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天使様とお節介君  作者: いくらたべたい
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3.桜稜高校(2)

学校の正門前に到着すると、そこには多くの生徒やその親がいた。

入学式と書かれたよくある立て看板の前には写真を撮るための列が並んでいる。


「詩乃はいいのか?写真」

「うーん。やめときます。そこまで写真に残したいというわけでもないので」

「そうか。てか、お前の親は?」

「あなたと同じく地方にいますよ。私は一人で上京してきたので。」

「まじかよ、なら写真くらい撮って送ってあげろよ…」

「それ、ブーメラン刺さってるの自覚してます?」

「いや、俺は後で適当に撮って送るぞ?」

「えー。なら私も一緒に撮ります!」

「いや、なんで俺とお前が一緒に撮ることになるんだよ。」

「いいじゃないですか!彼女いるアピールにもなりますし親御さん喜ぶと思いますよ!?」

「いつから俺はお前と付き合ってることになったんだ…」

「同じアパートに住んでてしかも一緒に登校してるんですよ?もうこれは付き合っているようなものです!」

「そもそもお前アイドルやってんだからダメだろ」


こう話してると忘れかけるが彼女はもはや国民的アイドルになりつつある。変な疑惑を避けるためにも身辺や彼女との関わり方には細心の注意を払わなければならない。


「いえ、うちは恋愛禁止ではないですよ?それに現役の高校生なんですから恋するのは普通のことなのです!」


アイドルって恋愛とかそこら辺禁止だからアイドルって言うんじゃないのか…普通に知らんかったんだが。


「最近はそういうの少ないんですよ?割と世間的にも恋愛禁止はあまりよろしくないらしいです。ですので安心して私のこと彼女にできますよ?」


などと言いながら彼女はなんとも小悪魔的な上目遣いで俺の腕を抱きしめてくる。まずい、当たってる。てか、絵面がほんとにやばい。こんなので落ちない男は絶対いない。前提として俺はまず女子と話すことすら滅多になかったわけで、そんな俺にこれは破壊力が高すぎる。

だがこいつ、絶対わざとやってる。目が完全に人をからかって遊んでる人のそれである。

ていうか周りの目がやばい。特に男から。入学初日からこれはマジでやばい。割とマジで初日から学校に俺の居場所がなくなりそうなので彼女を腕からなんとか振りほどく。


「おい、まじでやめてくれ。俺の学校での居場所がなくなる。そもそも展開が早すぎだろ、まだ俺ら出会ってから1日しか経ってないんだが」

「……私にとっては、颯君と出会ったのは2年前だよ?」


そう言うと彼女はにししと笑い


「ほら、遅れちゃいますよ?早く行きましょ!」


と俺の腕を引っ張る。

そういえば、俺のファンだとか言ってたな。2年前というと初期から俺のことを知ってくれていたようだ。

にしても、これが陽キャというやつか…。スキンシップが異次元すぎるし、からかい方がなかなかエグイ……。ほんとに勘違いしそうになるからやめてほしい。そもそも相手はあの国民的アイドルだしな。探せば有名俳優やら最近はやりの2.5次元とかのスーパーイケメンなどなど相手はいるだろう。俺じゃとても釣り合わんしな。

なんて考えながら会場の体育館へと向かう。ちゃんと誘導もあったので迷わず到着することができた。それにしても、初日から無駄に目立ってしまった感があって気まずい。普通に陰キャなので変に目立つと心にダメージが…


なにはともあれ、入学式は無事終えることができた。壇上に校長やら理事長やらといかにもなお偉いさんが並んでてすごかった。理事長なんてもう80歳とかそれくらいじゃないのかなあれ。


