癒しの聖女は考える。婚約者である王太子には好きな人がいるからお前は愛せないと宣言されてしまった。だったら自分が婚約者でなくてもいいのではないか?と
「よくお聞きなさいリナリア、婚姻とは契約です。なので契約違反をしてはいけません、神殿と王家の絆の強化のために今回あなたは王太子の婚約者になったのですから」
私は神官長様にこう言われて王宮にきました。神官長様はまだ29才の若者ですがジジイ臭い人でした。
得意技はお説教です。
婚姻とは契約、なら聖女である私が王太子の婚約者となることも契約です。
「聖女である君とは神殿との和解のために婚約したどけだ、私には真実の愛する人がいる。そのひと以外は愛せない」
私は殿下にこう宣言されてしまいました。私は平民の娘、なぜか癒しの力が発現して聖女であるとされましたが、本来ならここにいるような人ではない。
なら王太子殿下の好きな人が婚約者のほうがいいのでは?と考えたのです。
誰が真実の愛の相手なのか調べてみましたが全くわかりません。
女の影がまるでないのです。
神殿と王家の橋渡しとして王太子の婚約者に聖女をと言い出した人間を呪いたい、王太子殿下だって愛する人と結婚してといいと思うのですよ。
聞き込みを続けて1ヶ月、面白い聖女と言われるようになっていました。子供が逃がした猫を追いかけ木登り、本を読みつつ昼寝してしまい夜まで寝ていて図書室に閉じ込められそうになったりとか…。
すみません、割りと神殿では自由に過ごしていたものでして。
「真実の愛する人とはどなたなのです?殿下」
「君に教える義務はない」
もしかして男が相手?などと思いましたが前に愛する女性と言ってましたしねぇ。
私はむだに聞き込みを続けてしまいましたわ、でもとうとう殿下に呼び出され怒られました。
つまり、婚約者の役目だけ果たせということらしいです。
余計なことは考えず婚約者になっておけというのならそのほうがいいのですかねぇ。一応神殿
の人に頼んで調べてみましたが。
そして私は婚約式の前にやっと殿下の想い人を見つけました。でもこれはうん言えないはずです。
私は契約違反にはなりますがさすがにこれは嫌だと考えました。神殿にもバレてしまいましたわ。
さすがに気の毒だと神官長も思われたのか、ひとつの案をだされて私はそれにのりました。
だって私を隠れ蓑にするつもりだったのも何か嫌でしたし。
「ここに婚約を…」
「いえ神殿としては癒しの聖女を傀儡の婚約者にするわけにはいきませんのでここに拒否しますね」
神官長様がにこりと笑って宣言しました。
殿下と陛下があわてています。
「婚約年齢に満たない幼女を愛しているからと聖女を傀儡の婚約者としてその趣味を隠そうとはさすがに許せないので」
にっこりと笑う神官長様、そして数人の幼女、下は5才から上は10才までの女の子をつれてきて証言させました。
侍女の見習いとして宮殿にいたのですがまさかハーレムだったとは。
証言内容は差し控えますが…私は婚約を解消し、神殿は神の教えに逆らう行為と王家を糾弾、かなり弱味を握ることに成功したようですわ。
私は神殿に戻り、相変わらず面白い聖女と言われています。神官長様が妙にあれから優しいのですが、さすがに良心が咎めたのですかねぇ。
真実の愛に生きると宣言した殿下は廃嫡の上、幽閉となりました。
私はそういえば神官長って結婚もできるのですわねぇと意外に優しい神官長のことを目で追う日々です。
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