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おそろい

「ああ、そういえば俺、両親のどちらかが獣人なんだって。何の獣人かはよくわからないんだけど」

 世間話でもするような調子でセリフィアはそう言った。

 少なくともGにはそう見えた。


「わぁ、じゃあ、私と半分おそろいなんですね~!!」

 Gは大喜びでセリフィアの手を取り、ぶんぶんと大きく振り回した。

 半分でもセリフィアと『お揃い』な事が嬉しかった。

 危うくそのままでんぐり返りそうになったあたりで…はっとしてGの動きが止まる。


「いや…す、すまない。個人的には喜ばしいのだが…勝手に大喜びするのは良くないな」

 なんだかそれまで普通だった自分の行動が、幼い子供のようで恥ずかしく思えてならなかった。

 それでもどうしても身体が動いてしまったのだが、人間がいきなり「半分獣人だった」事を知って「嬉しい」わけがないのだ。

 俯くと、白い手にしっかりと握られたセリフィアの大きな手が目に入った。

 Gは慌てて手を離すと、恥ずかしさにやや顔を赤らめた。

 それから少し真面目な顔つきになって話を続けた。

「そうか…銀などの問題がなければいいな。もし月の影響などに弊害があるようならラクリマさんに薬草のこととか…相談するのをすすめる」


 ラクリマさん。


 その時ふと、以前…セリフィアがラクリマを一人どこかへ誘い出した事を思い出した。

 その後にも二人きりで森へ出かけた事もあった。

 そういうことは…よくあるのかも知れない。

 レスタトももう、いない。


「…あ…もう相談したか?」


 セリフィアは軽く笑った。満月期でもないのに、明るい声ではっきりと言った。

「俺もちょっとうれしい。半分だけでもおそろいだったことも、喜んでくれたことも。

銀については特に何ともないし、月も大した影響ないから大丈夫だと思うよ」

 セリフィアはGの言葉の含みに気付かなかったらしい。

「…うん」

 それにしても…。

(半獣人で影響を受ける……聞いた事がないな…)

 ちらりと思ったが、Gは何も言わないでおいた。

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