脚本 2/3
■どこかの森林
木々の間を駆け抜ける日暮。あたりを見回しながら、室長を探している。
突然どこからともなく聞こえてくる空気を切り裂く音。
日暮が驚いて振り返ると、巨大なデュエルマスターズ・カードが回転しながら飛んできて、体をかすめていく。
ビックリしながら、弾き飛ばされる日暮。
巨大なカードは大きく弧を描いた後地上に戻ってきて、同じ場所で回転し続ける。その影から現れる、剣を持った黒ずくめの男。
闇雄「貴様が『フォース・ガーディアンズ』のエース、ケーリンXか」
日暮「お前……何者だ!」
闇雄「我は闇より生まれし者――人呼んで“闇雄”!」
日暮「闇雄……!? 結構中二臭い名前だな」
闇雄「放っておけ!」
若干ムキになって怒る闇雄。
闇雄「全く何が『フォース・ガーディアンズ』だ。忌々しい……貴様らの存在ソレ自体が、我らの犠牲の元に成り立っているとも知らず!」
日暮「犠牲!? 一体何の話だ!」
闇雄「貴様ら表の存在が光を浴びるため、必然的に陰の宿命を背負わされた者がいるということだ!」
日暮「つまらない言い掛かりを!」
闇雄「フン、何も知らないとは幸せなことよ……問答無用っ!」
剣を周囲で何べんも振り回して、徹底的にカッコつけた闇雄、太い叫び声とともに剣を構えて全速力で日暮に突っ込んでくる。
戦闘シークエンス開始。
日暮「変身っ!」
日暮、自分も走り出しながら簡易的なポーズをとってケーリンXに変身し、戦い始める(エフェクトは光などで簡略化)。
闇雄の凄まじい剣さばき。ケーリンX、何とか剣をかわしつつ、闇雄に肉弾戦で攻撃を加えていく。
闇雄、パンチやキックに動じず、体さばきでケーリンXを圧倒。
剣の柄などを当ててケーリンXを引き剥がしつつ、一瞬の間に剣で何連発も切りつけたりする。
ケーリンX「ぐわあああっ!」
闇雄「ふんっ!」
ケーリンX「サモンッ!」
ディーソードベガが再び召喚される(エフェクト簡略化)。
短剣VS長剣のバトル。何度か切っ先をぶつけ合った後、ケーリンXが闇雄の剣を押さえ込み、その胸に裏拳を何度もぶつける。
闇雄「ぐぬっ」
ケーリンX「やあああ!」
だがしかし、優勢も一時的なもの。たちまち胴切りを喰らい、ケーリンXが地面に転がってやられそうになる。途中、デュエマショットも放つ。
闇雄、剣を脇で構えながら、じりじりとケーリンXに近づいてくる。
闇雄「これで終わりだ。一年間の恨み、今こそ……っ!」
闇雄の長剣が大上段で振りかざされる。
ケーリンX、絶体絶命のピンチ。
ところがいきなり、剣を振り上げた闇雄の体の表面で、背後から何かの攻撃が連続して炸裂する。悲鳴を上げて転がる闇雄。
闇雄「おのれ……覚えていろ!」
そう叫ぶと、脱兎の如く駆け出して、逃げていく闇雄。
危機を脱したケーリンX、光と共に変身解除。倒れた体を起こし、近くの木にもたれかかって一息つく。
日暮「くっそ……一体奴は何者なんだ!?」
■市民の森/風車小屋裏手
森の中で一人たそがれ、横笛を吹いている闇雄。
憎しみの篭もった闇雄の独白。
闇雄「(奴らのせいで……一年もの間、空気になってしまったのだぞ!)」
□回想シーン
『フォース・ガーディアンズ序章』のオープニングに出てきた闇雄の映像。
動画の管理場面に表示された、『本編』と『序章』の再生数の圧倒的差。
□回想シーン終わり
■市民の森/風車小屋裏手
笛を吹いていた闇雄、足音に気がついて背後を見る。
室長、怪しげに登場。
室長「サバ? 闇雄……」
闇雄「サバじゃねえ! 貴様、一体何のつもりだ。あと一歩のところだったというのに、邪魔しおって!」
室長「ノンノンノン……そう焦るな。あの時点ではまだ、君の勝利が描かれるべきときではなかった。それに、あまり目立って反抗しないほうがいい。表面的には従順でいないと、“創造する者”に消されてしまうからな」
闇雄「フン……かりそめにも本編に出られた奴は、気が楽でいいな」
