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決めセリフは?


 ぎぎゃあぁぁぁぁ、ぎぎゃぎゃぎゃぎゃ!!

 

 興奮したような声でレッドプテラたちは鳴いている。数は23匹。興奮したように目をギラつかせたレッドプテラはぐるぐると私たちの上を飛んでいる。


 木々の間を走り抜けながら、私はレッドプテラまでの距離を確認する。

 うん。ジャンプで余裕かな。これなら、捕まえるんじゃなくても接近戦で戦えそう。問題はリーダーがどのレッドプテラか分からないことだけど。まぁ、しらみ潰しに倒していけば良いかな。そうと決まれば──。


「ノア! いっくよー!!」

「え、姉さん待って」


 やる気に満ちた私の耳にはノアの言葉は届かなかった。

 気合いを入れて(こぶし)を身体強化させる。(力ずくで)手懐けるために、先制攻撃をするのだ。私は高く高くジャンプした。木々の高さを越えて空へと飛んでいく。

 レッドプテラよりも高く飛んだところで、私はくるりと向きを返えた。そして、自身の下にいるターゲットへと突っ込んでいく。


「覚悟ぉぉぉお!!!!」


 硬く強化した拳をレッドプテラの背中に勢いよく叩きつければ、すごい速さで落下していった。


「姉さん! ジャンプして捕まえるんじゃなかったの!?」


 風にのってノアの声がする。魔術で届いた声はどこか焦っているみたい。だけど、私の声はノアに届けることはできない。ノアが使った魔術を私は使えないのだ。

 さて、どうしようかな。一度、下に降りる? でもなぁ……。

 落下途中にいたレッドプテラの背中に乗って悩んでいれば、ほんの数秒くらいでノアもジャンプしてやってきた。


「ノア、声が届いてから10秒も経ってないよ」

「その少しの間に姉さんは何かをやらかすから、先に声だけでも届けたんだよ」


 呆れたようにノアは言う。なるほど? と思っていれば、何だかレッドプテラの数が増えている気がする。


 ぎゃぎゃっ!! きぎゃぎゃぎゃきゃ!


「ねぇ、何だか怒ってない?」

「それは姉さんが奇襲をかけたからでしょ。レッドプテラは正々堂々戦わないとリーダーだけじゃなくて、群れ全体を倒さなきゃいけなくなるんだよ」

「え? 先制攻撃って正々堂々じゃないの? そっか。ダメだったのか。だから、さっきまで23匹だったのき、今は46匹いるんだ。仲間を呼んだのかな?」


 数を数えていれば、ノアに盛大なため息をつかれる。


「だから、待ってって言ったのに」


 そんなこと言われてたかな? うーん、記憶にない。でも、ノアがそう言うのだから私が聞いてなかっただけなんだろう。


「あはは、ごめんって。とにかく、全部倒せばいいんだよね。任せて!」

「僕も手伝うよ。姉さんはあそこにいる翼に大きな傷跡のあるやつを倒して。あいつが大きな声出したら、仲間が増えた」

「わかった。ありがとう」


 ノアは本当によく見てるな。全員倒すとしても、私ももう少し考え……いや、倒せればいいんだから力こそ勝利よね。よし、とりあえず、拳をお見舞いしてこよう。


 レッドプテラの背中を飛び移りながら走ってリーダーの元へと向かう。その時に、こっちに向かって来るレッドプテラを容赦なく拳で退かしていく。

 まさに、拳で語る。昔の青春漫画みたいだ。まぁ、相手は拳じゃなくて(くちばし)で攻撃なんだけど。


 そして、リーダーまでたどり着いた。近くで見ると、翼にある大きな傷の他にもたくさんの傷がついている。きっといくつもの戦いを勝利してきた勲章なのだろう。


「あなたの天下はここまでよ! 私にひれ伏しなさい!!」


 ビシリ! とレッドプテラのリーダーを指差して宣言する。これは、昨日1日かけて考えた私の決めセリフ。うん。なかなかいい。かっこいいよ、私!! 

 

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