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第61話 ゴブリン討伐2


 ゴブリン討伐を受注したわたしは武器屋に回って矢を200本購入しておいた。これだけあれば使いでがある。現在知力が18なのでアイテムボックスの容量は360キロ。かなり余裕がある。



 その日はそれくらいにして小鹿亭に戻った。部屋に戻って普段着に着替えたわたしはしばらくベッドに横になり時間調整をしてから夕食を食べた。


 普段着ではパッシブスキルの威風効果があまりないようで食堂で食事していた人の注意をそれほど(・・・・)は引いていないような気がする。


「シズカさん、なんだか落ち着いた感じで迫力ありませんか? シズカさん見た目は若いけど実はそれなり?」


 注文を取りに来たニーナちゃんに言われてしまった。まあ、いいけどね。それでも歳だけは、はっきりさせておいた方がいいと思ってわたしの歳を教えてあげた。


「わたしはまだ18歳」


「そうなんだ。確かにシズカさんの顔だけを見れば18歳くらいに見えるけど。何でだろう? おかしいなー」


 顔だけでも18歳ならいいか。確かに今のわたし筋肉質だし、腹筋割れてるし。胸なんてオッパイなのか筋肉なのか分からないし。さらに言えば人前で裸になる予定もないし。



 翌朝。


 6時の鐘とともに食堂に入り朝食をとったわたしは、部屋に戻って防具を着込んで宿を出た。


 そこから軽くランニングで街の北門に向かった。


 20分ほどで北門に着いたので、そこで南門でもらった木札を返しておいた。


 北門から出たわたしは街道を本格的に走り始めた。まだ朝が早いせいか街道にはまばらに人がいるくらいで馬車は見かけなかった。


 門を出て40分ほどでマリム村へ続く道の道標が目に入った。


 街道から外れて狭くなった道の上をさらに30分ほど走ったところで集落が見えてきた。その辺りから集落までの道の両側には柵で囲われた麦畑が広がっていた。畑の麦は穂の色がすっかり黄色くなってきているのでそろそろ刈り取りだろう。


 集落の入り口には木でできた逆茂木風の柵が造られていてその横にマリム村と書かれた標識が立っていた。ブレストの門には何も看板などなかったのにここは親切だな。


 村長の居所はだれかに聞かなくちゃわからないので、通りかかったおばさんにたずねたら、村の真ん中にある広場に面した家の中で一番大きな家が村長の家だと教えてもらった。


 教えられた通り村の中に入っていくと、通りのいたるところに逆茂木が置かれていた。ゴブリン避けのつもりなんだろうけど意味があるのかはよくわからない。そういえば一応プロとしてゴブリン退治するわけだからある程度ゴブリンの習性くらい調べとけばよかった。


 出会う人に軽くあいさつしながら村の真ん中の広場に到着した。


 広場に面して雑貨屋っぽい店が2軒と大きな屋敷が1軒建っていた。村長の家らしいのはその屋敷しかなかったので、門から屋敷に向かって大きな声で、冒険者ギルドからゴブリン退治にきた者だと告げたら、しばらくして玄関からおじさんが現れた。


「あんた一人でやってきたのかい?」


「そうだけど」


 おじさんがわたしの姿を上から下までじろりと見て『若そうに見えるが相当なベテランみたいだな』と、独り言を口にした後、


「これは失礼した。わたしがマリム村の村長ヤコブだ」


「わたしはシズカ。難しい話は抜きにしてゴブリンのいそうなところを教えてもらえますか?

 見つけさえすれば退治は簡単ですから」


「ゴブリンどもがどこに棲んでいるのかは分からないが、連中は北西方向からいつもやってくる。北西方向そっちには森が広がって森はその先の山並みに続いている」


 具体的な棲み処(すみか)が分からないようでは簡単に退治できないな。最低でも20匹はたおしたいと思っていたけど、ちょっと厳しいか?


