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士獅十六国物語 〜“黒”の転生者狩り〜  作者: ホラナカチリ
③【湖の城と海の島

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③ー12塔

③湖の城と海の島


12 塔


 何十艘と停泊する騎士団の船の影から影へ、見張の騎士の視線を避けながら移動する。まずトバリが先行し、その合図に従って僕とフェリオはついて行く。初っ端からトバリの魔術による隠蔽を使わないのは、やはりラプソディア・ラクスへの警戒からだろうか。隠蔽を使わない方が気づかれにくいというのはどういうことだろうか。動揺していると、フェリオにいつもの「やれやれ」という顔をされた。魔術使いの常識なのか。

 (「だって知らないだもん」)

 両手を上に挙げるジェスチャー。

 フェリオは人差し指を振り、両手をひらひらさせると、鼻を摘んだ。

 (「魔術を使うとー、瘴気が漏れるだろー。すると敏感な奴にとっては匂うんだなー」)

 そういえば前に、ムートネグロに瘴気について指摘された事がある。

 (「てことはウルクは使わない方がいいのかな?」)

 自分の腰を指差す。

 トバリからの合図で、彼女のいる次の船影に走り込む。

 「その為の暗器です。勇器(ゆうき)の使用はギリギリまで控えてください」

 「燃費悪くて煙がすごいもんなー」

 「結構便利だよ、目眩しになるし」

 僕のウルクはどんどん排出する瘴気の量が増えている。密度と言うか、濃度も手に触れて重みを感じるほどだ。肝心の魔術の方は相変わらずだが。

 「あちらから外に出られるようです」

 トバリの示した方角には、地上階へ繋がる階段があった。見張の騎士の詰所もある。

 「ぼくもあんまりやりたくないなー。どの程度の瘴気で気づかれるのか未知数なんだよなー」

 そんなフェリオの言葉を待たずして、トバリが走り込んで行き、一気に詰所を制圧する。

 体術と、手に持った薬のような物を嗅がされた数人の騎士達は詰所内に倒れ込む。

 「ここからはスピード勝負です。行きますよ」

 「了解」

 「りょー」


 階段を上がって地上に出ると、想像していたよりもずっと暗かった。島内に乱立するいくつもの塔からなるラクス城は、外か見ていた時は一つの巨城という印象だったが、内側から見上げると、一つ一つが独立した塔で、間に外灯も少ない。暗くて塔の上の方は確認できない。黒い影の塊が、幾つも見下ろしてくるような圧迫感がある。

 「離れないように」

 暗闇の中を、トバリが確かな足取りで先導してくれる。

 会敵を避けながら二つの塔を確認し(どちらも人がおらず、物置か、忘れ去られているような様相だった)、主たる塔からかなり島の奥に進んだところにある、うらぶれた別塔に辿り着く。

 石造の古い塔は、海風に晒されているにも関わらず、闇に慣れた目で見える範囲の低層階の窓に割れなども無く、正面の扉も傷んでいない。

 「人がいるかもね」

 「かもねー。めちゃ探りたいけどー?」

 「フェリオは入口で周囲の警戒を。私たち二人で行きます」

 「りょー」

 トバリが扉に手を掛けると、手元の暗器で素早く鍵を壊す。ゆっくりと扉を開け、なかへ入る。

 塔にもたれかかって見張りに立つフェリオの横を通る時、目が合う。

 何か言いたそうなフェリオと、言葉に詰まる僕。今はこの距離を縮められる答えを持ち合わせていない。

黙って塔の中へ進む。転生者に会うために。あるいは、胸に抱えた問いの答えを求めて。



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