レッドプテラを探しに行こう!!
フォクス領で「頑張ろうね」と誓った日からおよそ1ヶ月が経った。ジンは来週からスコルピウス家で色々とお勉強をすることになっている。これからうちとフォクス家の交流が盛んになるだろう。
そこで必要になるのは交通手段。我が家から隣のフォクス領に行くは、山を5つ、谷を2つ、河を3つほど越えなくてはならない。
隣とはいえ、普通は行き来するのに片道半月は少なくともかかる。いくら私が多くの魔物を消滅させてしまったとはいえ、再建中の魔物の生息地もあるので遠回りしなくてはならない。
魔術を使うから私たちは良いけど、私たち以外のスコルピウスの人やフォクスの人たちにとっては、交流するのが大変になってしまう。
なので、これからそれを解消するためにノアと出掛けようと思います! 標的はレッドプテラという魔物。レッドプテラは力持ちなうえに飛行速度も速い。
手懐けてレッドプテラを飼えば、移動もらくらくだ。それに、身体強化以外の魔術が今一つな私にとっても空を飛んで移動できる魔物はすごく魅力的。私は空を飛べないからレッドプテラを飼えればめちゃくちゃ便利!
ノアが魔物につける結界通過用の魔道具を作ってくれたから、フォクス領に入るときの結界もクリアできる。
しかも、レッドプテラはより強いものに従う生き物。私が彼らのリーダーをボコボコにしてしまば、彼らのボスは私になるというわけだ。楽勝だ。楽勝過ぎる。これは、もはや勝ったも同然だ。
絶対にレッドプテラのリーダーになって、飼い慣らしてみせる! そして、スコルピウスとフォクスの交通手段になってもらうんだから!
私とノアはフォクス領からもらったお米で作ったおにぎり、卵焼き、お漬け物が入ったお弁当と緑茶の入った水筒を持って家を出た。そして、身体強化を使って走り出す。
「レッドプテラ、楽しみだね! 絶対にボコボコにしてやるんだから」
「ほどほどにね。間違っても山を消滅させたりしないでね」
ノアの心配に私は安心して、という意味を込めて笑みを返す。
「大丈夫だよ! 身体強化で倒すから」
「えっ、でも相手は飛んでる魔物だよ?」
「ジャンプして取っ捕まえてもいいし、小石で翼を狙って打ち落としてもいいと思うんだよね」
私の答えにノアは少し考えた様子を見せた。
「今回はジャンプでいけそう?」
「できるけど、なんで?」
「姉さんが石を投げたとして、その石の速さがレッドプテラに見えていると思えない。よく分からないうちに、翼を怪我して落ちていくと感じるんじゃないかな」
「そうすると、ボスになれない?」
「うーん。多分、姉さんは怪我したレッドプテラに襲いかかる悪者に見えるんじゃない? どのみち敵認定はされるだろうけど、勝ったとしても従ってくれないかもね」
なるほど。弱っているところを狙った卑怯者に映るわけか。確かに、卑怯なことをしたように見える相手より、単純に力を誇示した方が従ってくれそう……な気がする。
「うん。ノアの言うとおり、目に見えるように力でねじ伏せることにするね」
そう思うと何だかわくわくしてきた。私とノアは走る速度を更にあげ、山を2つ越えたところでレッドプテラを見つけた。
レッドプテラは名前の通り真っ赤で前世のプテラノドンのような見た目をしている。確かプテラノドンと同じで歯がなくて、獲物を丸呑みするんだったはず。
「ねぇ、ノア。レッドプテラって何を食べるんだっけ?」
「雑食だから、何でもだよ。木の実なんかも食べるけど、人間も丸呑みにする」
「そっか。じゃぁ、飼った人間を食べないように調教しないとだね」
「いや。彼らはリーダーの言うことは絶対だから、群れで1番強いと思われている間は大丈夫だよ。脳筋ではあるけど、知能も高い魔物だからね」
そっか。知能も高いのか。ってことは、私と同じようにレッドプテラを飼おうと考える人もきっといるよね。早いもの勝ちってわけだね! ますます燃えてきた!!
「ノアー! はやくはやく!! 早くしないと逃げられちゃうって」
「姉さん、落ち着いて。巣は分かってるんだから、急ぐ必要はないよ」
「え? 巣が分かってたの? でも、はやくしないと誰かに取られちゃうかもでしょ!?」
木々の枝から枝へと飛び移り、私とノアはレッドプテラを追いかけ、遂にレッドプテラに気付かれた。
第2章のプロローグまでやっときました!
いつも読んでくれてありがとうございます!




