3話 戦場ではよくあること
戦場跡の草原の向こうには大きな森があった。
魂も集め終わったし、ここにはもう用はないから、とりあえずあの森にでも行ってみようかな。
そう思うと私は歩き出した。戦場跡は血の匂いが強かった。辺り一面から鉄くさい匂いが漂ってくる。あまりいいものじゃない。それに衛生面でも心配になってくる。集めた魂を使って治療できるから安心であるが、長居したくはなかった。仕事(食事)が済んだのなら、さっさと退散すべきである。
「皆さんありがとうございました。私はあなたたちの魂を決して無駄にはしません。安らかにお眠りください。」
なぜかやらなければいけない気がした。今そこら中に転がっている兵士たちはどんな気持ちで死んでいったのだろうか。
兵士たちの安眠を祈っても、兵士たちは救われるわけではない。だってもう全員死んでいるのだから。
魂にも救いはない。ただのエネルギーに変換されるだけの物質だ。
死んだらそこで終わりなんだ...。
私は死んだはずなのに終わらなかった。今度こそ生き抜く。
ここで死んでしまった人々は私の糧となり、私は先に続いていくことができる。
この戦場の犠牲者に感謝と祈りの言葉を言った後、私は先に進んだ。
しばらく歩いた後、ようやく広い草原が終わり、森に入ることができた。
まさしく異世界。ファンタジーの世界!
森には見たことがないような動物や植物をたくさん見つけた。。角の生えたウサギや岩でできたカブト虫のような生き物。家にあるこたつ何見大きなキノコなど好奇心をくすぐるような光景だった。
「魂が主食だから、おなかは減らないけど、このでっかいキノコって食べれるのかなあ?」
浮かれ気分で注意力が散漫していたのが仇となったのかもしれない。私は突然背後から近づいてきた誰かに肩をつかまれ、そのまま大きな木の麓に倒されてしまった。
「ああ!最高だ!すげえ上玉じゃねえか!」
「あの地獄から逃げ出してこの森に隠れていたら、神サマからこんな贈り物をもらうなんてなあ!」
「どけよ!最初は俺にやらせろ!絶対だ!」
気がつくと私は4,5人の男たちに囲まれていた。そのうちの一人が私の体を地面に押さえつけている。男たちは頭には何もつけていないが、全員体に甲冑を着け、腰にはサーベルを差していた。
へえ、日本語とは違うけど、なんて話しているのかわかるんだ。これ便利。
ていうか、そんな場合じゃなかった。こいつらはもしかしてあの戦場から逃げた兵士か!
戦争が起こると毎回そういうことが起きる。兵士は血に飢えた獣となり、理性を失う。そしてこの暴力によって生まれた獣はいつもあるものを求める。女である。
戦場では、虐殺、強姦、略奪といったような様々なことが生まれる。
この男たちは己の欲望のために動く理性のない獣となったのである。
本当に矮小で醜くて最低な生き物...。自分より下のものに自分の優位性を示したい。自分より弱いものをどうしようが、そんなことは自分の勝手。だって自分の方が強いから...。
ははは...。本当に最低な生き物...。
この愚か者たちは誰に、いや何に手を出したかわかっていない。今自分たちの欲望のための犠牲となりかけているひとりの少女の正体に気づいていない。
この世界の絶対者になれる化け物に気づいていない。
「あなたたちに言っておくけど、今すぐ謝るなら許してあげる。もしそうしないんだったら、覚悟はできているよね?」
分かる。突然だったから倒れちゃったけど、冷静になればよく分かる。今私の体を地面に押さえつけている男の力の弱さが。
弱すぎる。腕に虫でも止まっているかと思えるほど脆弱だ。
「何言っているんだ、このガキ。怖くて頭おかしくなったんじゃねえのか?」
「俺はこういう強気な女を屈服させるのが好きだから、むしろいいな。」
今この瞬間にこの愚者達の運命は決まった。
「よく分かったよ。私を襲ったっていうことは、私があなたたちをどうこうしても何の文句もないよね?先に手を出したのはそっちなんだから。じゃあとりあえず全員殺すね。」
雪のように真っ白な髪と肌をした、赤い目の死神がゆっくりと口を開く。
「せめて苦しまずに逝かせてあげる。感謝してよね。」
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