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ブラコン悪役令嬢は、弟の破滅を阻止するためにすべてを物理でねじ伏せる。~王子様は結構です。運命の相手、自分で見つけました~  作者: うり北 うりこ@ざまされ2巻発売
第2章 領地編1~新たな出会い~

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魔物は拾わない!


 次の日の朝、私とノアは走ってフォクス領へと向かった。もちろんオロチも一緒だ。


 走りながら、昨日の帰ったあとのことを思い出す。

 ギリギリ日が沈む前には家に帰れたものの、オロチをなんて説明するのか考えていなかった。だから、プチ騒動になりかけたんだよね。

 

「姉さん。動物を拾ってきたくらいの感じで、魔物を拾うのはもうやめてよね」


 どうやらノアも同じ事を考えていたようで、注意を受ける。ごめんね、と言おうとしたがその前にオロチが口を開いた。


『われは、(もと)神だ。魔物になったのはアリアの魔力を取り込んだからだ。そんじょそこらの魔物と一緒にしないでくれ』

「なんで、姉さんの魔力を取り込んだら魔物になるのさ。天使か女神に決まってるだろ」

 

 当たり前のようにそんなことを言うノア。わりといつものことなのだが、嬉しいものは嬉しい。

 優しい弟ににんまりと笑っていれば、オロチが私とノアを交互に見た。

 

『まさか、姉弟で付き合っているのか?』

「はぁ? 何言ってんの?」


 ノアから軽蔑を含んだ視線を受けたオロチだが、本人は全く気にもしない。


『どう見てもできてる男女ではないか!?』

「本当に何言ってるの? どう見ても仲良し姉弟でしょ。ねぇ、ノア?」

「そうだね。僕たちほど仲の良い姉弟はなかなかいない! ってくらい仲良しだよね」


 ノアはにっこり私に微笑んでくれる。ふふっ。相変わらず天使だ。可愛い。

 私には天使の微笑みを浮かべてくれたノアだが、オロチには厳しい表情をみせた。


「ねぇ、あまり姉さんに近付かないでくれるかな? 考え方が下衆(ゲス)過ぎるよ」

『何だと?』


 オロチは細く先が割れた舌を口から出し、低い声で唸る。何だか、とっても雰囲気が悪い。これは、場を(なご)ませる必要があるのでは!?

 よしっ! 今こそ前世の知識を使う時だ。


「二人ともやめて! 私のために争わないで!!」


 どうだ! 何言ってるんだよー、的な笑いよ来いっ! さぁ、来るんだっ!! そう期待したのだけど──。


「姉さんのためになら争うに決まってるでしょ」

『眷属になったからには、アリアのために戦うのは当然だ』


 ……えっ? えぇぇぇぇぇぇええ!!


「そこは、何言ってるんだよ。あはははは……ってなるところでしょう!?」


 わぁ。2人そろって首を傾げてる。私がおかしいのか? そうなのか? 違うよね!?



「あっ! 忘れないうちにオロチに伝えとくね。姉さんの邪魔をしたり、足を引っ張ったり、少しでも害になりそうならすぐに処分するから」

『それは、アリアの役に立つ存在なら傍にいても問題ないということか?』

「仕方ないからね。姉さんは今後も活動範囲を広げるだろうけど、僕もいつも一緒に行けるわけじゃないからさ」

『あぁ。なるほど』


 おいこら、オロチ。なるほどって何かな。含みを感じるんだけど。


「姉さんがやりたいことを、めいいっぱい好きにできるようにサポートできるよね?」

『当たり前だ』


 えっ? 何だか急に仲直りしたんだけど。男の子って分かんないもんだなぁ。

 それにしても、ノアってばスゴく私のこと心配してくれていたんだ。嬉しいけど、ちょっと悪いことしちゃったな。


「姉さん。もし何かあったらオロチを盾にして逃げてきてね」

「わかった! そうするね」


 この後、またノアとオロチの言い争いが始まったのだが、放っておくことにして周囲を警戒しながら走る。そして昨日、魔物がたくさんいた辺りまできたのだが、魔物の気配が全くしない。


「ねぇ、なんでこんなに魔物がいないの?」

『それは、われの魔力が圧倒的に優れているからだ』

「どういうこと?」

『われの魔力が圧倒的捕食者の立場を確立しているからな』


 分かったような、分からないような……。あぁ! こういうことかも。


「挑んでも絶対に負けることが分かっている相手が来れば、魔物も逃げるか隠れるかするってこと?」

『そういうことだ』

「へぇ。因みにオロチが勝てない相手ってどんなのがいるの?」


 いや、ノア待って。そういうフラグはいらないから。そういうことを言うと、遭遇率が上がるんだよ。


『伝説のドラゴンとかくらいだな。だから、われが負けることはあり得ないな』


 フラグを立てられたことで、もしかして! とも思ったがドラゴンが現れることなく、無事にフォクス領へと到着したのであった。





 

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