うわぁぁぁぁあ
あー、団子おいしい。最高かよ。最高だよ!
「うまそうに食うなぁ。俺のも食うか?」
「えっ? いいの!? ジン優しいね!」
喜んで、いただきます! ありがとうございます!!
ん? ジンは何でそんなに苦虫を噛み潰したような顔をしてるの? くれるって言うのは嘘だったとか!? やっぱり返してって言われないうちに一口食べとこう。
意地汚いとか気にしない! 食べれるときに食べておかないと。
「……お団子は返さないからね」
「返さなくていいから。……金にものを言わすやつには気を付けろよ。あと、お菓子くれるからってついていくなよ」
一体、何を言ってるんだ? 私、前世を覚えている人生2度目の経験豊富ガールですけど。
『大丈夫だ。何があってもわれが守ろう』
オロチよ、すごくキリッて顔してるけど私の方が強いからね。
「守る前に自衛が大事ですよ、大蛇様。アリアは顔が良いことをもっと自覚した方がいい」
「顔が良いことは自覚してるよ。きつめの顔だから強そうに見えると思ってるけど」
「阿呆だ」
『阿呆だな』
何故に? 何で二人から阿呆呼ばわりされてるんだろう。
「失礼じゃないかな?」
うわっ! 目をそらされた!! いいもんね。二人でタッグ組んじゃってさぁ。
あー、お団子おいしい。本当においしいな。もちもちしてて歯ごたえもあって甘じょっぱい。
むしゃしゃと食べていれば、ふっと気になっていたことを思い出す。
「そういえば、オロチが出ていくと何か問題でもあるの?」
「ないから、大丈夫だ」
いや、それ嘘だよね? 問題ありそうな顔をしてたよ? 一瞬だけど見たもんね。お団子のお礼に力になれないかな。オロチが祠を出ていくのは私のせいでもあるわけだし。
「私、こう見えて魔術が使えるの」
「あぁ」
「大蛇様を眷属にできるほどの魔力持ちなのよ」
「おぉ」
「私ならできることもあると思うんだけどなぁ」
「へぇ」
なっ、なんだこれは! これじゃあ、ただの自慢じゃないか。こうなりたかった訳じゃないんだよ。軌道修正しないと!
「えっと、だからね。困ってることないかな!?」
「あー。アリアの顔が近い」
へっ? 顔がちか……い…………? 本当だジンの黒い瞳が目の前に……。
「うわっ! ごめんっっ!!」
「いや。俺の方こそごめん。力になってくれようとしたんだろ? アピールの仕方が可愛かったからつい見守った」
うへーい! 可愛い? かわいいだと!?
『アリア、真っ赤だぞ』
「いや、だってさぁ! だって……、ねぇ!!」
「俺に同意を求められても」
うぐぅ。勝てない。何でだ。翻弄されているぞ。負けてたまるか!
「それで、一体何に困ってるの?」
「いや、フォクス領の問題だから」
「はい、それ禁止! 話せないことなら仕方ないけど、そうじゃないなら聞かせて。力になりたいから。見返りはフォクス領の独自の食文化の流通で!!」
「見返りって……。別にアリアの得にならないじゃん」
「なる! 世界にお米が広がれば私が幸せになるから得しかない!!」
へ? ぅわあ。かっこい……。こんな風に笑うんだ。
ジンがこらえきれなかったようにで、くつくつと笑う。その姿に見惚れてしまった。
ジンは黒髪、黒目以外の特徴がある見た目ではない。整った顔立ちではあるけれど、この世界では少し地味。前世でいう塩顔にあたる、とっても安心するお顔なのだ。
まさかの私は塩顔が好みだったとは……。いや、笑った顔、というか仕種がグッときたのかもしれない。
「アリア?」
「へいっ!!」
あっ、うぁぁぁぁぁぁあ。そんな目で見ないで。そんな優しい顔で見ないでよ。調子狂うじゃないか。
「大蛇様、話しても問題はないですか?」
『あぁ、かまわない。あと、もう大蛇様ではない。オロチだ』
そこ、今更こだわるの!? ……あ、何か冷静になった。ありがとう、オロチ。
やっとこさ、恋愛ぽくなりましたか?
なってたら嬉しいです♪o((〃∇〃o))((o〃∇〃))o♪