時には我慢も必要です
更新遅くなりすみません。芋掘りしてました。
今日は待ちに待った収穫の日。
この日のために、稲を収穫する車も開発済みだ。車の開発は、私は「何かやらかす」と言われて参加させてもらえなかった。
お父様、オロチとノアが主導でやったんだよね。私も試運転とかしたかったのに……。
そして今日もまた稲刈り車の運転は却下されたので、私は鎌での稲刈り参加となる。
身体強化で稲刈り車より、絶対にスピーディーに収穫するんだから! あ、ジンの身体強化もしておこうっと!!
「ジンーー!」
「身体強化はいらないからな」
「えっ?」
何で分かったの? っていうか、身体強化必須イベントだよ? やらないなんて選択肢があったことに驚きだ。
「俺たちがほとんど収穫したら意味ないだろ? 来年からは全部やってもらうことになるんだから」
「えっ、来年もやるよ」
学園からダッシュで帰ってくれば、稲刈り手伝えるよね? 途中でべにちゃんに乗せてもらえれば、もっと速いし。
……何でそんな目で見てくるの? おかしなこと言ってないと思うんだけど。
「ノアーーー!」
えっ? えっ? なんで、ノアを呼ぶの?
「どうしたの? 姉さんがなんかやらかした?」
慌てた様子でノアが走ってくる。
そんなに慌てるほど、最近はやらかしてないのに。失礼な。
「やらかしたって……。お姉ちゃん、悲しいっっ」
泣き真似をすれば「はいはい」とあしらわれてしまう。
「アリアが来年も稲刈りに帰ってくるって」
「無理でしょ」
「だよなぁ……」
「え!? なんで!?」
私だけがわからない。何でこの2人はいつも通じあってるの? 私も仲間に入れて欲しい。
「稲刈りの時期って、試験期間だよ? 勉強しないと」
「……試験。で、でも! ちょっとくらいなら!!」
「ちょっとで済まないだろ」
ジンの言葉にノアが頷いている。くそぅ、味方がいない。
でも、確かに2人の言う通りなんだよね。絶対にちょっとじゃ済まない。200%勉強しない。
だけど、稲刈りしたい。絶対にしたい。何がなんでもしたい。
「姉さん、時には我慢も必要だよ。稲刈りに来て散々な成績を取ったら、一生稲刈りできなくなるかもよ」
ノアの言いたいことは分かる。そんなことをしたら、お母様が絶対に許してくれない。お母様は、普段は優しいけれど、やるべきことをやらなかった時は本当に怖い。
「成績さえ落とさなければ……」
「アリア、一時の我慢は大事だ。大人しく、一緒に試験勉強しような? 学生生活ができるのはたったの3年間しかない。学生であることを満喫しないともったいないって思わないか?」
「……うん」
そう……だよね。学生でいられるのは3年間だけだもん。稲刈りはそのあとの人生でいくらでもできるんだし。
……ん? 試験勉強をするのって学生生活を満喫することになるのかな。
「アリアは俺と勉強するのが嫌か?」
「そんなことない! ジンとなら、一緒に勉強したいよ!!」
脊髄反射で答えていた。ジンと一緒にやることで嫌なことなんか、あるわけない。
「じゃ、決まりな」
まさかの入学前に学園での約束ができてしまった。
そのことに浮かれたのも一瞬のこと。高等部では『ほしきみ☆』がはじまってしまうんじゃないかという不安に占拠されそうになり、頭を振って気持ちを切り替える。
「3年も稲刈りできないんだったら、やっぱり今年は稲刈りを満喫すべきだと思う!」
「そうきたか」
「姉さんらしいね」
ジンとノアに苦笑されるけど、譲れない。来年から我慢することになるんだから、2人にも付き合ってもらおう。
稲刈りという最高の思い出作りを!!
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