室長「フフフ」
闇雄「そもそも貴様、こんなことをする必要があるのか? 貴様は元々、どちらかといえば支配する側の人間だろう」
室長「まぁ私も……前回の扱いには不満があったということだよ」
闇雄「贅沢なやつめ……」
■何処かのマンション敷地内/通路
ダメージで脇腹を押さえた日暮、携帯で何処かに電話しながら歩いてくる。
電話「お電話ありがとうございます。こちら、フォース・ガーディアンズ通信中継サービスセンターです」
日暮「あの、日暮ですけど。杉田さんに繋いでもらえますか」
電話「承りました。お呼び出しの間、カノンを聴いてお待ちください」
日暮「何だっていいよ、何だって……」
唐突に『夏色サプライズ』のイントロが流れ始める。
日暮「そっちの『かのん』!? こういうのって普通クラシックじゃないの!?」
曲がブツッと切れて『風の辿り着く場所』のイントロが流れる。
日暮「そっちの『Kanon』でもないから!」
また曲がブチ切れて『時を刻む唄』のイントロが始まる。
日暮「せめてカノンにこだわれよ!? いや名曲だけどもさ!」
室長「いったい何を騒いでいるんだ。近所迷惑だろう?」
日暮「室長!? 今までどこ行ってたんですか……探そうと思ったらエライ目に遭いましたよ!」
室長「何かあったのか」
日暮「実はかくかくしかじかで――」
(この台詞の際、“かくかく”の部分だけ室長のサングラスどアップ)
室長「大体分かった」
日暮「ねぇ待って、俺まだ何も喋ってない!」
室長「所詮は悪役の言うことだ、気にすることはない」
日暮「なんでさっきので内容伝わってんの!?」
室長「イチイチうるさいぞ、日暮くん」
日暮「アンタが冷静すぎるんでしょーが!」
室長「いいか、もっと心に余裕を持て。運命に身を委ね、描かれたシナリオの導くままとなるのだ。そうすればケーリンX、少なくとも君は必ず勝つことが出来るのだから」
日暮「言ったはずですよ。俺の命は俺のものです。他人の作ったシナリオの中で自動的に勝たされるぐらいだったら、自分の意思で好き勝手に動いて負けるほうが、よっぽどいいです」
室長「ほぅ、約束された勝利よりも、自ら掴み取った敗北のほうが魅力的だというのかね?」
日暮「少なくとも俺はね」
急に室長の口元アップになって、
室長「(小声で)私が言うのもなんだが…………贅沢な男よ」
日暮「え?」
そう聞き返した次の瞬間、二人の目の前の地面が爆発する。
咄嗟に身を縮こまらせてから、すぐに攻撃のあった方向を向く日暮。
遠くから、脇に剣を構えながら闇雄が近づいてくる。
日暮「お前は!」
闇雄「ククク……時は満ちた。一年の恨み、今こそ!」
日暮「あれ、室長? どこ行ったんですか室長!?」
いつの間にか姿が消えている室長。
間近に迫った闇雄と戦わざるを得なくなり、剣vs素手で近接格闘する日暮と闇雄(若干スローペースの動きでよし)。日暮押され気味。
■監督の自室内
パソコンの画面に映し出されている、闇雄の攻撃に追い詰められる日暮の姿。
それを眺めている何者か。
突然、画面の中央に現れる室長。
室長「準備は整いました、我がマジェスティ……」
監督「うむ……ではそろそろ、本領発揮といくことにしよう」
カメラが回り込むと、ともだちマスクを被った男が椅子に座ってパソコンの画面を見つめている。唐突に立ち上がる男。
仁王立ちになった男の周囲にオーラが漂い始める。
監督「トモダチゾーン…………発動っ!」
男が力を込めた右腕を目の前に突き出す。
■何処かのマンション敷地内/通路
どんよりと曇った空。雲の間から突如、巨大な右手が伸びてくる。
日暮と闇雄を同時に鷲掴みにするその巨大な手。雲の中に引きずり込まれる日暮。
■異空間へのゲート
様々なエフェクトがかかった、正体不明のトンネルのような空間。
日暮が手足をバタバタさせながら、奥へ奥へと飲み込まれていく。
周囲には、かつてのレドラスタジオ作品にまつわる画像がいくつも無節操に飛んでは消えていく(全部ブルーバック合成)。
