14.これはデートなのでは?(3)
俺は花音に引っ張られるままそこそこ混みあっている施設内を移動していた。
「なぁ、どの店に行くんだ?」
「それはー、着くまでのお楽しみ!」
という訳で教えてくれることはなさそうだ。しかし、この人の数もだが、見るからにオシャレな若い人たちがとにかく多い。俺とほとんど年は変わらないくらいだろうになんなんだこの違いは…。まぁ、それを言えば花音だってレベルの違うオーラを放ってるわけだが。
てか、冷静に考えてこんな中でも異質なオーラを放つ花音に手を引かれてるよくわからん男とかいう対比はかなり酷いんじゃないか…?
そんなことを考えているうちに「着いたよ!」と言われた。
見上げてみると、そこは女性用の服の店だった。
「服?」
「うん!颯君に私の私服を見てもらおうかなって!」
「なんで俺なんだよ…」
「えー、颯君の意見が聞きたいから」
「えぇ…」
どうして俺の意見が必要なのかはよく分からないが、とにかくここで一番の問題なのは俺に服選びのセンスなど欠片もないことである。今着てるのも親に選んでもらったやつだ。
まぁ、花音なら何でも似合うだろうし大丈夫か…
「ねえねえ、これとかどう?」
「いいと思う」
「あっ、これとか――」
「めっちゃ似合ってると思う」
「ねえ、颯君さっきから適当に答えてる?」
と、顔をぷくぅっとさせる花音
「いや、ほんとに全部似合ってるんだよ…。花音は何着ても似合うから…」
「そうやってご機嫌取りしても何も出て来ないよーだ」
相変わらずぷくぅっとしている花音。どうやら機嫌を損ねてしまったようだ。いや、よく考えれば俺が悪いのだが…。
――だってほんとに何着ても似合ってるんだもん…。そら人気アイドルなだけありますわ…。花音のポテンシャルの高さに思わず絶句してしまう。
てか、今ハッとしたが普通友達だったとしても異性と服選びなんて普通するか?いや、どうなんだろう。わからん。やはり、人生の経験が絶対的に不足している俺にはこの手の話は向いてない。
「じゃあ、これは?」
と花音が手に取ったのは栗色のブラウスに黒のスカート。ふと、頭に花音がこの服を着たときの姿が浮かぶ。どの服も似合うがこの組み合わせはベストマッチかもしれない。
なんて思ってると店員さんがこちらに来て
「お客様、よければご試着されてみては如何ですか?」
と丁寧に尋ねてきた。
正直、この服を着た花音が見てみたかったので俺も「着てみたら?」と店員さんに賛同する。
すると「颯君が言うなら…」という感じで花音も承諾したので、店員さんに連れられ試着室に行った。
それから少しすると、着替えた花音が試着室から出てきた。
「…どうかな?」
「えっと、にあっ…」
言いかけたところで花音の顔がまたぷくぅっとなり始めたので止める。これはアニメとかで見るあれなのか?いや、間違ってたらマジで恥ずかしいぞ?もうこうなったら言うしかないのか…?
ここで俺は考えるのをやめた。
「…かわいい、です」
すると花音はライブでも見なかった程の笑みを浮かべ
「じゃあ、これにするねっ!」
と言った。とりあえず正解を選択できたようなのでほっとする。
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さて、そんな関門を超えた俺であったが、今度はとてつもなくお洒落なカフェに来ている。先ほどまで大きな商業施設にいたわけだが、なんだかんだで時間は経っていいたようで時間は既に12時を回っていた。という訳でお昼を食べようという話だったのだが…。
花音に連れてこられたこのカフェ、周りにはSNS映えする写真を撮ってるタイプの女子だったりその彼氏だろうか、イケイケの男しかいない。流石花音と言うか、やっぱりこのレベルになるとお店のチョイスもとんでもないレベルになってくるんだなと。
まともに陽の光を浴びることすらなかった俺にはちょっとハードすぎる。
「ねね!このメニュー、春の新作なんだって!これにしようかな!」
「じゃあ、俺もそれで」
雰囲気に呑まれてガッチガチに緊張している俺にメニューで悩むなんてマネなどできるはずがないだった。
それから10分ほどだろうか、花音と雑談を楽しんでいるうちに料理がやってきた。先に出てきたドリンクの時点で想像はついていたが、とにかくお洒落な料理であった。人一倍食べることが好きな俺は先ほどまでの緊張など忘れて出された料理にくぎ付けだった。対する花音も目をキラキラと光らせている。
「おお!これは!」
「ああ、これはすごいぞ」
と、どちらも語彙力は既に無くなっているようだ。
食べ始めると、花音はそれはもう幸せな顔をしていた。そして俺もあまりのおいしさにとても幸せな気持ちになっていた。これは家ではできないおいしさだ。
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なんとも幸せな時間を過ごした後
「いやぁ、おいしかったなぁ」
「だね~、颯君も喜んでくれたようでよかった!」
「あーいう店、一人じゃ絶対入れないから初めてだった」
「えっ、そうなの?」
「雰囲気がなぁ、俺には向いてないというか」
「えー、颯君はもっと自分に自信持ってもいいと思うんだけどな。」
「えっ」
「だって颯君、さっきのお店の中でも周りの女の子の視線を集めてたよ?君にはそれくらいのポテンシャルはあるんだ!自身を持ちたまえ」
「え、まじで?」
「まじまじ大マジです~。チラッ、チラーって。全く、今日は私だけの颯君なのに!」
またまた膨れる花音。私だけの~の部分に突っ込む勇気は残念ながら俺にはない。ここで突っ込んで自意識過剰だと思われるのが一番ダメージの大きいやつなのだから…。
それにしても、花音の話が本当なら俺にもちゃんとポテンシャルはあるのだろう。アドバイス通り、コケない程度に自信を持ってみるのもいいのかもしれない。
いや、よく考えたら視線集めてるのは絶対花音だろ…。こんな明らかにレベチな女の子がいたらそら一緒にいる男がどんなやつなのか見たくなるだろ…。
やっぱりこのレベルになると視線も集まるんだな~なんて思っていると
「次の場所は電車で少し移動したところだから、駅に戻ろうか」
と言われた。
「次ってどこに行くんだ?」
「スカイツリーがあるところだよ~。スカイツリーはもう少し暗くなってから行きたいから先にスカイツリーの近くの水族館に行こうかなって。あそこ、一度行ってみたかったんだよね!」
「水族館か、小学生の時に行ったっきりだな。」
と言う訳で次はスカイツリーに向かうことになった…。
忙しいです!更新遅れます!




