お土産に迷ったら
貰っても、大抵ふわっと流してしまうお土産。
けれども忘れられない時もある。
私の場合、亡くなった従弟から貰った品と、父から貰ったものだ。
従弟からの品は、食べ物ではないため今回のエッセイでは省く。
なので今回紹介するのは、父からのお土産。
社員旅行であちこちに行った父は、その都度、家族にお土産を買って来るマメな人だった。
過去形だが、今も健在。
定年退職し、社員旅行が無くなったため、お土産頻度が減っただけ。
北海道ではマリモにバター飴。
アメリカでは母にスカーフ。メイド・イン・ジャパンのタグに大笑い。
ハウステンボスからは、陶器のミニハウス。
そして大阪、U・S・J。
父は、キャラメル・ポップコーンを持ち帰った。
他にもお土産はあったけれど、このポップコーンが印象が強烈過ぎて、その他を忘れた。
これまで父は、レジャー先や映画館でポップコーンを買ったことがなかったようだ。私も買ってもらった記憶はない。
けれども、その時の旅行では買ったらしい。
同僚に誘われたのかもしれないし、お腹が空いたからかもしれない。
とにかく初めてパークでポップコーンを食べた父は、驚いた。
(とても美味しい!)と。
そしてこう考えた。
(これは娘にも持ち帰らねば!)
かくして父は、もう少し食べたい、と思う気持ちを耐えに耐え、紙のパックに買ったポップコーンを残して帰る道を選んだ。当時私はまだ実家にいた。子どもだったから。
新しいものを買うとか、オリジナル・バケツを買うという発想はなかったらしい。
うんうん、バケツとかすごい高いもんね。わかる。
でもバケツ、欲しかったけどね。
帰宅した父は、紙パックに三分の一ほど残ったキャラメル・ポップコーンを私に渡しながら、こう言った。
「すっごい美味しいから、食べてごらん!」
そして途中で何度も"もう少し食べたい、いやこれ以上食べると無くなる"と葛藤した話を熱く語り、「な、美味しいだろう?」と同意を求めた。
この場合、(確かに美味しいけど普通)。
そう思ったとしても「うん、美味しいね」と答えるのが正しい娘の在り方かな、って思う。
だって食べるのを懸命に堪え、美味しさを共有したい一心で、彼は自分のポップコーンを持ち帰ったのだから。
だからちゃんと賛同し、喜んでお礼を言った。
私には、折りたたんだ紙パックに、ちょこんと残っていたキャラメル・ポップコーンがいつまでも忘れられない。
珍しいものではないのに。
自分が美味しかったから、食べるの我慢して家族にも、と思った父が、とても愛らしく、そして愛しかったから。
その後しばらく、私はあちこちのお店でキャラメル・ポップコーンを見かけると、「ここのはどう?」と父に買って帰ることがブームになった。
そのうちに私が飽きて止めてしまったけど、今でも新しいキャラメル・ポップコーンと出会うと、「父にどうかな?」と思うくらいだ。
でもたぶん、父にとってもU・S・Jを超えるポップコーンはなかったんじゃないかな。
あれは、いろんな想いが重なって、格別な味になっていたはずだから。
そういえば、もうすぐ父の日。
今回はプレゼントに添えて、久々にキャラメル・ポップコーンも渡してみようか。
いやでも、うちの父、シュークリームも好きなんだよね。
子ども時代、「こんな美味しいものが、この世に!?」と感動したらしいから。
話を聞くと、うちの父は、何にでもよく感動している。
何歳になっても時々新鮮に驚いてるだろう父を、私はとても尊敬している。
そして、お土産に迷ったなら、自分でも欲しいと思ったものを選ぼうと思った!!
お読みいただき有難うございました!
今話をもって「やっぱ試してみるでしょう?─エッセイ─」は完結です。
5/28から、8話に渡って毎日お付き合いくださり有難うございました(*´▽`*)/
今日が「ぺこりんグルメ企画」最終日です。
まるで企画の読み回りが出来てませんが、時間取られてたカクヨム様の短編(児童向け長編用の種を披露する5,000~12,000文字)も今日締切りなので投稿し、私は自由になりましたーっっ。
ベタベタ展開で、書いてて悶えて出すの恥ずかしいからやめようかとツイッターで何度も呟いてた起承転結の「起」だけのお話…。うん…。まあ…。出したから自由だぁぁぁーっっ。
読む側に回るぞー!!
https://kakuyomu.jp/works/16817330658308647754
ところで昨日の回の挿絵が思いついてないです。何がいいかなぁ…。←完結してからも言っている。
・◆・◆・◆・
【追記】時短スイーツのレシピ画像を書きましたので、どこにあったっけ~という迷子を防ぐため、ここに貼っておきます(笑)
本文関係なし。レンジで作るケーキです。
この材料で、チョコチップいれて180度オーブン30分焼くとカップケーキにもなります(笑)
汎用性すごッ。