表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラコン悪役令嬢は、弟の破滅を阻止するためにすべてを物理でねじ伏せる。~王子様は結構です。運命の相手、自分で見つけました~  作者: うり北 うりこ@ざまされ2巻発売
第2章 領地編1~新たな出会い~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/123

身体強化をかけてみよう!


「よし、戻ろうか!」

 

 ジンをおんぶしようとしゃがめば、行きとは違いジンは明らかに躊躇(ちゅうちょ)した。

 

「どうしたの?」

「いや。おぶってもらわないと遅くなるのは分かってんだけど、また調子悪くなると思うとな……」

「そうしたら、また治せるけど気持ち悪くなるのは確かに嫌だよね」


 どうしたものか……、と頭を悩ませるもなかなか案は出てこない。


『ジンを身体強化できないのか?』


 オロチが細長い瞳孔を細めてジンを見る。先割れの舌がチロチロと動いていて、面白がっていることを隠すつもりもないようだ。

 でも、オロチからしたら興味本位なだけなんだろうけど、やってみる価値はあるのかもしれない。


「ジン、せっかくだしやってみよう!」

「えっ!? ちょっと待っ……」


 ジンが何かを言っていたみたいだけど、魔術をかけるために集中していた私には届かない。


 ジンは魔力がないから、私の魔力のみでジンの身体を強化だよね。ジンの身体の筋肉と骨、神経を思い浮かべながら魔術をかけていく。失敗すれば、怪我をする可能性だってあるのだから、慎重に。


 大丈夫。人体の勉強は相当した。血液の流れから、筋・神経についても網羅(もうら)している。落ち着いてゆっくりやれば失敗はしない。これは、唯一得意な魔術なんだから。


「どう……かな?」


 魔術をかけ終わり、ジンに様子を伺うも特に変わりはないようで首を傾げた。


「うーん。今のところは特には何も……」

「じゃあ、ジャンプしてみて! 軽くでいいからね」

「わかった」


 そう言ったジンの膝が少し曲がり、伸びた瞬間──


「えっ?」

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 木々を越え、雲を突き抜けて飛んでいく。そして、米粒ほどの大きさまで飛んだあと、凄まじい速さで落ちてきた。


 ドゴーーーーン!!


 という低い音が響き、足元が大きく揺れた。地面はジンを中心に大きな穴が空いている。


「しっ、死ぬかと思った……」


 地面にへたりこんだジンの元へと行けば、目の焦点が合っていない。


「ジン! 大丈夫? ごめんね、加減を間違えちゃったみたいで」

「いや、こうなることを予想するべきだった……」


 疲れはてた顔でジンは言った。私を見るジンの表情は、まるでおじいちゃんが孫を見ているようなものに似ている。この一瞬でジンが老けた。私のせいで。


「ごめんなさい」

「大丈夫だから。俺のためにしてくれたんだろ? ありがとな」


 そう言って撫でてくれる手は優しい。きっとジンは誰にでも優しいんだろうな。私が特別な訳じゃないのに、勘違いしそうになる。


 私はジンの撫でてくれていた手をとると、ジンの身体に巡らせた私の魔力量を減らしていく。触らないでもできるけど、実際に自身の魔力に触れながらやった方が簡単なのだ。


「できた。これで大丈夫なはず」


 今度はジンに石を投げてもらえば、木を貫通したものの、木っ端微塵(こっぱみじん)にならなかったから成功だろう。


「うまくいったよ!」

「……この力が正解なのか?」


 ジンがめちゃくちゃ不安そうだったから、安心してもらえるように満面の笑みで答える。すると、何度目かも分からない、残念な者を見る視線を投げられたのだった。





 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