11.お節介さん(3)
夕食も食べ終わり俺は片づけをしていた。彼女たちにも手伝うと言われたがキッチンはそこまで広くないので皿を下げるのだけ手伝ってもらった。まぁ皿洗い程度なら6人分でもそこまで長い時間はかからない。
俺は中学の頃伸也とはまた違う親戚の飲食店を手伝ったことがあるのでそこら辺の作業は慣れたものだ。ちなみに、6人分の皿を用意できたのもこの親戚が俺の上京を知って大量に食器類などを送ってくれたからだ。送られてきたときは「多っ」と思ったがとても助かった。
さて、そんなわけで俺は一人で食器洗いをしている訳だが他の5人は特に帰る様子も見せず俺の部屋でゆっくりしている。まぁ別に帰れと思っている訳でもないし、せっかく5人集まってるのだからゆっくり話したり遊んだりとしていくのは普通か。と今勝手に納得した。
それにしても、無防備すぎやしないだろうか。
今、俺の左45度先には、俺のソファの上で戯れる詩乃・理香・花音の3人がいるのだが、この戯れ方がちょっと危ない。なんか抱き着いたり頬をすりすりしたりなど、AGファンが見たら尊さに吹き飛ばされてしまうであろう百合百合しい光景がそこにはあった。
ちなみに、彼女たちは3人ともスカートを履いているので男の俺からすると、いつ事故が起きてもおかしくない状況なので出来るだけ目を逸らしている。
「理香ちゃんはかわいいねぇ~。ぎゅーっ」
「うえ、花音?やめっ…!」
「ああっ!ずるいです~!!私も~」
「ぐええっ。ちょ、詩乃…やめ…!」
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そんなこんなで食器洗い中も結構気が気ではなかった訳だが無事終わらせることができた。
詩乃が部屋にやってきてから今までかなり精神力を消耗したのもあってか、食器を洗い終わると俺はとても炭酸飲料を飲みたくなってきた。残念ながら家に炭酸飲料のストックはなかったので今から買ってくるしかない訳だが…。
(流石に俺だけってのも悪いか…)
と思ったので「今から自販機に飲み物買ってくるけどみんなはいる?」と聞いた。
すると、5人とも欲しいとのことなので大雑把なリクエストを聞き部屋を空ける。
まぁジュースの5本10本くらいは気にするような手持ちじゃないのは互いに承知のことなのでそのあたりは気楽な関係にはなっていた。
ん?部屋を空けて大丈夫かって?大丈夫だ。理香あたりが俺の部屋に入って何かを漁ったりしそうなのは想定済みだ。だが、何がとは言わないが俺はすべてダウンロードサイトで購入しているので現物は所持していない。つまり心配はないということだ。何がとは言わないが。
ちょっと小走りで家の近くの自販機に来ていたのだが、なんと俺の目当てのものは売り切れであった。仕方ないのでいつものスーパーまで買いに行くことにしたのだった。
――一方、その頃。
「「「「「…………」」」」」
そこには唖然とした表情で颯太のPCの画面を見る超人気アイドル5人の姿があった。
そんな中で、花音が口を開く。
「ちょ、これどうすんのよ理香ちゃん!!!」
「仕方ないじゃない!大体PCを開きっぱなしにしているあいつが悪いのよ!!」
「…でも、このページを開いたのは…理香…」
と、怜に正論パンチを食らい黙るしかなくなる理香。
颯太が部屋を出てからすぐ、理香が颯太の部屋に入ろうと提案した。当然ちゃんとした良識がある他の4人は反対した。
が、「颯君の趣味とか、知りたくないの?」という理香の言葉になぜか4人の良識は敗北してしまったのである。
そんなわけで颯太の部屋に入った5人だったが、残念ながら部屋には何個かのアニメのグッズがあったくらいで他に特別なものはなかった。ここまではよかったのだが、彼女たちが部屋を物色していた時に、颯太のPCが通知音と共に起動したのである。当然、普通はロックがかかっている訳だが、なんとPCはスリープ状態だっただけなので普通にブラウザの画面が表示されていたのである。
そう、あれだけ高を括っていた颯太であったが、サブのノートPCの電源を切り忘れていたのである。ちなみにメインのPCの電源は切れていた。
さあ、ここまでなら多分彼女たちも良心が働いて消し忘れのPCは放置していただろう。
しかし、そこには『国内最大の二次元総合ダウンロードショップ』と書かれているサイトが表示されていたのだ。
これはなんと颯太が「何がとは言わないが」と言っていた何かのサイトだったのである。一体どこから彼の自信は出てきているのだろうか。
ただ、このサイト、見た目だけで言えば健全な電子書籍を取り扱っているだけのサイトなので、このサイトを知らない彼女たち(当然主犯は理香)は興味本位で購入履歴というページを開いてしまったのである。
当然ながらそこには、「何か」の購入履歴がずらりと並んでいた。ちなみに購入作品数は「521」であった。彼女たちはこの先しばらく、颯太を見るたびにこの数字を思い出すことになった。
まぁ当然ながらそんなサイトで購入する何かと言えば、所謂定番イベントで出てくるようなコンビニで売っているような万人受けするような本ではなくちゃんと颯太の性癖が反映されているものだ。これは颯太からすると定番イベントよりもダメージがでかい物だろう…。購入作品の内容は颯太の名誉のためにも伏せさせてもらう。
そして今に至るわけである――
「だって、普通の漫画とかのサイトだと思ったんだもん!!こん…なのが出てくるなんて」
「で、でもぶっちゃけ理香ちゃんは最初からこういうの目当てだったんですよね…?」
「ででっ、でも流石にこんなのが出てくるとは思わないじゃん!」
「あ、認めた」
「と、とりあえず今はこれからどうするのかを考えよう」
と、凜が提案する。
「これは彼の名誉に関わることだから、その、このことはバレないようにしないといけないと思うんだ。」
「…私もそう思う。これは、よくある大人向けの本がバレるのとは…訳が違う気がする…」
他の3人も概ね同意だったようで、颯太が帰ってくる前に元の状態に戻そうということになった。検索履歴も消してPCもスリープモードにした。
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スーパーから走ってきたので割と息が切れた状態で俺は部屋に戻った。
「悪い、ほしかったのがなかったからスーパーまで行ってきた。」
「あっ、その、こちらこそごめんね?」
なんか皆の態度がぎこちない気がするが気のせいだろうか。別に俺が買いたかっただけだし謝る必要はないんだけどな。
「そ、そういえば!明後日から次のライブの練習が始まるから夕食は19時でいい?」
「ああ、いいよ。頑張ってな。」
凜に言われて気付いたが彼女たちも練習があるもんな…。そうして疲れた彼女たちに食事を作るんだ。明後日からはより一層俺も頑張らないとな。
「そういえば、俺の仕事っていつから始まるんだ?」
「それは多分来週からだと思います!新曲のテーマとか色々決める予定なので!」
ということで、そろそろ俺も頑張らないといけなくなりそうだ。
そうして少ししたところで解散となった。なんだかんだで時間は20時になっていた。ちょっと前の俺だったらこんな時間まで誰かと話して盛り上がれるなんてなかったことだ。
「――俺の周りもずいぶんと騒がしくなったな」
颯太…どんまい。




