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雨恋

作者: IRIS





「はぁ……」


夏は雨が多いから嫌いだ。


私はコンビニの下で雨宿りをしながら雨音が響く街を見つめていた。


どうしよう。


あと10分で塾が始まってしまう。

心配しながら腕時計を確認していると、


「急いでるんだろ?貸してやるよ」


一人の男が折りたたみ傘を差し出してきた。


この人知ってる…。


名前までは思い出せないけど、クラスの子たちが騒いでいた。

貸してあげる、と言ったのは私が学校のジャージを着ていたからだろう。


「でも貴方は?」


「俺は家近いから大丈夫‼約束かなんか知らんけど遅れんなよ!」


と走っていった。


「あ…ありがとう!」


「おう‼」


と言って君が振り向きざまに見せた無邪気な笑顔をみた瞬間、なんだかドキっとした。


これは恋……??


激しい雨が降り積もる今日この頃、私は君に恋をした。





長かった夏休みが終わり、私はあの日君に借りた傘を持ち学校へ向かった。

でも、どこを捜しても君の姿がない。


傘を返せないまま、君は遠くへ行ってしまった。






あれから3年



私はあの日以来、恋をしていない。

きっと君のことを忘れられていないからだろう。

バカな私は今でも期待している。

もう一度会いたい。

その証拠にあの傘をいまだに持ち歩いている。



今日もまた、あの日のような激しい雨だった。


塾の帰り道、あのコンビニで一人の男が腕時計をチラチラ見ている。


まるであの日の私と同じだ。


私は彼のもとへ駆け寄って君から借りた傘を貸した。


「ありがとう!マジ助かる!」


と笑った彼の笑顔をみて絶句した。

そして確信した。あの日の君だと。

髪や背も伸びて声も変わってしまったけれど、その笑顔だけは変わってなかった。




友達でもないのに。


私が勝手に恋してるだけなのに。



でも想っていいですか??



運命だと思っていいですか??



私は雨の中に消えていく君のもとへ駆け出した。







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― 新着の感想 ―
[一言] 素敵なお話でした!! こういうのを運命って言うんだろうなーと共感しました! これからも頑張ってください
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