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プロローグ 革命の日

部活動の一環で描き始めた小説です。

「学生の厨二病が暴走してるな・・・」と生暖かい目で読んでくださると幸いです。


今日。運命の分たれる日。

何人もの人間が巨大で奇妙な形をした要塞のような建造物の前に隙間なく密集している。その視線の先にいるのは、やけに豪華な修道服を纏い、下に集まる民衆を見下ろすような形で立っている男の姿だ。

この男、この国の法皇である。


法皇は、民衆に叫ぶ。

「古来より、ヒトとは最弱の種族であった!」


「異常なまでの筋力量を有する獣人族」

血に飢えた獣は何より凶暴である。その牙をもって噛みちぎれないものは万物に存在しない。満月の夜に牙を唸らす獣は、今この時でさえも、人に紛れて何処かで泣いている。

「叡智、そして膨大な魔力を有する長耳族」

森羅万象を理解し、魔法の全てを根本から形作った偉大なる存在は、この町のどこかで今日も酒を浴びているのだろう。

「最強、最恐と称される龍族」

この世の全てに巣を持ち、その存在が通るところに一片の生命も存在しない。巨大な翼は天空を斬り、雲を裂いて縦横無尽に駆ける。

しかしその巨大で赤い龍の瞳には、どこか物憂げな真紅が混じっているように見える。


「一体我らに何がある。残されたものとはなんだ。どれだけ我らが戦ったとしても、争いは止まない。生命に感情があれば、それは必然のことだ。しかし、その争いに、勝利を期すことができない我々に、残されたものとは何であろうか」


民衆は皆、目を伏せる。

ヒト族は、勝利を知らない種族である。どれだけ戦おうとも、他種族の圧倒的なまでの力には遠く及ばない。その結果、人は死に、土地は焼け、心は汚れ、敗北する。度重なる敗北の歴史。これが、ヒト族の悲惨な歴史である。


「ヒト族とは、敗北の種族である。しかし、神はいる!神は常に我々の味方である!」


そういって法皇は両手を天空に掲げ、恍惚とした表情で天を仰ぐ。

当然、点を仰いだからと言って何があるというわけではない。


この国には神像というものがある。

威風堂々とした立ち姿には、神秘というほかない存在感があり、この敗北の種族の救いとなり得るに十分すぎる、まさに『神』そのものの形をもつ一つの像であった。


国の中心部にどっしりと構える神像を変わらず恍惚とした表情で見つめながら法皇は再び叫ぶ。

「神は仰せになった!我は間も無く顕現すると!神は天界から降りヒト族に救いの手を差し伸べてくださる!そして、神はこうも

仰った!」


「────我が名は、サイバレガンドである、と」


一拍の静寂の末、下に集まる民衆の熱は上昇し、ついには王国中が歓声に包まれた。


今日、運命の分たれる日。湧き上がる民衆の声と、涙すら滲んだ法皇の声を以て、その瞬間は訪れる。

法皇は、剣を高らかに掲げて、陽光を剣の白銀に反射させながら、民衆にこう言い放った。

「今日より人間は、どの種族の先を行く最強の種族を目指す!

人々の敗北の歴史は終焉を迎え、新たなるヒトの時代、否、『サイバース』の時代の幕を開ける時である!


サイバースに勝利を!  敗北に終焉を!  唯一神サイバーに祝杯を!」


こうして、ヒトの歴史は終わり、新たなるサイバースの歴史が始まる。


しかし、民衆は知らない。


神が降臨するとは、どういう意味なのかを。


時間は変わらず回っていく。


時代は、止まらず変わっていく。


争いの歴史に、またひとつ、溝が増えた。


新たな争いの予感は、どうやら皆が感じていたようだ。

止まっていた時間は、再び動き出す。


プロローグなので続きも是非・・・!

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