プロローグ
「ごきげんよう」
私、アリア・スコルピウスは誰よりも美しく優雅に挨拶をする。
ここ『シュテルンビルト王国』で、王族の次に爵位の高い公爵家令嬢の私は物心つく頃から、礼儀作法、ダンス、詩、楽器、刺繍、帝王学、史学、馬術、魔法学……あげ出せば切りがない程の教養を身につけてきた。
それもこれも、第1王子の婚約者になるために始めたものだった。
お父様は、私が生まれたときに「世界一美しくて愛らしい自分の娘こそ王妃に相応しい」と思ったらしい。かなりの溺愛ぶりである。
王妃こそ娘の幸せだと思ったお父様は、同じ年に生まれた王子の婚約者第1候補に私をしてしまったのだ。
もちろん、私自身も王妃様になるのを夢見ていた。絵本の中の王妃様や王女様のキラキラした世界に憧れ、自分が将来王妃になるために幼いながらにたくさん勉強をした。
しかし、6歳の誕生日に思い出したのだ。
ここは『どの星よりも輝く君へ☆~君は僕のお姫様~』という乙女ゲームの世界であり、アリア・スコルピウスはヒロインのライバルの悪役令嬢だということを……。
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