プロローグ
第3章の開幕です。
長い話になってきました。読んで頂き、本当にありがとうございます!
どうして、良いことが続くと嫌なことが起こるんだろう。
「王家から第1王子が視察に来ることになった」
お父様のその言葉に自然と眉間にシワが寄る。
さっきまで収穫祭しよう! とみんなと盛り上がっていた。黄金色の稲穂に胸を踊らせていたのに。
「王家の視察ってリカルド様じゃダメなの?」
「米が第2の主食になり、飢饉に備えられるのではないか……そういう意図もある視察だ。第1王子にやらせたいんだろう」
「王家の印があるってことは、無視できないね。いつ来るの?」
「早ければ3日後だな」
「「3日後!?」」
私とノアの声が重なった。いくら王家と云えど、連絡が直前過ぎる。
そして3日後に本当にレオナルドはやって来た。
「久しぶりだね、アリア」
9年ぶりに会うレオナルドは乙女ゲーム『ほしきみ☆』で画面越しに見ていた姿だった。そのことが、私を不安にさせる。
「お久しぶりです。レオナルド殿下」
「そんな他人行儀で呼ばないで。ずっとアリアに会いたかったんだ」
熱のこもった視線を避けるように視線をそらせば、ジンがレオナルドの視線から私を隠すように立った。
「レオナルド第1王子、私にもご挨拶をする栄誉を与えてくださいませんか?」
王族に自分から声をかけることが常識はずれだとジンも知っているはずなのに……。
そんなジンを止めずに、お父様もお母様もノアも見ている。……というか、面白がってる?
「もちろんだよ」
「ありがとうございます。フォクス子爵家の四男、ジンと申します」
「スコルピウス家と協力して米の栽培に尽くしてくれたこと、感謝するよ。それで、アリアとはどんな関係なのかな?」
レオナルドの質問に、ジンは私の手を取ると口角をあげた。
「かなり親しい仲……とだけ、お答えしておきます」
含みのある言い方をするジンに見惚れてしまう。今がそんな場合じゃないのは分かっている。でも、かっこいい……。
「ふーん? それも今だけかもね? アリア、私は諦めていないよ。私の王妃になる女性はあなたしかいないと昔と変わらず、思っているんだ」
「お断りします!」
脊髄反射で答えていた。
ほしきみ☆での「私の王妃になる女性はあなたしかいない、高等部を卒業したら婚約しよう」というレオナルドの台詞が私にそうさせたのだ。
けれど、レオナルドは気にした様子が一切ない。
「うん。今はそれでいいよ。9年間、一度も会えなかったんだ。今は顔が見られた。それで満足だよ」
そう言って笑うレオナルド。
あれ? 物理的に撃退できない強敵の予感がするんだけど……。
視察はおよそ1週間。たかが1週間。されど1週間。
ノアの破滅の原因になるかもしれないレオナルドとの関係、一切前進させないんだから。
そそそそそれに、私には好きな人がいるんだからぁぁぁあ!!!!
お読み頂き、ありがとうございます。
久々のレオナルドです。9年も会えなかったのに想い続けていたレオナルドです。
レオナルドとジン、どちらがお好きでしょうか? 私はオロチ派です←おい