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①ー2新たなる転生

①死と転生


2 新たなる転生


 カロス国城の地下。

 湿った空気の暗い室内で、わずかばかりの灯火に揺れるいくつかの人影。その中の一人が手に持った蝋燭(ロウソク)に灯をつけた。

「よろしいでしょうか?」

 長いマントと目元まで深くかぶったフードにより、その者の顔はよく見えない。しかし、問いかけを受けた男の格好は誰がみても位の高い王族だとわかる。ガタイの良いその男はこのカロス国の王である。カロス国王は、静かにうなづいた。フードの者は、幾人かの部下と思われる、同じくマントにフードといういでたちの者達に準備を始めさせた。

 カロス国王は、その準備の様子を鋭い眼光で見つめている。彼は自身も武人であり、室内の者がおかしな行動をとれば、即座に腰の剣で切り捨てるというような威圧がある。

 カロス国は、先の勇者転生召喚の地、ジュアン国の隣に位置する。魔王国領土、通称「魔界」との境界に近いこともあり、魔王討伐にも多くの兵を派遣していた。特にこのカロス国城とその城下の街は、それぞれ高い壁に囲まれ、難攻不落の軍事都市として知られる。その運営を一手に担うカロス国王はそれにふさわしい剛健な男である。

 床に大きな魔術的紋章が描かれ、その三方に三人が膝をついて控える。

「始めて」

 指示役の言葉で儀式が始まる。三人はそれぞれの「魔具(マグ)」に魔力を流し込む。ゆっくりと床の紋章が光はじめ、徐々に強くなってゆく。室内が真昼のように明るく照らされ、そこに集ったもの達の姿がはっきりと見えるようになる。カロス国王、指示役のフードをかぶった者と、それと同じような格好の者が六名。計八人。発する光が頂点に達した瞬間、いきなり消えた。

「成功の様です」

 先ほどまで八人だった暗い室内に、一人増えている。床の紋章の中心に現れた男は、不安そうに周りの状況を確認している。

「儂はこのカロス国の王です。勇者様、ようこそいらっしゃいました」

 カロス国王は深々と頭を下げた。室内に現れた男、異世界からの転生者は、すでに状況を把握しているのか、口元にニヤリと笑みを浮かべた。

「デル・追可和(おいかわ)だ。よろしく」


 この日、転生召喚によりカロス国に新たな勇者が誕生した。


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