「とりあえず山の方に向かってみます」


「頼んだぞ」


 村長に別れを告げて、北西方向に歩いていった。集落から出れば畑が広がり、畑を過ぎたら林になった。


 林に入ってから今まで以上にレーダーマップに注意を向けた。マップ上に黄色い点も映らないまましばらく歩いていたら、北西方向ぜんぽうから赤い点が3つ現れた。腰を低くして烏殺をアイテムボックスから取り出し、昨日買った市販矢を1本取り出して横にした烏殺につがえ赤い点の方に近づいていった。


 3つの赤い点までの距離が50メートルほどになったところで、前方に棍棒を持ったゴブリン3匹が視認できた。


 今のわたしにとってゴブリンなどただの的なので、逃げるところを追いかけるくらいなら、こちらから姿を見せ十分引き付けてから殲滅することにした。



 わたしは烏殺と矢をいったんアイテムボックスにしまって立ちあがった。


 立ち上がったわたしのことにすぐに気づいた3匹は、ギャーギャーわめきながら向かってきた。いちおう驚いて逃げるそぶりでも見せておくか。


 キャー!


 迫力に欠ける悲鳴を上げながらわたしは20メートルほど逃げそこで振り返って烏殺と矢を取り出した。


 いきなり弓矢を構えられたゴブリンたちも驚いたようだけど、勢いをつけてわたしを追ってきたせいかこちらの読み通り逃げ出さずそのままわたしに向かってきた。


 わたしは追ってきた先頭ゴブリンに狙いをつけて矢を放った。距離にして40メートル。


 矢は狙い通りゴブリンの額に命中してそのゴブリンは膝を折って崩れるようにたおれた。


 2匹目もヘッドショットが決まった。そして3匹目にも。



レベル25

SS=22

力:28

知力:18

精神力:17

スピード:30

巧みさ:34

体力:33


HP=330

MP=180

スタミナ=330


<パッシブスキル>

ナビゲーター

取得経験値2倍

レベルアップ必要経験値2分の1


マッピング2(69パーセント)

識別2(54パーセント)

言語理解2(84パーセント)

気配察知1(82パーセント)

スニーク1(45パーセント)

弓術3(51パーセント)

剣術6(88パーセント)

威風(1パーセント)


<アクティブスキル>

生活魔法1(24パーセント)

剣技『真空切り』

アドレナリン・ラッシュ

威圧



 たおした3匹のゴブリンの左耳をナイフでそぎ落とし、布袋に入れてからアイテムボックスにしまった。どのゴブリンの頭にも矢は矢羽まで貫通していたので、矢の回収は諦めた。


 そういった作業をしていたら、レーダーマップに赤い点がまた3つ。北西方向からこっちに向かって近づいてきた。


 北西方向にゴブリンの巣があるのは確かそうだ。


 烏殺に矢をつがえてまだ見えない敵に向かって狙いをつけようとしたら、草の葉の間からゴブリンの姿を確認できた。


 的が見えさえすれば矢を放てる。


 わたしは烏殺を構え矢を引きゴブリンに狙いを付けた。照準の丸はゴブリンの顔の中に完全に入っている。照準の丸は的の未来位置をこれまでの動きから推定しているようで、的が急に速度を変えたり方向転換しない限り矢は的に命中する。


 狙いをつけ終わったわたしは矢と一緒につるを引いた指をそっと放した。


 先ほどよりも的の距離は遠かったけど、矢はそれほど上振れせずほぼまっすぐ、そしてかなり高速で飛んでいき、狙ったゴブリンの頭を射貫いた。


 いきなり仲間が頭を射貫かれて動揺した残りのゴブリンはその場で騒ぎ始めた。いい的だ。


 わたしは立ったままだったけれど向うからはわたしの姿は見えないようだ。


 そして第2射、第3射と続けて矢を放ち、どれも一撃でゴブリンを仕留めた。怖いくらいの腕前だ。これこそわたしが理想として考えていた弓矢によるスナイプだ。



 今たおしたゴブリンのもとに駆けていって、地面に横たわる3匹の死骸をみると、3匹とも頭部に矢が矢羽まで貫通していたので、前回同様矢の回収は諦めた。


 この3匹の左耳も削ぎ取って先ほどの袋の中に入れアイテムボックスにしまった。


 これで6匹。


 穴を掘って埋めるのも面倒なのでこれまで通りモンスターも含めて野生動物が始末してくれると信じてゴブリンの死骸は投げ捨てたままだ。


 そこから先、地面は北西に向かってなだらかに傾斜していた。木々が邪魔になって山の形は見えないけれどこの辺りは山のふもとのようだ。



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― 新着の感想 ―
 ふと思った異世界・定番~。  この世界では死体のゾンビ化は無い?
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