15.これはデートなのでは?(4)
スカイツリーへ向かう電車は休日だと言うのにそこそこ空いていたので座ることができた。
ちなみに花音曰く、ここから30分ほど電車に乗ることになるらしい。残念ながら東京のことは一切分からない俺はどの駅で降りるかすら知らないので完全に花音に案内してもらっている形だ。
30分も電車に乗るわけで、コミュ障の俺にとっては会話をうまく繋ぐことができるのかが大きな問題なのだが、どうやら花音相手に心配はいらなかったようだ。
「ねえ!今から行く水族館はね、すごい種類のクラゲがいるんだって!!ほらほら!」
と言って花音は自分のスマホを見せてくる。
そこには、いくつものクラゲが泳いでいる巨大な水槽の写真があった。なかなかに幻想的な風景だ。
「最近の水族館ってこんなに綺麗なものなんだな。小学生の時に行った水族館は少なくともこんな感じじゃなかったなー。」
「そうだね~。この水族館も結構最近リニューアルされたんだよねー。」
「楽しみだな」
と俺が言うと花音は
「ふふっ、そうだね」
と笑い返してきた。
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それから電車に揺られること約30分、行先の駅に到着した。電車を降りるとそこにはまさに、都心と言った感じの光景が広がっていた。田舎出身の俺には未だに見慣れない光景だが同時に憧れていた光景でもある。そんな中でも、駅から少し歩いた先にある“東京スカイツリータウン”はまさにニュータウンと言った感じで、近未来的だった。
「すごいな…これがスカイツリーか」
「うん。すごいよね~。下から見たらこんなに大きいんだもん」
「颯君は、スカイツリーを見るのは初めて?」
「ネットでしか見たことがないから、実物は初めて見るわ…。これはすごいな」
一応ネットで見たことはあるものの実物を見るのは初めてだ。写真と実物じゃ迫力が段違いであった。
「じゃあスカイツリーは夜に行くので、まずは水族館に行きましょう!」
「はーい!」
互いに「なにそれ」と笑い合う。どうやら高校でもちゃんと笑い合える友達ができたようだ。
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水族館の館内は少し暗いが、それによって水槽内のライティングの良さが出ていて写真以上の美しさがあった。
ちなみに花音がネットで前売りチケットを取っていたのでチケットで並ぶことがなくすぐに入れた。流石は花音である。抜け目がない。
中に入ると、少ししたところに先ほどのクラゲの水槽があった。
「うわぁ、綺麗…」
「だな」
照明の力も相まって幻想的な光景が広がっていた。
すると花音が
「――ねえ、颯君」
「ん?」
「昔、水族館に行った時の事ってどれくらい覚えてる?」
あまりに急な質問だった気がする。まぁ水族館繋がりなのか
「今日ここに来て色々と思い出してきたかな。もちろんここのようにすごくはなかったけど。急にどうした?」
「…気になっただけだよ?颯君が昔行ったって言う水族館。家族と行ったの?」
そんな花音の言葉で当時のことを思い出そうとする。
「そういえば、家族もいたけど他に俺の友達もいた気がする。小学生と言っても低学年の頃だし、その子は転校しちゃったから流石によくは覚えてないな~。」
「ふぅん。颯君、小学生の頃にもちゃんと友達いたんだね~」
「俺の事をなんだと思ってるんだ…」
俺にだってちゃんと友達の一人や二人はいる。向こうから聞いてきたくせになんともひどい話だ。
にしても、この会話で思い出したが小学生の時に行った水族館、あの時家族以外にも一人友達がいたんだ。その子は女の子で幼稚園の頃からの付き合いだったが…流石に小学校の低学年までしか会ってない人の事を例え当時の友達だろうとはっきり覚えておくのは無理だ。
「…もしそれが私だって言ったらどうする?」
花音がこちらを見つめて言う。突然すぎて意図がよく分からないが思うことをそのまま返す。
「別にどうもしないけどな…。急にどうした?あの時の子が花音だとかそういうことか?」
すると花音は安心したような様子で
「いや、違うよ?私は正真正銘東京生まれ東京育ちだから!」
今日の花音はなんだか様子がおかしい気がするがとりあえず軽く流しておく。
(どういう意図であんなこと言ってきたんだ…?)
「あ!でもね、私たちがこうやって知り合う前に1回だけ私、颯君のことを見たことがあるんだ!」
「どういうことだ?」
「今から2年前、颯君が段々人気になってきたとき、東京で雑誌のインタビューを受けてたでしょ?その時、山井さんの連れで私もそこにいたんだ。」
「そういえばそんなこともあったな」
それは俺が中学2年生の頃の話だ。俺にもそこそこ人気が出てきたことで、伸也から「雑誌の取材を受けてみないか?」という連絡があって、東京まで行って色々話したことがある。なんか動画も撮ってたのでそこそこなスタジオでインタビュアーとの対談のような形だったな。
AGは伸也のプロデュースだし、花音がその時点で伸也と知り合いだったというのは自然な話だと思われる。
「そこで颯君、何が原動力かって聞かれたとき『とにかく自分の〈好き〉が原動力。他人の目や言葉を気にせずにとにかく好きだと思うことを貫き通してきた。だからここまで続けられていると思う』って言ってたよね」
「あー、そういえばそんなこと言ったかも…。」
中学の時のことだが、今思い出してみると結構恥ずかしい話で、恥ずかしさが込み上げてくる。
そんな俺を前に花音は思い出を語るように言う
「その颯君の言葉がね、当時周りと比べるとうまくいってなくて挫けかけてた私にすごく響いたんだ。同い年でこんなに活躍している人がいるんだから私だってできる~!って。あの時の私の原動力は颯君の言葉だったんだ。」
花音の言葉に共鳴するかのようにエリアの照明が青から緑に変わる。
「そっか…それはなんというか、よかったよ」
「こういうときでも口下手なのは変わらないんだね」
そう花音は笑いながら言った。
「ほら、そろそろ次のエリア、行こうか?」
そうして楽しそうな花音に俺はまた手を引かれる。俺に何か言い返す暇は与えられなかったのであった。
それにしても、花音は少し前から俺のことを知っていたということになるのか。
自分の何気ない言葉が誰かの力になれたことを知ると、なんだか不思議な気分になるものだな。
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そこからさらに少し館内を進むと
「これは…すごいな」
そこにはペンギンの生活圏を再現したかのような巨大なペンギンの水槽があった。
「あははっ、あまりのすごさに語彙力無くなっちゃった?」
「すごいとしか言いようが無くないか?」
「まぁ確かにそうだよね。なんせ国内最大級の屋内開放のプール型水槽らしいからね~。」
「詳しいんだな」
「ちゃんとリサーチはしてるので!」
と言って伊達だと思われる眼鏡をクイっとする花音。なんというか似合っていた。
「あっ!何か始まるみたいだよ!」
少ししたところで、飼育員の人たちが水槽に入ってきた。どうやらちょっとしたプログラムが始まるようだ。
様子を見ていると
「ねえねえ颯君!見てあそこ!ペンギンが集まってる!!」
どうやら花音さんはすごい興奮しているようだ。それくらい心の底から楽しんでいるのだろう。
まぁ俺も結構ワクワクしているのだが
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プログラムが終わって、俺たちは出口前のショップに来ていた。
「すごい楽しかったね!それに、イベントも見ることができたし幸運だったな~。」
「そうだな」
幸せそうな花音を見て思わず笑みがこぼれる。
うおおおおおおお更新遅くてごめんなさああああああいいいい(高速スライディング土下座)




