えねるぎー
飛行機は完成したものの、足りないものがありました。燃料です。
本には石油から出来る燃料と書かれていましたが、少女には石油がなにかわかりません。
燃料について調べて見ますが、どうやらここにはないということだけはわかりました。
ならば、あるものを燃料にするまでです。
少女は、大量にある紙を燃料に出来ないか調べてみました――。
それからは、燃料に関する研究ばかりでした。少女はひたすらエネルギーと呼べるものの開発ができないか検討を続けました。
そこで、ひとつ気付きました。
自分は何で動いている?
少女はずっと動いていました。睡眠こそするものの、本に書いてあるような生き物と同じように食事をしたことはありません。肉体的に疲れたこともありません。
少女は不思議に思いましたが、別段気にしません。そもそも、おかしいと思うにも、比較対象が無いのですから。
なので、逆転の発想をしました。
自分が無尽蔵に動けるのなら、自分から燃料が作れるのでは、と。
少女は、自分の研究をすることにしました。
しかし、自分の肌をつねると痛みは感じます。身体の一部を使ってどうのこうのというのは無理なようです。とりあえず、痛いのは勘弁みたいでした。
だから、妥協案としてまずは唾液から試してみることにしました。
透明に光るそれを手のひらに一滴垂らします。
臭いを嗅いで見ますが、本に書いてある石油のような独特な臭いはありません。
ダメ元ですが、燃料としてタンクに入れてみます。
――もちろん、動きません。
もう少し入れてみます。しかし、動きません。
多分ダメなのでしょう。
唾液は諦めました。
少女は違う発想を思いつきました。
とりあえず疲れることがないので、自分の動きをエネルギーに出来ないかということです。
すぐに本を調べました。すると良さそうなものがあります。
電気です。機械的機構による発電です。
少女は車輪を漕ぐことによる発電機関を考えました。
さっそく制作に取り掛かります。時間はあまりかかりませんでした。なにかを作るのにも手馴れてきたようです。
さらに発電した電気を貯めるバッテリーも作りました。
さっそく、バッテリーを満タンにするために車輪を漕ぎます。
少女は飽きはするものの、疲れを感じません。電気が充分蓄まるまで漕ぎ続けました。