■何処かの小さな公園
トンネルから吐き出された日暮、地面を転がってからすぐに立ち上がる。
ここはどこだと周囲を見回してみるが、空を見上げてハッとする。
ナレーション
「"トモダチゾーン“とは――『フォース・ガーディアンズ』の妄想変換率が最大にまで高まり、ケーリンXを圧倒する、ご都合主義のバトルフィールドである!」
空から飛来する、三機一組の戦闘円盤軍団(『レドラ3』流用)。
ビームが次々と撃ち出され、地面に着弾しては爆発で日暮が逃げ惑う。
数度の爆発の後、走って逃げ出す日暮。
■団地新棟
急いで逃げてきて、建物の中に逃げ込む日暮。
階段をどんどん登っていって高層階の廊下に出るが、そこから外を覗いてみて仰天する日暮。
暗雲を掻き分けて巨大な宇宙戦艦が飛来する(『惑星間戦争』流用)。
いかにもCG臭い速射砲の連打。団地の側面に被弾し、日暮また逃げる。
■イトーヨーカドー連絡通路前
慌てて螺旋階段を登り、連絡橋へ向かおうとする日暮。橋から外を見て驚愕。
『レドラ』シリーズの20式戦車が路上を走ってくる。
レーザー主砲で砲撃。
橋の手すりに次々と火花が散る。また逃げる日暮。
■家玄関前
敷地内に駆け込んでくる日暮。
引き戸を開けて逃げ込もうとすると、中からワラシが現れてハリセンを一発見舞う。
慌てて逃げ出す日暮。
■公園のグラウンド
命からがら逃げてくる日暮。しかし、空を見てすぐに急ブレーキ。
咆哮を上げるデスジラスが空中から突撃してくる(『レドラ3』流用)。
日暮「うおぉ!?」
目と鼻の先をかすめていくデスジラス。
日暮、地面を転がり、息も絶え絶え。
そこにどこからともなく剣を構えて現れる、闇雄。愉快そうな笑み。
闇雄「ククク……いい格好だなケーリンXよ。今こそ、お命頂戴!」
日暮「うぐぐ、これまでなのか……」
接近した闇雄が剣を振りかぶったその瞬間、どこからともなく高笑いが公園に響き渡る。
ビックリして周囲を見回す闇雄。
闇雄「誰だ!」
室長「ハァーッハッハッハ!」
不敵な笑い声と共に、公園の一番高い場所に颯爽と現れる室長。
仮面ライダー1号のポーズを取る。室長の各方向のアップ。
闇雄「貴様……一体何の真似だ!」
室長「見てのとおり、助太刀に来たのさ。ただし主人公のな。闇雄……お前が敗北することは、最初から既に決まっていたのだ!」
闇雄「ほざくな……裏切り者が!」
地上の闇雄と、高い位置で見下ろす室長の対峙。
闇雄、掛け声と共にデュエマショットを二、三発同時に放つ。回転して飛んでいったカード、室長に軽々と跳ね返され闇雄に着弾。
闇雄「ぐああっ!」
室長「いくぞ皆……とうっ!」
RXの構えをとってから、威勢よく跳躍する室長。
空中で光に包まれた室長、レドラ、水岡、マスター、戦艦ネオ、贈り物一号、贈り物二号の6人に分裂する。
流星群のように次々と突っ込んできては、すれ違いざまに一撃を加えていくかつての主人公たち(全部合成)。
室長「必殺、レドラレジェンドリーム!」
闇雄「ぐああっ!?」
攻撃を喰らってふらつく闇雄の背後にしゅたっと着地した室長、自身の剣を大きく回して太陽を模したエネルギーを発生させると、袈裟懸けに切り下ろす。(黒バック合成のイメージ映像)
室長「剣よ……光を呼べ。レドラプロミネンス!」
闇雄「ぬおおっ!? とっ……東方プロジェクト、バンザーーーイ!」
剣を天に掲げながらぶっ倒れ、大爆発する闇雄。
室長、ゆっくりと剣を下げ、宣言。
室長「邪気……退散!」
起き上がった日暮、よろめきながらも室長に接近。
感謝の言葉を述べる。
日暮「室長、助かりました」
室長「ふっ……礼には及ば――」
言いかけたその時、どこかから飛んできた回転する一枚のカードが、二人の間を通って天空へ登っていく。
驚く二人の目の前で空が割られ、日暮の周囲の空間が異様に歪む。
いきなり尻餅を突く日暮。




