7−2: SFは高尚か?
先日のことだが、ツイッターにこういうツイートがあった(全文は検索されたし):
しかしSF嫌い・SF読み嫌いの「SF読みはSFを高尚と思っている!」って
いう前提はなんなんだろ?[略]
(by 銀河ヒッチハイカー)
これに対して、私はこういう引用リツイートをした:
高尚と思っているについては、「自分には理解できないから」かなぁと
思う。
この「自分には理解できないから」というところは反発を買うかもしれない。だが、それなりの根拠がないわけでもないのだ。
というのも、このような本がある[*1]。可能であればチラ見でいい、ちょっと確認してみてほしい。新刊書店にはもう置いてないだろうと思うが。私にはこの本を貶める意図はない。というより、なにを書いても貶めることになるし、あるいはそもそも「内容にちょっと触れる」以上に貶めようがないほどの内容なのだ。
そして、もし著者と出版社が本気で「文系の人に役立つ」と思っての出版であったなら、いわゆる「文系の人」の理系についての知識はこの書籍の内容にもおよんでいないということだろう。もっとも、おそらくは対象としている読者にも「これは知っている」という満足感を与える必要もあるだろうから、内容のすべてがひどいということもないようにはしていただろう。それにもかかわらず、どこに触れても貶めることにしかならない書籍だ。
それが、引用リツイートの理由だ。
個人的な経験もないわけではない。これでわかるだろうという説明をした後、文系の人は「わかった」と言うのだが、それが明後日の方向であり、また説明をしても、やはり明後日の方向の理解しかしない、あるいはできないということが何回あったことやら。あとはあれだ。「これこれのことですね」とか「こういうことですね」と言ってくるのだが、それが明後日の方向で、以下繰り返し。だから、私はバカは嫌いだ。あ、バカの話じゃなくて文系の人の話だったか。
そもそものツイートには明言されているし、私もそうなのだが、「好きだから読んでいる」、「面白いと思うから読んでいる」。SFジャンルの中では、作品が高尚かどうかは議論や考える対象にもなるが、ほかのジャンルとSFを比べてSFの方が高尚とは思っていない。まぁ、すくなくとも、「ほかのジャンルはつまらない」と思っている程度だ。高尚かどうかではなく、たんにつまらないという程度だ。
さて、ではなぜ「高尚と思っている」という話が出てくるのだろう。このこと自体は、私も経験している。それで考えた結果が「自分には理解できないから」というものだ。
それとともに、上に書いた「ほかのジャンルはつまらない」と思っていることも関係しているのかもしれない(全員がかどうかは知らないが)。
そこで、あなたが私に「これ、面白いよ」と、純文学でも推理モノでも見せてきたとしよう。そうしたらSF人は「たぶん、こっちの方が面白いよ」と返すだろう。これが繰り返されたらどう思うだろう。
付け加えるなら、SF人はすくない。しかも、ほかの多くの人が面白いと「共感」したものであってもゴミ箱に投げ捨てる。まぁ、反感は買うかなと思うし、その反感を大人しく表現すれば「SF読みはSFを高尚と思ってる」ということになるかもしれない。
そういうことなのかなというところで、連載を〆めたいと思う。
*1: 「文系の人にとんでもなく役立つ! 理系の知識」、日本博識研究所、2016/6/9.