入学式を終えるとついにクラス発表の時が来た。どうやら正門前の大広間に張り出されているらしい。


「クラス一緒だといいですね~」

「俺は別だといいな」

「ええ!なんでですか!」

「お前と一緒にいると身が持たない」


こいつと同じクラスは絶対苦労することになる。

だがこういう時は大体確率が低い方を引くもので…


「やりましたね!」

「あー…」


見事1年間苦労することが確定した。せめて目立たないように頑張ろう…

とはいえ、俺の予想通り一之瀬は『い』柳は『や』なので席は遠かった。とりあえず授業中とかは大丈夫だろう。


クラス全員が着席できたところで担任が入ってきた。

少しの沈黙の後


「俺が406の担任の高木(たかき)だ。1年間よろしくな。

んじゃあ、今日やること終わらせていくぞー。」


なんてわけで書類やらなにやらと配るものだけ配って先生は職員室に戻ると言って教室を出て行った。どうやら終礼までは1時間あるらしくほぼ自由時間らしい。

先生が出てくと隣の女子が声をかけてきた


「初めまして!三波 有希(みなみ ゆき)って言います!よろしくね、お隣さん!」


めっちゃ活発そうな女の子だ。


「柳 颯太です。よろしく。」


コミュ障の限界だ。変にならないよう精一杯だったのでこれで限界。


「柳君ってさっきあそこの女の子とすごく仲良さそうにしてたよね。付き合ってるの?」


あー、あれ見られてたやつだ。どう言い訳するのあれ…


「いや、付き合ってるわけではないよ。ただの友達?かな。」

「えー、なにその含みある言い方。気になるんですけどー」


やばい、こいつもコミュ力強めだ。てかめっちゃ距離詰めてくるやん。


「あ、俺もそれ気になるんだけど!」


と、前の席の男子がこっちを見てくる。三波さんが話し始めたからかクラス内では各所で交流が始まっていた。


「っと、俺は八木 亮太(やぎ りょうた)だ。で、こっちは…」

星川 結衣(ほしかわ ゆい)っていいます。よろしくね!」


八木君が俺の前、星川さんが八木の左隣だ。ちなみに俺の席の位置は一番右の一番後ろのドアに近いところ。一番角である。


「柳 颯太だ。よろしく」

「三波 有希だよ!よろしくね!」


互いに紹介を済ませる。向こうの二人もどうやら自己紹介は済んでたようだ。

てか、コミュ力あるやつ多すぎだろ。俺だったらまず自分から話しかけるなんて無理なんだが。いや、ほんと話しかけてくるやついてくれてよかった。マジで。


「でさ、柳の彼女の話」

「いや、だから彼女じゃないって」

「そうやって言い訳する男は中学の時もたくさんいたな」

「まじで、ただの友達だよ」

「まぁそういうことにしてやるか。」


「あ、そうだ!この後懇親会も兼ねてご飯食べにいこうよ!もちろんあの子も入れて!」


コミュ力最強格(俺調べ)の三波がそう言うと


「いいな、行こうぜー」

「私もいこうかな」


と八木と星川さんも続く。親には先に帰ってもらうとのこと

となれば俺も行かない理由はない。


「あいつはどうかは分からないが俺はこの後も暇だから行こうかな。」


というわけで俺も行くことに。

この後も話は続いたのだがあっという間に終礼の時間がきた。とりあえず高校もぼっちになることはなさそうなのでよかった。

というわけで放課後。詩乃はすんなりと輪に馴染み始めた。これがコミュ力強者かぁ…すごいな。

お昼の場所に選んだのはよくあるファミレスだ。

ちなみに詩乃はアイドルをやっていることは明かさずに行くようだ。


「そういえば、詩乃ちゃんってどこかで見た覚えがあるなって思ったら、『エンジェリックガールズ』の愛花ちゃんに似てるんだ!」


まぁそら眼鏡かけただけじゃなぁ…まぁ髪型もいつもとは違うが流石になぁ、衣装に合わせて髪型変えたりとかしてるしな。あんまり効果なさそう。


「それよく言われる!ちょっと私じゃあの可愛さには勝てないかなぁ…ちょっと恐れ多いや」

「またまたぁ、ご謙遜を~」

「それに、有希ちゃんも愛花ちゃんに負けないくらい可愛いと思うんだけどな。結衣ちゃんも」

「ふえっ!?」

「いやいやー、それほどでも?」


めっちゃ上機嫌やん三波さん。星川さんは不意打ちすぎて変な声出てたし。てか、詩乃さん今さらっと自分のこと『あの可愛さ』とか言ったよな。

まぁそれは置いといて、女子は女子で盛り上がっているようにこっちも男同士で結構盛り上がってた。


「柳って中学は地方だったのか!なら東京は大変だろ。何かあったら俺を頼ってくれていいぞー!」

「まじか、助かる」

「しかも一人暮らしってさ、普通にすごくないか」

「そうなのか?」

「少なくとも俺は高校生で一人暮らしなんてやつは聞いたことがないぞ」

「そうなのか、まぁ俺は仕送りもしっかり貰ってるからな。生活に困ることはないかな」


嘘である。まぁ流石に颯として活動してる話はしなくていいだろう。


お昼を食べ終わると少し雑談をした後に解散となった。

懇親会の名の通りかなり親交が深まった。初日にも関わらずここまで親交が深まるとは…何はともあれ、高校生活もそこそこ楽しめそうなのでよかった。ちなみに帰り道は俺と詩乃以外は反対らしく、結局俺は詩乃と帰ることになったのである…。

次話、番外編的な感じで5人の会話をもっと細かく書こうか迷ってます。

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