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天使様とお節介君  作者: いくらたべたい
8/15

8.マンションにて(5)

夕食も終わり食器を片付け終わりそろそろ解散になりそうな頃だ。


「そういえば、颯君と連絡先交換してなかったですね」

と詩乃が言う

「ああ、そういえばそうだったな。今時の子たちはLから始まる…なんだっけ?そんな感じのアプリを使ってるんだっけ」

「今時の子…って。颯君おじいちゃん過ぎません…?まあそれはいいとして、私たちは基本Siscordっていうアプリを使っていますよ。」


どうやら割とみんなが使ってるイメージだったLから始まるメッセージアプリは使ってないようだ。昔は家族もそっちのアプリを使ってたんだが、俺が無理やりSiscordに移行させた。


「俺も普段はSiscord使ってるからそれは助かるな」

「あれ、そうなんですか?Siscordメインで使ってる人は珍しい気がしますが…」

「そもそもSiscord以外で連絡とるような間柄の友達がいなかった…」

「…なんかすいません」


なぜ謝るんだ。別に友達がいなかったというわけじゃないからな?普通にリアルでも友達はいたけど全員にSiscordを入れさせただけだ。


「まあ、とりあえずそれは置いといて…。このIDにリクエスト送ってください」

「はいよ」


というわけで僕はなぜかアイドルとSiscordを交換することになった。正直、彼女たちは別のアプリを使ってると思ってた。Siscordはまだマイナーなアプリではあるので連絡を取る相手が多ければ多いほど利用者の多い別アプリの方が便利なはずだしな…。

まぁよくわからないけど個人的に使いやすいSiscordで連絡を取れるのはありがたい。


「じゃあ、私たちのサーバーに招待しますね」


サーバーというのは所謂グループチャットというやつだ。

「『しののん』から『AG』に招待されました」とメッセージが出てくる。まぁ仕事用だろうしそこまで気負う必要はないだろうしすぐに「参加する」を押す。

グループに参加すると俺が参加した旨の自動メッセージが送られる。


さて、このサーバーに入った瞬間に俺は少し前までの余裕を失った訳である。なぜかって?このサーバーの人数、なんと今6人なんだ…。(意味怖風)

それが意味するところは、このサーバーにいるのは俺とAGのメンバー5人だけということである。仕事用なら普通伸也とかそこら辺がいません?


「えっと、伸也さんとかは…?」

「関係者の方がいらっしゃるサーバーは別にありますよ~」

「えっ」

「ん?こっちは個人的に連絡を取るためのグループですよ?」

「俺、どっちかというと関係者の方だと思うんだが」

「だってこれから毎日料理作ってくれる訳ですから、こっちで連絡取ったほうが便利じゃないですか!嫌でした…?」


嫌じゃないです。はい。とりあえずそのつぶらな瞳やめてもらっていいですか?


「…颯太って3年前からSiscord使ってるんだ」


と、口を開いたのは怜。Siscordは相手のプロフィールから利用開始年月日を見れるのでそこからだろう。


「俺は昔からネットゲームとかもやってたから、その時から使ってるよ」

「へえ!そうなんだ~。どんなゲームやってるの?」


と、理香が尋ねてきた。


「最近は一人称視点(FPS)のゲームをよくやってるかな。たまにMeTubeで配信もしてるよ」

「FPSかぁ、私そっち系のゲームよくわかんないなぁ。知ってるゲームだったら配信中に乱入しようと思ったのに」

「それはマジでやめてくれ、世間的には曲作る側と歌う側の関係でしかないんだぞ俺ら」


ちぇ…なんて言わんばかりの態度の理香。彼女たちは男子禁制のような売り方はしてないっぽいがリスクは避けるに越したことはない。


「颯太君はMeTubeで活動してるんだよね。私も颯太君の新曲はすぐ聞きに行ってるよ!」


と、花音も会話に参加してくる。MeTubeというのは俺が動画を上げてたりした動画サイトだ。今でも新曲をアップロードしたり配信をしたりなど色々とやっている。


「まじか、ありがとう」

「そういえば言ってなかったけど、私も颯太君のことは結構前から知ってるからね。私たちの曲を作ってくれるって聞いた時はすっごい嬉しかったよ。」

「そう言われると嬉しいな」


どうやら花音も俺のことは知っていたらしい。今までの活動を経て結構有名になった気はしてたが、ここまでとは。


「それじゃあ、今日はここら辺で解散かな。颯君、また明日からも頼むよ。」


と、凜が言う。そんな感じで今日は解散となった。解散と言っても皆同じマンションに住んでるので部屋を移動するだけなのだが。


まぁそんな感じで色々と波乱だった歓迎会をなんとか乗り切り俺は自分の部屋に戻ってきた。正直、中学時代全くと言っていいほど女子と関わってこなかった俺が今男女比率1:5でしかも相手はアイドルなんて言うあり得ない状況に身を置いていることが未だに信じられない。レベル0なのにレベルカンストのボス5人を相手にしてるような無理ゲー状態だがボス5人の圧倒的コミュ力によって何とか勝負の場に上がれている状態だ。てか、自分でも思ったけど例え話が下手だな俺。まぁそれくらい俺にとってはキッツい状況だということだ。

ていうか、やっぱり下の名前で呼ぶ距離感やべえよな。中学の頃女子を下の名前で呼ぶ男子とかいなかったくね…?

そんなわけで何とかプライベートの時間が来たわけだが、未だに胸のドキドキが収まらない。恋とかそういうのじゃなくて、「あれ俺今すげえ状況に置かれてるんじゃねえの」で胸騒ぎがするようなアレだ。まあ今考えてもどうすることもできないので諦める。

今日はかなり疲れたが、昨日の専属作家の件もあるので説明も兼ねて少しだけMeTubeで配信をすることにしていた。とは言っても自分のゲーム画面を垂れ流しにして話すだけだが。

そうして俺は最近ハマってるFPSゲームを起動し配信開始をクリックする。


「おっす、(かえで)でーす」


という感じで配信を始める。

配信には専用のチャット欄がありそこで視聴者とやり取りができるようになっている。まあ今日は専属作家の件で埋まっているがいつもは色々と雑談をしている。対戦相手を探してる間に専属作家のことを詳しく説明する。まぁ、そもそも俺個人の活動は別で許されているので俺のファンにとってもそこまで困る話ではないので割とすんなりと受け入れられた。そのあとは普通に雑談しながらゲームをして終わった。ちなみに俺はそこそこだがFPSは上手い方であるので割と見ごたえがあるらしい。あと、ネットだとリアルの数百倍のコミュ力を発揮して話ができるのもあると思う。


「んじゃ、お疲れ様」


と言って配信を切る。なんだかんだで3時間くらい配信をしていたので時間は24時近くになっていた。明日からは学校が始まるのでそろそろ寝たい頃だ。そういえば、学校は俺と詩乃以外はそれぞれ違うところに通うらしい。流石に今の有名アイドル5人が同じ学校はトラブルも起きかねないし、5人全員そろってしまえば一瞬でAGのメンバーだとバレてしまうだろう。まぁそういうわけで学校生活の方はもう少し平穏になるはずだ。いや、そうであってくれ。

そんなことを考えながら布団にダイブする。この瞬間が一日の疲れを癒してくれる気がする。

友達もできたので明日からの学校生活が楽しみだなと思いながら俺は眠りについた…。


「マンションにて」はこれで終わりです。こっから日常だったりの話になるはず。はず。

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