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ブラコン悪役令嬢は、弟の破滅を阻止するためにすべてを物理でねじ伏せる。~王子様は結構です。運命の相手、自分で見つけました~  作者: うり北 うりこ@ざまされ2巻発売
第2章 領地編1~新たな出会い~

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ノアもテンパっていたのです


「お待たせして申し訳ございません」

 

 パタパタと走る音と共に救世主、改めメモルがやってきた。

 

「魔物が人化(ひとか)したので早急にバスローブを用意するようにとのことでしたが……」

 

 そう言って、ノア付きのメイドであるメモルはしゅいちゃんを見た。そして、瞬時にサイズを把握したようで、(またた)()にバスローブをしゅいちゃんに着せた。神業である。

 だが、バスローブ姿もまたエロし。


「お父様に会う前に服を用意しないと……」


 なんて言っていたら──。


 ボッフン!!


 今度は、べにちゃんが真っ白な煙に包まれた。


「えっ!? 嘘でしょ?」

『うそじゃないですよ! べにも、できました!! しゅいさんのおかげです。アドバイス、ありがとうです!!』


 誇らしげなべにちゃんの声が煙の中から聞こえてくる。


「えっ!? アドバイス? いつの間に?」

『お姉様がバスローブのお話ししてる時ですよ! べにも人間になれて、とっても嬉しいです』


 喜んでるところ悪いけど、人になるのは今じゃないんだよね。

 だって、このパターンだとまた全裸なんでしょ!? 立て続けに全裸の女子は求めてないんだよ! 一人ですら困ってんのに!!


 ノアがちゃんと背中を向けてくれたままなことを素早く確認し、メモルからバスローブを1枚借りる。


 絶対に姿が見えた瞬間に着てもらうんだから! そう思って、目線よりも少し高い位置を見ながら煙が晴れるのを待つ。

 煙が少しずつ減っていく。だが、べにちゃんの姿はない。


「へっ?」


 何でいないの!? とべにちゃんを探そうとすれば、ドンッというちょっとした衝撃と共に、ぎゅっと腰に抱きつかれる。


「べにちゃん!?」

『はい! お姉様、見てください! 人間ですよぉ』


 うす桃色の瞳を細めてへらりと笑う、紅色の髪を肩で切り揃えた幼い子が言う。


「か、かわ……」


 震えた。全、私が歓喜した瞬間だった。私に抱きついているべにちゃん。それはもう、可愛いの化身だ。ノアを天使と言うならば、べにちゃんは小動物系の愛らしさである。


『お姉様! べに、がんばりました!!』


 褒めて褒めて! と、うす桃色の瞳が期待で光り輝く。べにちゃんの瞳は、まるで宝石みたい。

 あまりの可愛さに魂が口から飛び出そうになっていれば、メモルの言葉が私を現実に戻してくれた。


「そこの全裸女子に、アリア様が持っているバスローブでは大きいかと。こちらをお使いください」


 そう言って渡してくれたのは、4~5歳くらいの子が着るサイズのバスローブ。それは、ふわっふわで、お日様の匂いがする。


「ありがとう」


 私はバスローブを受けとると、べにちゃんに着せる。その間ずーーーっと、べにちゃんは嬉しそう。にこにこさんだ。

 

「うーん。しゅいちゃんの服は誰かから借りればいいけど、べにちゃんサイズの服ってうちにあるのかな……」

 

 色白ギャルのしゅいちゃんは、メイドさんから服を借りれば問題ない。けど、べにちゃんのサイズとなると……。


「……魔物に戻って頂けば済む話ではないのでしょうか?」

「「確かに!!」」

 

 メモルの言葉に、私とノアの声が重なった。

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