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竜王殺しはヒトでなし!  作者: 五五五
プロローグ
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プロローグ

 石造りの巨大な部屋の中。

 青白い光に見された場所……そこで少女は膝をついていた。

 全ての現実を受け入れ、自らの使命に殉じようとしていた彼女の前に、一人の男が立っている。特殊な形をした両刃の剣を握りしめる男は、少女に問いかけた。

「お前は言ったな。願いを叶えてくれるなら、例え悪魔にだって縋ってみせる……と。」

 男は言葉を続ける。

「なら、そいつは目の前にいるぞ。お前の願いを叶えてくれる最悪の存在がな!」

 男の瞳に、少女の姿は映っていない。

 彼が見据える先には、巨大な黒い影がある。

 ソレは今にも飛び立とうと、大きな翼を広げていた。天を仰ぎながら、男と少女をまるで虫けらでも眺めるように、金色の瞳をギョロッと向ける。

「どうして……どうして、こんな場所に?」

「この際、理由はどうでもいいだろうが! 大事なのは、今ここにドラゴンがいてくれるってことだろ? お前の願いは叶うぜ……こいつを、殺せばな!」

 男は駆け出す。黒く巨大な影に向かって。

 だが、その影の足元に近付けば、いかに巨大なのかを実感せざるを得ない。

「無理です! たった一人でこんな……こんな巨大なドラゴンを倒すなんて!」

 少女は叫んだ。

 ドラゴンは駆け寄ってくる男に向かって、鋭い爪を振り下ろす。

 ズガーーーン!!

 ドラゴンの爪は、石畳を大きくえぐる。だが、男は爪による一撃をひらりと躱すと、そのままドラゴンの股下へとスライディングしていった。

 だが、ドラゴンもすぐさま反応する。振り向くと同時に、口の中に溜め込んでいた炎を勢いよく吐き出した。

「きゃああああぁぁぁぁぁ!!!」

 炎のブレスの熱気は、離れている少女のところまで届く。ヒリヒリと肌に伝わる熱が、少女に男の死を予感させた。

 だが、熱気の中で必死で目を開くと、男は平然と立ち尽くしている。

 ドラゴンの吐き出す炎は、まるで男を避けているようだった。

「そう来ると思ったよ。お前らバハムート級は、すぐにブレスに頼ろうとするからな……ああ、そうさ。俺は誰よりも、お前らのことをよく知ってる!」

 炎の息をものともせず、男はそのまま前進を続ける。そして、ドラゴンの正面に立つと、握っていた剣を構えた。

「俺はドラゴンスレイヤー……お前らの親玉を、竜王を殺した男だからな!」


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