クリームソーダを勧めたい
五月のある日。
娘の小学校で、運動会が行われると発表された。
このところ毎日寝室で、娘が踊りの練習をしている。
ベッドの上でやらなくてもと思うけど、これまでさんざん飛び跳ねてきたスプリングは、もはやアウト。
いいやもう。好きな場所で、ノリノリで踊るが良い。
運動会といえば、懐かしさが先立つ。
私も小学生の頃は、運動会前の練習に励んだものだ。
私の小学校では、鼓笛隊というものがあった。
上級生は楽器を携帯して演奏するが、下級生は違う。
全員が炎天下で、両手に旗を持ち、ただひたすらに振りながら運動場を行進する。
円に、列に、様々に陣形を変えながら、片手上げ、片手下げ、両手あげ、両手さげ。
下げると言っても水平に保つ位置で、ひたすら、紙の旗がついた割りばしを振り続ける。
わかるだろうか?
長時間手をあげて旗を振り続けると、めっちゃ、手がだるくなる。
途中で休めたら違うだろうが、休みはない。
たとえ振り続けながらでも90度横に下ろせただけでホッとする、そんな旗振りの過酷さは、経験者にしか伝わらないだろう苦行である。
あんな演目をプログラムに入れたウチの先生、「鬼だ」と今なら物申すことだろう。
だが当時は小学生。
おとなしい私は、そういうものなのだと信じ、黙ってひたすらに従った。
当然、身体は毎日クタクタ。
ある日たまりかねて、親にねだった。
「喫茶店のクリームソーダが飲みたい」
こんなに頑張っているのだ。
ご褒美くらい貰わないと、明日は続かない。
かくして私はクリームソーダを飲みに、喫茶店へ連れて行って貰った。
ただ一度。
何気ない日常の、何気ないご褒美。
けれども数十年経った今も、あの時も喜びは忘れられない。
そしてそれ以来、"クリームソーダ"は私の中で、思い出深い素敵ドリンクに昇格した。
夏が来る。
100円均一のお店で、小さなかき氷シロップが販売され、お店にはサイダー。そしてバニラアイスのカップ。
これだけ揃えば誰しも、自宅でクリームソーダ作っちゃえと思うことだろう。
いそいそと、クリームソーダを作る。
運動会の練習で疲れて帰宅した娘に、「飲む?」と尋ねて、せっせと調合。
娘の好みは青色シロップだから、緑色派の私とは違う思い出が刻まれるだろうけれど。
見ただけで幸せを感じる飲み物というものも、なかなかに貴重。
食品サンプルキットでもクリームソーダを作れるらしい。
このビジュアルを永遠に──……?
心沸き立つが、やはり、特別な時に冷たく飲むから輝くのである。
初夏はクリームソーダ。
カロリーはともかく、このワクワク。皆様もお誘いしたい。
クリームソーダは良いぞぉぉぉ。
作ったことのない方、ぜひ試してみて!
お読みいただき有難うございました!
これ書いたのはだいぶ前で、とっくに運動会終了しています(^^♪
娘は踊らなくなりました。彼女はいま…『スプラトゥーン』の"ペンキない時のイカの真似"をしています!! 動き遅ッッ。
それはそうと、かつて、浅草のかっぱ橋に、食品サンプルのチョコパフェを探しに行った旅行者は私です。
価格と好みが噛みあわず、買わなかったけど(笑)
かわりにジンジャークッキーを模したキーホルダーを購入しました。
実物大の食品サンプルって、家だとまあ置き場所に困りましょうな?(笑)
ところで「活動報告」を昨日深夜に更新しました。深夜過ぎて閲覧数がいつもの三分の一。
良かったらのぞいてやってくださいーっっ(;´∀`);
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