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ジェラルディンの死体が、目の前に、あった。

 その瞬間、Gの思考が四散した。

 それはGにとって…すでにジェラルディンではなかった。



・・・・・・・・・・・・・・



 ラクリマさん、綺麗な瞳。


 緑色…金色がかった薄い緑。

 母さんの瞳…エメラルド…鉱石の色した透き通るような瞳とは違うけど。

 綺麗な…瞳。


 急速に失われてゆく、光。

 沈殿してゆく、彩。


 ラクリマさんの肌、白い、温かい、肌。


 柔らかさがあった、空気の冷たい夜も、肌はその表面の冷たさと、その中にうっすらと暖かさを隠していた。

 でも、死体は。

 そう、首が落ちたはずの…でも、そこに存在した…母さんの、あの、死体、は。


 …蝋の、ような、あの、無機質で、温度のない…そう、空気と同じ、モノの、温度。


 木漏れ日の中の、あの、風景。


 ラクリマさんの腹に空いた穴。

 そこからどろりと流れてゆく血。

 冷えてゆく身体。


 それはモノになって…母さんと同じモノになって…。



・・・・・・・・・・・・



 拡散した思考は死の映像をとりとめなくGに叩き付け続けた。

 息苦しいほどに呼吸が荒い。

 自分が混乱しているのだ、という事だけはやたらと客観的に感じるのだけれど、だからといってそれをどうする事も出来ない。

 村長のところへ行く…というような言葉が遠くの方で鳴っている。

「気分が、悪い…今日はちょっと休ませてくれ」

 ようやくそれだけ言って、どこともかまわずに手近な毛布をひったくってベッドに横になった。

 …胃が、痛む。

 眠ったからといってどうなるわけでもないのに…それ以外に逃げるところはなかった。


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