扉を開けると、君が知らない未来が生まれる。君が知っている世界は、もう変わってしまっているんだ。」


翔はその言葉を理解するのに時間がかかった。そして、それが意味することに恐怖を感じ始めた。


「変える、って…?」


健一は深くため息をつきながら続けた。


「君が今、過去に来てしまったのは、ただの偶然じゃない。君がここに来たことで、何かが変わるんだ。過去に何か手を加えれば、その影響が未来に現れる。そして、その影響は、君が帰るべき世界を、もう戻れない世界に変えてしまうんだ。」


翔の胸が苦しくなった。過去を変える…その結果として、未来がどう変わるのか。そんな恐ろしい力を持っている本に、なぜ自分が触れてしまったのだろう?


「それじゃ、僕がここにいることで、何かが変わってしまう可能性があるってことか?」翔は目を見開き、震えながら言った。


健一は静かに頷いた。


「その通り。君が過去に何かを変えることで、未来が大きく変わる。それが、君が帰れない理由になるんだ。」


その瞬間、翔は強い不安に襲われた。未来を変える?それがどういうことなのか、まだ正確には理解できていない。しかし、あの本を開いたことで自分が過去に引き寄せられ、何かが動き始めたことは確かだった。


「どうすれば、元の世界に戻れるんだ?」翔は必死で尋ねた。


健一はしばらく黙って考えた後、ゆっくりと言った。


「まず、あの本を持っている限り、君はどこにでも行ける。過去でも未来でも、何度でもタイムスリップできる。しかし、問題は…君が戻りたい世界を作るためには、君自身がその世界に必要な『鍵』を見つけなければならない。」


「鍵?」


「そうだ。この世界には、過去を変える『鍵』が隠されている。その鍵を見つけることができれば、君は元の世界に戻れる。ただし、鍵を手に入れる過程で、君が変えたことがどう影響するのかは分からない。だから…慎重に行動しなければならない。」


翔はその言葉を噛み締めた。鍵を見つけること。それがこの世界を抜け出すための方法だという。しかし、過去を変える力を持つ自分が、果たしてその鍵を見つけることができるのだろうか?そして、その鍵を見つけた時、元の世界はどうなっているのか…。


その時、翔の目の前に、奇妙な光景が広がった。目の前に立っていた建物が突然歪み、時空が歪んでいく様子を目の当たりにした。


「これは…」


翔がそう呟いた瞬間、健一が警告するように言った。


「気をつけろ、翔。過去が歪んでいくと、その影響はすぐに現れる。今の状況を放置すれば、この世界はますます不安定になっていく。」


翔は思わず後ろを振り返る。建物が崩れ、街並みがゆがみ始めるのが見えた。その歪みは、まるで時間そのものが崩壊しているように見えた。


「急げ、翔!鍵を見つけなければ、この世界は崩れてしまう!」


翔は決意を固め、健一と共に動き出す。過去を変える力を持っている自分が、果たしてこの世界を救うことができるのか。それとも、未来を永遠に変えてしまうことになるのか。

下の★マークで評価お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